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農業の持つ様々な可能性について Vol.1

こんにちは。普段の仕事の傍ら、私は週に1度のペースで自然栽培を行っている農家のところに手伝いに行っています。今回はお世話になっている農家さんの話から得られたことや、もともと農業が持っていた社会的な役割について、いくつかシリーズに分けて伝えていきたいと思います。
 読者の皆様は、農業の役割時と何をイメージされるだろうか?
 おそらく多くの人は食料生産・生産者、野菜を作るなどではないか?
 たしかに農業の主な目的は生産者としての役割がある。ただ社会全体・世の中全体で見た場合はほんの一部でしかない。
 実は農業の役割はこのほかにも
・環境保全(環境調節機能)
・生物多様性の保全(農業生態系の維持)
・人間関係の創造の場(農のコミュニティー)
・心の癒しの場(マインドフルネスとして)
・運動による身体機能の維持
・実践教育の場(フィールドを生かして、実践的に学べる場所)
・食を通じた健康を考える場所
など、実に様々な役割がある。

今回は「農業の様々な可能性について考えるシリーズ①」として、環境保全と生物多様性保全について着目していきたい。

農の役割 環境保全について

 農業における環境保全には環境調節機能と資源循環がある。
このうち資源循環は一般的な栽培(慣行栽培)では多くの資源を外部から取り入れるため、そこまで資源循環にはかかわっていないが、有機栽培や自然栽培では大きくかかわる。
 有機栽培では国内の有機物(家畜分たい肥、魚介系産物、食物残渣)を導入し、畑で生産されたものを家畜飼料や私たちの食物として提供することで資源循環を行っている。
 自然栽培では周りの自然物(落ち葉、米ぬか、草)を活用し栽培を行い、生産の過程で残った残渣物は畑に入れることで、外部から余計な資源を入れずに、身近なもので作ることで、資源循環させている。

 環境調節機能では畑や田んぼはコンクリートと違い土なので降雨のほとんどが地中にしみこみ、直接河川に流れない。つまり降った雨水がその場にとどまることで洪水の発生を防止している。
 また二酸化炭素は様々なものを燃焼させることで多量に発生するが、有機物のすきこみ、周りの草や作物残渣を入れることで、炭素循環や炭素貯蔵に役立っている。田畑が持つ炭素循環機能・炭素貯蔵機能に注目が集まり、物質循環を通じて温暖化防止に役立てることができる。

農の役割 生物多様性保全

 農業では農業生態系と呼ばれる、自然環境下での生態系とは異なる生物形態が存在する。農業生態系はある程度人為的な影響があることで成り立っている生態系である。
 現代の農業では農薬や化学肥料の使用により農業生態系が失われつつあるが、伝統的な農業や環境配慮型の農業では、農薬や化学肥料を使用しないので、そこにある生き物は守られる。
 ここには害虫であっても特に殺すことなく、自然の摂理にゆだねる。自然では必ず捕食者がいるため、植物を食べる害虫であっても自然に任せ、カマキリや鳥などの捕食者にまかせる。
 近年SDGsが叫ばれているように環境保全、環境配慮に注目が集まっているが、農業こそ自然の摂理に即した栽培を実践することで、生物多様性を保全し、様々な生物の関わり合いによって成り立たせることが重要だ。

 このほかにある農業の役割についてはVol.2以降に続く。

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