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『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』で土に触れる生き方を選択。

土に触れる生き方、始めてみませんか?

今回noteでは、『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(ジョシュ・アックス 著 藤田紘一郎 監訳 文響社 2018年)という一冊を、令和の時代における、これからの健康を考えるために、書評や感想も兼ねながらご紹介していきたいと思います。

近年、腸に生息している腸内細菌の集まりである「腸内フローラ」と、健康や免疫力、美容、ダイエットなどの関係について、テレビ番組や雑誌などで特集されるようになりました。

また、「腸の神経系は第二の脳」といわれ、「脳腸相関」「腸脳相関」という言葉が示すように、腸と脳は密接につながっていると考えられています。


そして2018年に邦訳が出版された、アメリカの自然療法医師、臨床栄養士であるジョシュ・アックス氏による『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(藤田紘一郎 監訳 文響社)は、腸の健康や、腸内環境を整えるとはどういうことか考えるための、集大成的な一冊だといえます。

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なぜこのように述べるのかといえば、本書では食事の話題を中心に、「イート・ダート・プログラム」「腸のタイプに合わせた処方せん」といった腸内環境を改善し、健康な腸を手に入れるための具体的な方法が、詳述されているからです。

現代社会においては、アレルギーや自己免疫疾患、炎症性腸疾患、肥満、大腸がん、うつ、アルツハイマー、自閉症などの病気・症状が問題視されており、それらの病気・症状と腸との関係が注目されています。

特に日本では「腸もれ」とも呼ばれる「リーキーガット症候群」が本書の冒頭で問題視されており、その「リーキーガット症候群」が改善されれば、

・活力が高まる
・消化機能の回復。
・輝くような健康的な肌。
・鼻詰まりの解消やアレルギー症状の抑制。
・関節の痛みの解消。・明瞭な思考や集中力。
・自分の体や自身に対する自信が出てくる。
・代謝の増加(および体重減少)。
・ホルモンバランスの安定。
・感情の起伏の減少。

(ジョシュ・アックス『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』 藤田紘一郎 監訳 p17)

といった変化に自分自身で気づけると著者のジョシュ・アックス氏は述べています。


『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』が提示するイート・ダート・プログラムとは?

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では、本書『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』において提示されている、「リーキーガット症候群」を修復するための「イート・ダート・プログラム」とは、具体的にどのようなものなのかといえば、

1 取り除く。

2 種をまき直す。

3 修復する。

4 解放する。

5 密着し直す。

というシンプルな五つのステップから構成されているものです。


以下、この記事では「イート・ダート・プログラム」について簡単に要約してみたいと思います。



「1 取り除く」

腸に悪影響を与える。「グルテンやレクチンのような「栄養阻害物」を含んでいる」小麦などの穀物や、市販の牛乳、糖、硬化油、GMO食品(遺伝子組み換え)、有毒化学物質などを取り除く。


「2 種をまき直す」

土由来のプロバイオティクス・サプリメントを利用したり、新鮮な農産物を買ったりする。裸足で戸外を散歩したり、庭いじりをしたりする。発酵食品、薬効キノコ、藍藻類(スピルリナなど)を食べる。


「3 修復する」

有機果実、野菜、肉、ナッツ、その他の有機農産物、骨スープ、生の乳製品、発酵食品、発酵飲料、ココナッツ製品、天然のサーモン、発芽シード、高繊維食品などの食物を摂ることで、腸を修復するようにする。


「4 解放する」

リーキーガットの最大の原因として、感情的・精神的・心理的「ストレス」が挙げられるため、マッサージ(またはリフレクソロジー)、暖かいカモミールティー、気分を高める本、エッセンシャル・オイル、マグネシウムのサプリメント、音楽、森林浴などによって、腸を癒す。


「5 密着し直す」

「リーキーガットを治癒し、その腸をできる限り閉じたままにしておくために」、「不要な投薬を避ける努力」をし、プロバイオティクス、消化酵素、Lグルタミン、リコリスの根、コラーゲンなど、腸を密着し直すための適切なサプリメントを摂る。



「Eat Dirt」でこまめに土に触れる生活習慣を。

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ちなみに、この『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』の原題は『Eat Dirt』となっており、具体的に腸とからだの健康のために「土壌菌(SBO)または土由来の有機物を取り入れる」ことが推奨されている点は、非常に興味深い点です。

しかし「Eat Dirt」とは、言葉通り本当に「土を食べなさい」ということなのではなく、最低三日に一回は土に触れるような、自然に根差した経験そのものを増やすことを指すのだと個人的に思います。


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このことは分かりやすく言えば、「汚れる」ことを極端に恐れ、清潔すぎる文明社会や人工的な環境のなかで暮らすのではなく、リスクを恐れず、あえて自然に親しみ、どろんこ遊びや、素足で大地に直接触れるアーシングなども含め、土に直接まみれるような生活習慣を選択するということです。


 清潔すぎるということが問題の一部としてあるのであれば、その解決方法は対極にあるに違いないと私は確信した。つまり、汚くなるということだ。天然の免疫システムとして機能する、すでに私たちが失ってしまった細菌、ウイルスその他の微生物を棲まわせていた汚い土へのたまの接触を意識して繰り返す。私たちの環境にある抗菌製品による攻撃によって失われた体内の有効なバクテリアを強化し、栄養補給する。そして私たちの免疫システムを教育し直す。そうすれば、過剰に反応することなく自分自身を守ることが再びできるようになるはずだ。

 あちこちにある少しの汚れなど恐れてはいけない。その代わり、より意識的に自然のリズムに身を任せ、日々私たちの周りにある癒しのパワーを利用しよう。

(ジョシュ・アックス『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』 藤田紘一郎 監訳 p10)



もちろん、「身土不二」ではないですが、アメリカ人の腸内環境や生活環境と、日本人の腸内環境や生活環境は違いますので、食生活に関して、本書に書かれている内容を全て鵜呑みにしたり過信したりする必要はないと思いますが、通読してみれば、健康的な身体と腸への変革を進めていくのには、非常に役立つことが分かると思います。


また、腸内フローラを改善するための食事に関しては、誰にとっても良い働きする食べ物を指定するのは難しいかもしれませんが、発酵食品や骨スープ、ヒマラヤの「シラジッド」などの摂取を勧める食事に関しての本書のアドバイスは、そのほとんどが参考にできる内容です。

ただし、腸の健康のためには、加工食品に依存することを完全に止め、有機栽培の農作物をはじめとした質の高い食材を摂取することが要求されているので、そのあたりは、いきなりすべてを実践するにはハードルが高すぎると感じられるかもしれません。

そのため、個人的には、まずは手作りの発酵食品を食生活にとりいれることから始めてみても良いと思います。


本書は腸の健康を考えるために有益な一冊。

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以上ここまで『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(ジョシュ・アックス 著 藤田紘一郎 監訳 文響社)という一冊を、令和の時代における、これからの健康のためにご紹介してきました。

腸内環境を根本的に変えていきたいという方が、とりあえずこの本を通読してみることは、移り変わりの激しい健康情報というものに対して「100パーセントの正しさ」を要求することは難しいとしても、腸の健康を考えるために有益だと思われます。


さらに、『一生病気にならない「腸健康法」』『腸内細菌が家出する日』など、本書の監訳をしている藤田紘一郎氏の著作や、デイヴィッド・パールマター氏の『「腸の力」であなたは変わる』などに好感がもてるという方は、本書は非常に興味深く読める一冊だと思いますので、一読をオススメします。


治癒は可能だ。必要なのは、体にダメージを及ぼす極めて危険な習慣をいくつか変えるという強い意志を呼び起こすこと。特に、清潔であろうとする私たちの妄信的習慣を変えることなのだ。

(ジョシュ・アックス『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』 藤田紘一郎 監訳 p34)


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。(なお、この記事は以前にブログに書いたものを加筆・修正したものです)。

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