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南九州横断旅3/3

翌日は、鹿児島市から宮崎市の自宅へ帰るルートです。
予定では日の出直後に桜島北西の外輪山から、桜島夜明けの様子を撮影するつもりでした。
しかし気象庁の桜島降灰予報をみると、この時間帯の噴煙が撮影予定地の真上を通過することになっています。
あらまぁ。

桜島の早朝は、通常は噴煙が南東の垂水たるみず方面へ流れるはずなのですが、この日は気圧配置の影響で真反対になっています。
降灰エリアの真下にいると、あっという間に灰で全身真っ白になってしまうので、当然のことながら撮影どころではありません。

そんなわけで早朝の撮影を諦めてルートを変更し、フェリーで桜島へ渡り、桜島の南側を周りながら撮影をすることにしました。

北西へ降灰が流れる
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II
NOKTON 17.5mm/F0.95

私はこの桜島のフェリーが大好きです。
何だか妙にずんぐりしていて可愛らしく、見ていて楽しくなります。
フェリー上から噴煙の行く先を見てみると、確かに北西へ流れ、しかも撮影予定地の直上へ達しています。
こりゃ、やっぱり撮影はムリだったなぁ。

一番上の横長の雲が噴煙。フェリーの向こうに霧島連山が、うっすら見える。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II
NOKTON 17.5mm/F0.95

降灰は一見大したことなさそうなのですが、あの下に行くと想像を超えてエライ目に遭います。細かな灰はあっという間にありとあらゆる隙間に入り込んで、掃除も大変!

面白いことに、降灰を透けてフェリーの向こうに、うっすらと霧島連山が見えます(写真では右奥)。
ここから霧島連山までは45kmほどもあり、降灰があったとしても大気汚染が無ければ、これほどの視程が確保できるという実例です。
これがもしも中程度の大気汚染であれば、一番手前の外輪山ぐらいしか見えないでしょう。以前の中韓からの高濃度大気汚染レベルだと、今見えているフェリーですらもやもやとして見えづらい状態になります。
私たちが日常的に、どれほど重大なレベルの汚染された大気を吸い続けているかということがわかります。
一時期、たばこの副流煙が問題になりましたが、24時間365日、一生吸い続けている越境大気汚染のほうが、遥かに人体に対しての影響が大きいのではないかと思います。
健康に害がないわけがないのに、なぜ日本人は知らないフリをしているのでしょう?本当にナゾです。

桜島からは少し南下して垂水を通過、そこから東進し、高隈山たかくまやまを通って曽於そおへ出ます。
途中、高隈山の峠付近でヤマザクラが咲いているのを見かけました。
南九州ではソメイヨシノよりも早く咲くのが特徴です。

高隈山(1236m)と、峠付近のヤマザクラ
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II
NOKTON 17.5mm/F0.95

曽於では、西を向くと今朝出発してきた桜島と、昼頃通過してきた高隈山をまとめて一望できる場所があります。
朝から旅してきたルートをこうして辿って眺めると、なんだか感慨深いものがあります。旅してるなぁという不思議な気持ちが湧いてきます。

遥か右奥に噴煙を吐く桜島。左端は先ほどの高隈山。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II
NOKTON 17.5mm/F0.95

今の若者は、SNSやYoutube漬けの嫉妬にまみれた大変な環境で生きていると思います。
そんな腐った場所から少し離れて、若い人には旅をしてみて欲しいといつも思っています。全く違う世界が、すぐ目の前に現実に存在するということを知ってほしいのです。

私は「バズる」という言葉が好きではありません。
確かに、自己顕示欲というものは人間にとって大切な要素のひとつです。何故ならそれは生き物の本能に埋め込まれた、生存に欠かせない欲求のひとつであるからです。
だからこそ、いろいろな能力や技術を磨いたり、例えば芸術を追及したり、そういった日々の努力によって自己顕示欲を満たしていくのが本来の人間なのですが、「バズりたい」というのは全く話になりません。
それはただ単に手っ取り早く「目立ちたい」というだけで、能力も努力もなければ、最終的に回転寿司の醤油差しに口をつけて飲むくらいしか出来ることがなくなってしまうでしょう。
彼らを生み出してしまったのは私たちであり、私たちには彼らに対しての責任があると思います。

とにもかくにも、若者はどんどん旅に出ましょう。
どんな旅でもいいと思います。行先はアフリカでもいいし、隣り町でもいいと思います。
いきなり凄いことをやる必要はありません。

世界の素晴らしさを知れば、嫉妬に渦巻くネット社会がいかに惨めでつまらないものであるかを実感として認識できると思います。

少々説教臭くなってしまいましたが、今回のプチ旅はこれにて終了です。
いやぁ楽しい旅でした。
旅っていいなぁ。

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