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クルーズ船でトライする迫力の動物撮影 #15

今年、早くも半分が経過しました。コロナ禍に続いて、降り続く豪雨。なかなか外に出られないでやきもきしている方も多いのではないでしょうか。
今回は、クルーズ船での動物撮影についてお話してみたいと思います。被写体は色々ありますが、まずは鯨類をピックアップ。
私にとってなじみのある知床半島、羅臼でのクルーズを中心に解説します。

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■ 今こそ考えたい野生動物との距離感

野生動物の撮影が身近になってきた昨今、餌付けによる生態への影響や、人身事故・駆除など、野生動物との距離感を一人ひとりが深く配慮しなければいけない時代になってきました。機材の進化と、見栄え優先のデジタル画像の風潮は、インパクトのある、派手な動物写真をネット世界に多数出現させました。
もちろん身近になったことは素晴らしいことでもあります。しかし私個人としては、撮影者が被写体である動物に出会い、推察し、理解し、距離感を配慮して、少しずつ創り上げていくのが本来の、理想的な野生動物撮影だと思っています。
しかし全てがすべて、そういうアプローチの仕方をしていては、あまりにも撮れる動物の種類や枚数が限られてしまうというのも、また事実です。仕事の合間に貴重な休暇をとって動物に会いに出かける方には、時間をかけたアプローチはかなり難しいと思います。
そういう中で撮影者が本来時間をかけて創り上げていくべき「動物との距離感」をシェアしてくれる世界があります。その中の一つがクルーズ船撮影というもの、と言えるのかもしれません。

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多くの人々と、船上で一つの被写体を観察するのは一体感があり、独りで挑むフィールドでの撮影とはまた違った高揚感があります。クルーズ船自体も、もちろん被写体やその周りへの影響に配慮すべきで、実践されている方々も多くいらっしゃいます。それを乗船しながら肌で感じるのも、私たちにとっていい勉強になります。
例えば羅臼の海のシャチは、多くの研究者やスタッフによる長年の観察により個体識別が進んでいます。数年越しに同じ個体に再会できるって、野生動物観察においてはかなりの贅沢。クルーズ船では、そんなプロフェッショナルなスタッフの方たちの長年積み重ねた経験もシェアしてもらえる、と考えることもできます。
前置きが長く成りましたが、まぁそんな感じで、是非クルーズ船撮影を一度考えてみてもらえたらと思い、今回の記事を書いてみます。

■ 被写体:シャチ、マッコウクジラ、珍しい鳥類も

まず最初に、今回ご紹介する知床・羅臼のクルーズ船撮影の被写体をざっくりご紹介してみます。

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シャチ

一番人気は何と言ってもシャチ。あの巨大な鯨類を間近で見られるスポットが、日本国内にもあるんです。研究者やテレビなどの映像制作チームも多数訪れています。
羅臼の海で個体識別されているシャチは300頭近くになるとのことで、世界でもトップクラスだそうです。
ちなみに、ピークシーズンは5~6月頃でしょうか。

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マッコウクジラ

次いで雄大な姿で楽しませてくれるのはマッコウクジラです。日本のホエールウォッチングおいえば、ザトウクジラが有名かと思いますが、こちらではマッコウの方がポピュラーな存在。動物好きの方は、一度見るとその潜水艦の様な迫力に、きっと魅せられてしまうことと思います。潜水前に尾びれを高々と上げる様は、文句なしにカッコイイです。
ピークシーズンは8~9月頃。
クジラ類は他にもザトウクジラやナガスクジラ、さらには謎の(?)新種のクジラなど、とにかく盛りだくさんの出演陣。きっとクジラ好きの方にはたまらないですね。

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イシイルカ

個人的に好きなのがこのイシイルカ。水族館ではお目にかかれない珍しい種類だそうです。泳ぐスピードがかなり速くて、その姿を写真に写し止めるのは至難の業、色がパンダカラーで、シャチに似ていますよね。他にもカマイルカなど、確認されているそうです。

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鳥類

珍しい鳥も観察できる機会が多く、鳥を目当てに乗船される方もいるようです。というのも、すみません!私あんまり詳しくなくて…。勉強しなければいけませんね。ハシボソミズナギドリ、フルマカモメ、トウゾクカモメ等々…。

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いかがでしたでしょうか?いかに多くの被写体に出会える可能性があるか、わかっていただけたかな、と思います。

■ 撮影機材

私が使っている機材をご紹介します。
最も人気があり、動きも速いシャチに合わせた機材セレクトです。
マッコウクジラはシャチよりは動きが遅いので、シャチを捉えられる備えがあれば、対応できると思います。

▼ クルーズ船客室内に並んだ乗客たちの撮影機材 ▼

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