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振り返るハイライト 君とのモーメント

アイドルによってもたらされる感情は何物にも代え難いギフトだと思うので、今この時点での気持ちを文章にすることにした。きっと何年後も振り返る日をまさに今過ごしていて、なるべく美化も上書きもしないまま残しておきたいから。本来なら、実家で年末の慌ただしさと多少の居心地の悪さを感じながら床暖でゴロゴロしていた頃だろうが、12月30日現在、わたしは東京のエアコンの効きが悪い21度の自室で2022年の残り時間を数えている。帰省寸前の12月27日、マリウス葉くんがSexyZoneから卒業するというお知らせがあったからだ。

「その日」って唐突にくるものだとよく聞いていたけど、本当にそうだった。仕事納めの翌日。眩しい晴天。部屋の掃除の合間に見たTwitter。ならぶ「ああ…」という嗚咽と「マリ」の文字。喉元からせりあがった嫌な予感。恐怖感の中開いたメールフォルダの中で、目に入った「皆さまへお知らせ」という件名。どこかでそんな未来が来ることを覚悟していたつもりだったのに、それは「いつかの未来への覚悟」であって、いざ目の前に提示されたものの前ではそんなの鼻をかみ終わったティッシュほどにも役に立たなかった。多幸感にあふれたクリスマスのドーム公演から帰ってきて、残りの2022年はほぼ余生だしぃ〜とフワフワ数センチ分ご機嫌に漂っていた心は一気に叩き落とされて、お知らせから数日経った今も「卒業」という文字を見るたびに内臓がきゅっと縮み上がるし、マリウスのことを考えては所構わずボロボロと涙が出てきてしまって正直全然受け止めきれていない。

とまあ、悲しい!寂しい!ヤダ!の気持ちがあと1000行くらいあるのも本当だし「今からでもマリウスやめるのやめない?」と毎晩モールス信号を送りたいくらいだけど、同時に心の底からの感謝と門出への祝福も同居している。だって、11歳だった子が成人し新しい夢を見つけて次のステージへゆくなんて、そんな愛おしい晴れやかな物語をずっと近くで見せてもらえたんだ。本来育て親くらいにしか許されない特権を与えてもらえて、巣立つ間際にありがとう、またねって顔を見せて言ってもらえて、感謝を伝える時間をくれて、ずっとずっと待ち焦がれていたメンバー5人全員で笑ってる姿を見せてもらえた。アイドルを応援している人間にとって、これ以上の終わり方ってない。やけに陽気で楽しそうなインスタまで開設してくれて、旅行に行ったり「セクシールーレット」という謎の遊び(本人たち曰く“縁起物”)をしたストーリーで大バズりしたりしており、笑いと涙と感傷とその他いろんな感情を行ったり来たりしていて時間が全然足りない(からあと2022年があと300000日くらいほしい。ダメ?ダメか…)。

ひとしきり泣いたり笑ったりして、ふと、セクシーたちはいつからこの時を準備していたのだろうと2022年を振り返る。10年間の念願が叶った今年の冬のドームツアー。最後を締めくくった曲は夏のアリーナツアーと同じ『Dream』だった。

繋いだままでいれたらいいね
何度離れ離れになっても
慣れない世界で君を見つけて
それだけで何もいらないでしょう

夏と同じ『ザ・ハイライト』というアルバムを引っさげての冬のドームツアーだから、締めも同じ曲と言われれば頷けはするのだが、風磨くん演出なら、セトリの流れを汲んだ上でもっと別の曲を持ってきてアリーナツアーとは違う余韻を作りたがる気がしていた。だけど、小さな違和感を持ったこのセトリも今なら納得できる。この曲も、そして夏のツアーからずっとこの曲のタイミングで促されていたオレンジ色のペンライトも、全部マリウスの卒業へ向けたもの。「マリウス見てる〜?」とドームライブ中何度も繰り返された言葉でわたしたちは彼に想いを馳せていたけど、本当にマリウスは同じ場で同じものを見ていて、あの時を一緒に過ごしていた。マリウスがこっそり見学していたドーム公演で彼にオレンジの海を見せられたこと、わたしたちはしっかりと門出の祝福ができていたのかと今さら知り、心の底から嬉しい気持ちでいっぱいだ。

それだけじゃない。6月に発売されたそもそもの今回のアルバムのタイトルは『ザ・ハイライト』。その表題曲は『Forever Gold』。冬のドームでこれまでの10年の写真がずらりと流し映される演出に涙が止まらなくなったこの曲の「振り返るハイライト 君とのMoments」という歌詞は、5人で歩んできたこれまでと、4人として活動していくこれからの狭間、まさに彼らの「今」に重なる。逆にこの曲とこのアルバムを用意する時から、「今」を見据えてそのために動いていたのかと思うと、彼らの誠実さと周到さ、そして互いが互いを思いやり尊重し合う姿勢に何も言えなくなる。どこもかしこも、大事にして大事にされている跡だらけだ。本当にありがとう。あなたたちを好きでいて、とても幸せです。

宿命のシンメと運命のシンメとその真ん中に立つ永遠の0番。世界一美しいこの景色がもう見られなくなってしまうことがすごく惜しい。ステージでマイクを握る君を見つめていたかったし、深い知性と思慮深さをたずさえながら軽やかに世界を語る君と君の考え方は、これからもっと多くの人に届いてほしかった。やっぱりどうしようもなく寂しいよ。君と君のいるSexyZoneのことを心から愛していました。そして、それは君が別の夢へ向かって歩き始めてもきっと変わらないし、君はステージを降りてもずっとSexyZoneだ。たくさんの愛をありがとう。SexyZoneのことが大好きだよ!愛しています。


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