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「インテル入っている」の凄さ

【イングリーディエントブランディングの成功事例】

イングリーディエント・ブランディング(成分ブランディングとかインブランディングと呼ばれたりもする)の成功事例は、何と言ってもintelだ。

インブランディング自体は古くからあるものだが、90年代にintelが決定的なものにした。

「インテル・インサイド」は業界全体を巻き込む戦略で成功

パソコンの部品メーカーでありながら圧倒的なブランド認知を誇り、世界のブランドランキングのトップ10にコカ・コーラ、ディズニー、マクドナルドといった錚々たるブランドと肩を並べてランクインするintel。

彼らの成功を語る上で欠かせないのが、「インテル・インサイド」という革命だ。


売上の1/5以上の予算を使ってブランド力を強化

intelは1980年代から優れたメモリ・チップを生み出す企業として業界では一定の地位を獲得していた。しかし、エンドユーザーにはintelというブランド名はおろか、優れたプロセッサーのベネフィットすら十分に伝わっているとは言えなかった

intelは最新技術の開発や性能と信頼性の保証のために莫大な投資を費やしてきた歴史がある。この点を消費者にわかりやすく伝えるために、より強いブランドが必要だった。


彼らは当時の売上がまだ500万ドル程度だったときに、100万ドル以上もの予算を使って、ブランド力を強化するためのマーケティング活動を開始。


様々なリサーチや実験を経て、プロセッサーというコンピュータの奥深くに埋め込まれている部品の品質や優位性を消費者に正しく伝えるためには、コンピュータ・メーカーと協働する必要があると判断した。


インテルのロゴを全メーカーのパソコンに付けさせる方法

彼らの命題は、できる限り多くのコンピュータ・メーカーにインテルのロゴを付けてもらうこと。

そのアイデアは当時は斬新なものだった。

彼らは、新しい広告のために「インテル・インサイド」という標語を打ち出すとともに、すべてのコンピュータ・メーカーに対し、インテルのロゴを含んだパソコンの印刷広告のために広告費を協力して負担すると提案した。

要するに、インテルのロゴを御社のパソコンに付けてくれさえすれば、格安で広告を打てるし、御社のパソコンが最新技術に支えられていることをアピールできますよ、という交渉を全メーカーに持ちかけたのだ。

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当時、部品メーカーがエンドユーザーに対してマーケティングすることは明らかに新しいアイデアであり、マクドナルドと同じレベルで勝負することに疑問を呈するメディアもあった。

だが、蓋を開けてみれば結果は明快。

1991年7月に開始したこのキャンペーンは、年末までに300ものメーカーが協力を表明することに。大々的な印刷広告とテレビCMなどでintelの名は一気に広まったのだ。

実際、インテル・チップの認知度は1992年がパソコン購入者のおよそ22%だったのに対し、1994年には80%に急増した。


今やインテル・プロセッサーは数多くのパソコンメーカーで採用され、パソコンの品質を表現するマークのひとつとなっている。

もはや「インテル・インサイド」の標語はロゴから取り除かれ、intelという文字だけで世界中の人々が彼らのメッセージを読み取ることができるのだ。


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