2023年11月12日 東京・両国国技館 DDT「Ultimate Party 2023」観戦メモなど(前編)
まえがき~観戦までの振り返り~
その日は、我が夫の60歳の誕生日だった。
さかのぼる事、約半年前。DDT所属のプロレスラー・赤井沙希選手が引退を表明した。
引退記者会見を見たのは、今年還暦を迎える夫へのお祝いを兼ねて、この秋には夫婦でどこか温泉にでも行こうかと話していた時期のことだった。
発表された引退試合の開催日は、11月12日。
夫が還暦を迎える、まさにその日だった。
「還暦祝いもプロレスにする?」
この夏、夫から私へのバースディプレゼントは、DDT福島大会のチケットと福島1泊旅行だった。
バースディプレゼントの概念が夫婦揃っておかしくなっている。
ってかなんで我々夫婦の誕生日とDDTのビッグマッチの日程が毎度丸被りするのか。素敵過ぎるぞDDT。
「いいの?東京だよ?」
驚きつつ、恐縮しつつ、けれど、めちゃくちゃ嬉しそうな夫。
確かに、宮城県から東京の両国国技館に観戦に出かけるとなれば、私の誕生日の際の福島行きと違って車で出かけられる距離ではない。試合後も、宿泊が必要だろう。
しかし、いつもの誕生日ならともかく、今回は夫がこの世で60年も生き延びたお祝いである。震災とコロナ禍を経ると、生き延びたという表現も決して大袈裟ではない。
そして何より、
「誕生祝いもあるけど、私も赤井さんの引退試合見たい。」
正直な気持ちだった。
赤井選手は、好きなプロレスラーの一人だった。
「女子プロレスラー」ではなく「プロレスラー」。
見た目の華やかさ以上に、リング上での姿勢に魅かれた。ここ数年、サムライTVの中継を通してではあるけれど、正統派のレスリングもハチャメチャな楽しい試合も全く隔てなく他の(男性の)選手達と同じリングの上に立って戦っている姿を見続けているうちに、私は自然と赤井選手を応援するようになっていた。
そんな選手の引退試合である。
どんなカードになるか分からないけれど、出来ることなら会場で見たい。
詳しい対戦カードが発表される前に購入したチケットは2階席最前列。新幹線は試合前日と翌日を手配。あわせて東京2泊分のホテル予約。
それから数カ月間、他団体からの参戦選手や対戦カードが発表されるたびに夫婦で大騒ぎ。
「竹下の対戦相手、クリス・ジェリコだって!」
「マジ?!すっげー!!」
「高橋ヒロムさん参戦するよ!」
「わー!やっと生で見られる!!」
「斉藤ブラザーズ参戦するよ!!」
「え?OH!バンデスの?!」
(注:全日本プロレス所属の斉藤ジュン選手、斉藤レイ選手は宮城県角田市出身。ミヤギテレビの夕方ワイド番組『OH!バンデス』で、「TAXIめし Returns」というコーナーを持っている。ヒールのイメージを維持しつつも会話が常にめちゃくちゃ礼儀正しく、食べ方の美しさにも食レポの言葉遣いにも人柄の良さが滲み出ていて、現在好感度爆上がりのコーナーである。)
さらに、
「赤井選手の引退試合の相手、決まったよ。ビックリする人だよ。」
ある日、帰宅した私に夫がニコニコしながらそう言う。
「誰?」
尋ねると、夫は黙ってスマホを差し出した。そこに表示されていたニュースサイトに掲載されていた名前を見て、私は感激のあまり固まった。
タッグ戦の対戦相手には、丸藤正道選手の名前があった。
小学生の時にテレビで見た全日本プロレスからプロレスを好きになり、三沢光晴選手がプロレスリング・ノアを立ち上げてからはノアを応援していた私。丸藤選手のことはデビューから見ている。シングル戦初勝利の場となった福知山大会にも足を運んでいた。
しかし、札幌に住んでいた頃はプロレスリング・ノアの大会に足を運んでいたものの、オホーツク海側に引っ越してからは観戦の機会も無く、宮城移住後も含めてもう10年以上も丸藤選手の試合を会場では見ていなかった。
まさか、DDTで見られるとは。
「チケット、とってくれててありがとう。」
当日朝、ホテルから両国国技館まで歩いて向かう道すがら、夫に何度も言われたが、ありがとうを言いたいのは私も同じだった。この日に還暦を迎えてくれてありがとう、と。
試合開始は午後2時だったが、私と夫が両国国技館に到着したのは正午前。その時点で、入場とグッズ販売に並ぶ人は長蛇の列となっていた。グッズ販売の列に並んでいると自然と耳に入ってくる周囲のお客さんの会話が皆プロレス愛全開で、それがまた嬉しい。
「みんな、会話がマニアックで凄いね。」
「熱いね。」
「素敵だね。なんか、嬉しいね。」
「ねー。」
そう何度も夫と小声で言い合っていたが、そんな夫の着ているTシャツは大鷲徹選手のもの。
私にいたっては、復刻版ではないオリジナルのアンタッチャブルTシャツである。周囲から見れば、我々も十分マニアックで熱い存在だったであろう。
余談ではあるが、この日の観衆は4785人で満員。チケットは完売状態だったらしい。早めにチケットを取っておいて良かったと心から思った。
グッズを買い求めてから指定席へ。
(グッズ購入後のサイン会での出来事についてはまたあらためて書きたい。嬉しすぎて鼻血出るかと思った。)
2階の最前列は、リングも場外も全体を見渡せる上に大型ビジョンの映像も見やすくて快適。試合開始まで大型ビジョンでの各選手のコメント等を楽しんでいたところ、ついさっきまでいたグッズ販売会場でもベルト争奪戦が繰り広げられていたことを知り、あっちゃーと後悔。DDT、会場のどこでどんな楽しい展開が起こるか予測不能なので気が抜けない。
そんな状態なので試合開始までも全く退屈することなく過ごし、あっという間に午後2時を迎えた。
各試合結果については、公式サイトにすでに掲載されている。
今回の大会について掲載された週刊プロレスが発行される前にレポートを書こうと思っていたのだが全く間に合わなかった。いや、そもそも私は長年プロレスを見ているくせに、きちんとしたプロレス観戦レポートを書くほどの技の知識に乏しい上、基本的にミーハーである。
なので、以下は当日会場にいたプロレス好きの一人の雑感・一言メモとして軽くお読みいただければ幸いである。
なお、各試合結果と時間は上記リンクの公式サイトから引用させていただいていることをご了承願いたい。
オープニングマッチ 60分一本勝負 KO-Dタッグ選手権試合
〇高尾蒼馬、翔太<王者組>(7分46秒 エビ固め)高梨将弘、●アントーニオ本多<挑戦者組>
第一試合からタイトル戦って凄い。前菜じゃなくメイン。乾杯のお酒で定番のシャンパンかと思いきやいきなり一ノ蔵のスパークリング日本酒が出てくるような嬉しさ。
試合は第80代王者の高尾、翔太組が初防衛に成功。動きがスピーディーで楽しい。
アントンの「ごんぎつね」ネタが出てくるのも早くてビックリ。
試合時間は短かったけれど盛りだくさんで楽しい試合だった。
第二試合 時間無制限勝負 時間差入場タッグランブル
岡田佑介、〇高鹿佑也<3>(9分32秒 アマレス式カニ挟み)KANON、●MJポー<5>
※<>内は入場順。
【試合経過】
①○土井成樹、須見和馬<4>(4分18秒 エビ固め)●夢虹、瑠希也<2>
②KANON、○MJポー(6分38秒 片エビ固め)●小嶋斗偉、石田有輝<1>
③○岡田佑介、高鹿佑也(7分53秒 オーバー・ザ・トップロープ)●土井成樹、須見和馬
タッグチームが次々と入ってきて試合展開が早い。タッグなんだか誰が敵でどっちが味方なんだかもうよく分からなくなる。それが楽しい。
通常のプロレスルールに加えてオーバー・ザ・トップロープ(トップロープを超えて場外に落とされたら負け)というルールもあるので、トップロープにしがみつく選手の姿という普段なかなか見ない光景も。
小嶋斗偉選手が早いうちに脱落してしまったのがちょっと残念。もっと見たかった。
第三試合 20分一本勝負 東京女子プロレス提供6人タッグマッチ
東京女子プロレス提供6人タッグマッチ(20分1本勝負) 〇荒井優希、宮本もか、鈴木志乃(11分15秒 片エビ固め)鈴芽、遠藤有栖、●上原わかな
個人的に女子プロレスの試合観戦は今年1月の仙女以来で久しぶり。
コスチューム可愛い。スカート長くて動きづらくない?って思ったけどどの選手も動きが良い。そして華やか。楽しかった。
第四試合 30分一本勝負 スペシャル8人タッグマッチ~ジャパニーズ土下座マッチ
ヨシ・タツ、ヨシ・ヒコ、男色ディーノ、〇スーパー・ササダンゴ・マシン(8分20秒 土下座)●高木三四郎、彰人、大石真翔、川松真一朗
タッグチームの顔ぶれだけで笑える試合。ヨシ・タツとヨシ・ヒコのタッグって絶対名前で選んだでしょ。試合開始前からもう楽しいのに、「この試合は通常のプロレスルールでは行いません」って輪をかけて笑わせにくる。相手を土下座させて謝らせたほうが勝利となる特別ルールってなんだそれ。もう楽しい予感しかしない。
案の定、試合が始まったら爆笑の連続。マジで腹筋が痛くなるくらい笑った。
ハクくん(男色ディーノ選手の愛犬)をダシにしてディーノさんを脅すのズルいわー。
でもササダンゴさん、カメラの使い方が上手いわー。
ってか、議員レスラーってこういう使い方(使われ方?)があったのか。とりあえず、我々夫婦の間ではスカイツリーがしばらくキラーワードになりそうだ。
高木大社長の土下座で大団円。やっぱり好きだ大社長。いいもの見させていただきました。
第五試合 30分一本勝負 スペシャルシングルマッチ
〇黒潮TOKYOジャパン(13分14秒 十字架固め)●正田壮史
黒潮イケメン二郎だった際に全日本プロレスの網走大会で一度観戦しているけれど、その時以上に入場が長かった。がばいじいちゃんの入場を超えていたと思う。
試合は正田選手を応援していたのだけれど、善戦はするものの「勝てる!」と思わせてくれた場面が無かった気がして悔しい。ってか黒潮選手が強い。とはいえ、ぶっちゃけ正田選手のほうがリアルイケメンだと思うので(注:イケメン判断基準には個人差があります)、イケメン枠を乗っ取るくらいにこれから活躍して欲しい。
第六試合 30分一本勝負 スペシャル6人タッグマッチ~DDTvsVOODOO-MURDERS~
秋山準、HARASHIMA、〇納谷幸男(10分11秒 体固め)斉藤ジュン、斉藤レイ、●歳三
めちゃくちゃ楽しみにしていた試合。
期待以上に大満足。
秋山選手もHARASHIMA選手も納谷選手もファンなのに、対戦相手がここしばらく自分の中でイチオシ状態になっている斉藤ブラザーズ。プロレスの場でヒールとして存在している斉藤ブラザーズの強烈な闘いっぷりを初めてナマで見たことで、日頃見ているOH!バンデスでの斉藤ブラザーズの魅力も再認識。
とにかく良い試合だった。書ききれない。全部凄かった。
施設でフェロモン抜きをしたD王出場の飯野、退所を報告!
この一文を試合結果と同等にアップしてる公式サイトが好き。
普通のスーツ姿の飯野選手にどよめきと笑いが起こるDDTの会場のお客さんが大好き。
第七試合 30分一本勝負スペシャルシングルマッチ
〇佐々木大輔(14分50秒 TKO勝ち)●遠藤哲哉
この試合に至るいきさつは見てきたけれど、それを抜きにしても純粋に見ごたえのあるシングルマッチだった。第七試合、ということもあって、普通の(2~3時間程度の)大会ならこれがメインでもおかしくないよな、とも感じた。
最後はクロスオーバー・フェースロックからのレフェリーストップだったけれど、遠藤選手はまだまだ終わらせるつもりは無かったんだろうな、というのが観戦していた印象。
前のタッグマッチもそうだけれど、「楽しい」だけじゃなくこうした見ごたえのある試合もあるのが嬉しい。どっちもプロレス。どっちも好きだ。
一言メモといいながら、すでに4,000字を超えてしまったので、続きはまたあらためて書きたいと思う。
お読みくださいました皆様、ありがとうございます。
続きもまたお読みいただければ幸いです。
※ 続き書きました。全然一言メモじゃない長文で申し訳ありません。
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