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中堅・中小企業7社のリアルなブランディング術を学ぼう


成長の原動力にブランディングを選んだ中小企業の挑戦

本書はいち早くブランディングの重要さに気づき、ブランディングを成長の原動力として活用してきた7社の事例を紹介した書籍です。

巻頭の特別インタビューでは、良品計画の前会長である松井忠三氏が「MUJI」ブランドをどのようにして日本発のブランドとして構築してきたのかを語っているほか、すべて中小企業の事例となっています。

ブランディング関連の書籍といえば、大企業や外資系企業の成功例が書かれていることが多いですが、本書は中小企業に特化して紹介しているところが大きな特徴です。

日本企業の大部分を占める中小企業の事例にフォーカスした書籍は決して多くないため、中小企業の経営者やブランド担当者にとってはロールモデルとはしにくい側面もありました。

しかし本書は、中小企業のブランディング事例をキャッチアップするのに非常に参考なるのではないかと思います。


本書で紹介されている7社

関家具(家具企画販売)
API(電子部品製造)
りらく(リラクゼーション業)
良品計画(小売業)
イマジナ(コンサルティング)
ヤマセ村清(塩干物卸)
武蔵境自動車教習所


ブランドありきで、独自性と優位性を構築する

著者は、「良いモノを提供し、お客さまから喜ばれれば、それがブランドになる」という発想に日本企業が陥りがちだと指摘します。

そして、「いわなくても、分かるだろう」「いい仕事をすれば、結果は後からついてくる」というメンタリティはブランディングでは禁じ手だと語っています。

本書で紹介されている中小企業は、そのようなマインドを打破していったマイノリティな存在であり、もしかすると当時は異端者であったかもしれません。しかし今ではこの7社は、日本を超えて世界に大きな存在感を放つ企業へと成長しました。

「企業の成長はブランドありき」という強い信念を持ち、「世界」を見据えて事業を成長させた、ブランドマネジメントの先駆者といえるでしょう。


社員にモチベーションと誇りを生み出す

たとえば本書で紹介されている武蔵境自動車教習所は、自動車免許取得を人生の大切なライフイベントと定義し、地域社会すべてが顧客、だから教習所全体で地域社会に貢献するのだ、という意識改革を行いました。

年末には餅つき大会、夏には花火大会と言った地域貢献のイベントを開催。また教習の待ち時間にネイルやマッサージを導入することでLTVが向上していきます。

この取り組みの成功要因にあるのが、「社員満足」「顧客満足」「地域社会貢献」という3つキーワード。「社員が満足していれば、顧客を満たし、地域に貢献できる」ということを徹底して実践していったのです。


本書の成功事例は、理論を全面に押し出したものというよりは、泥臭く人間臭さを感じるものが多いです。しかし、その人間らしさこそが人の心を打ち、人を行動へと駆り立てるのではないでしょうか。

中小企業のブランディングは、ある意味結果が出やすいともいえます。ブランディングを行うことで優秀な人材が集まり、社員にモチベーションと誇りを生み出す。そして、この好循環こそが、企業を成長させる重要な原動力となっていくのだと思います。

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