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人と犬の情緒的なつながりが里親を増やす

【ダイレクトマーケティングの成功事例】

顔認証を用いた人と犬のマッチングサービスで里親探しが活性化

マーズニュージーランド社のペディグリーといえば、日本でも広く知られているペットフード。

同社はブランドのミッションの一つに「犬に優しい世界」を打ち出していて、そのための活動として里親探し運動を行なっている。

これは捨てられた犬の悲惨な状況を国民に認知をしてもらうことを目的としたもの。しかし、成果はそれぞれの判断基準に委ねらるため、成功したと言えるキャンペーンが存在しないのが実情だった。

そこで同社はNECと協業して、この状況を打破することを試みた。

保護施設の犬の飼い主を増やすことが一番の目的

犬を飼いたい。そのような人は多くいる。

しかし、保護施設に収容された犬が、ペットの候補から除外されてしまっていることも事実。

保護施設に収容された犬は、決して犬自身に問題があるわけではない。

このキャンペーンで重要なインサイトとは、人と保護施設に収容された犬との間に絆を作り上げることだった。


ペディグリー社のこのキャンペーンは、商品を買ってもらうことが第一の目的ではない。

まずは、飼い主がいない犬が困窮している姿を人々に知ってもらい、飼い主になってもらうことだ。次に、どうしても飼うことができないのであれば、募金をしてもらうこと。ペディグリーの商品を購入というのは優先順位としては3番目であった。


人と犬の情緒的なつながりを、テクノロジーで実現する

同社はこれまでの活動を振り返り、コミュニケーション戦略において欠けているものを発見した。

それは、人と犬の情緒的なつながりだ。

調査や研究によると、幸せな状態にいる犬とその飼い主には共通の性格があり、外見的にも似てくるという傾向があるようだ。

そこで、キャンペーン動画では、一般の飼い主に加え有名人も登場し、犬と飼い主の特徴の類似性を強調したシーンを登場させた。

そして、キャンペーンの目玉となったのが、世界でもトップレベルの技術を誇るNECが開発した顔認証ソフトウェアを用いたサービス「ドッグルゲンガー」だ。

本来は、テロなど犯罪を防止するための認証技術であったが、これで人と犬の外見上の共通点を探し出し、飼い主となってくれる人とのマッチングを行ったのだ。

操作は簡単。ドッグルゲンガーのウェブサイト上に自分の顔写真をアップロードするだけ。

すると、目、鼻、口など顔の各部が分析され自分の分身とも言える犬が収容施設内のデータベースからピックアップされて画面上に映し出される。

その犬を見て、是非会いに行きたいと思えば、オンライン上で双方の詳細をやり取りし、会いに行く日時を申し込むことができる仕組みだ。


SNSで拡散され、里親探し運動は国外にも波及

このキャンペーンの効果は、まずは何と言ってもサイト訪問数が飛躍的に伸びたことであった。

また、ソーシャルメディアでも盛んにシェアされ、他国でも同じように犬の里親探しが始まったのだ。

ニュージーランド国内にある犬の収容施設との提携は、人と犬を結び付ける上での重要な役割を担い、実際に犬に会いに来るという最終的な行動に結びつけることができた。

このように、テレビでキャンペーンを行うだけでは到底達し得ない結果をもたらしたのが、ペディグリーによる犬の里親探し「ドッグルゲンガー」であった。


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