見出し画像

自作詩『りんごの味』

自作詩『りんごの味』

リンゴを齧る
甘いような
酸っぱいような
瑞々しいような
まさに林檎
のような
感じがする

でもいったい
これは何味だろうか?

りんご味のジュース
りんご味のキャンディなど
世の中にりんご味のアレコレは数あれど
当のリンゴはりんご味ではない

リンゴを食べて
「あー、りんご味だ」
などと思ったことはない

甘酸っぱいだの
シャクシャクしているだの
思いながら
リンゴそのものを感じて
食べているだけだ

リンゴはリンゴであって
他のなにかではない
りんご味のジュースが
リンゴでないように

リンゴを齧る私は
私であって
他の誰かではない

雑多な世界の片隅で
リンゴを齧り
詩を考える
私がいるだけだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?