マーケティング戦略「パス・トゥー・パーチェス」を解説:ジョンソンベビーの成功例から
パス・トゥー・パーチェスとは?
パス・トゥー・パーチェスは、カスタマージャーニーにおける購買までの道のりを示したものです。
消費者は特定の商品やサービスに対して「認知する」ことから始まり、それを「知識」として蓄えます。
次に「好感」を抱いたり、「選考」するという感情が生まれます。
そして、「確信」して「購入」に至るという行動が実現します。
このような「認知→知識→好感→選好→確信→購入」の順番が顧客体験を分析する上で重要視されています。
なぜパス・トゥー・パーチェスが重要?
オランダに本部を置く世界的なコンサルティングファーム「KPMG」によると、パス・トゥー・パーチェスは、インターネット、デジタルイノベーション、そしてeコマースの台頭によって、過去10年間で大きく進化したマーケティング・コンセプトだと言われています。
消費者が「認知→知識→好感→選好→確信→購入」という段階を踏むこと自体は変わりませんが、デジタルの発展によってカスタマージャーニーそのものが変わりました。
従来の直線的な購入への道にデジタルが加わることで、消費者は各ステージで無数のオフラインとオンラインの両方の要因の影響を受けながら、ステージ間を行き来するようになります。
このことが何を意味するのか?
確かに、消費者の購入までの道のりにオンラインチャネルを考慮することは重要です。
事実、認知の段階でのオンラインとオフラインにおけるタッチポイントの影響を比較すると、52%の消費者が少なくとも1つのオフラインチャネルを初期認識のソースとして引用し、59%が1つ以上のオンラインチャネルを引用しています。
特にミレニアル世代は、古い世代よりもオンラインソースの影響を受けやすい傾向があります。
ただ一方で、ミレニアル世代は、ベビーブーマー世代よりも最近購入した商品を店頭で見た可能性が25%高く、友人にそれについて話をした可能性が50%近くあるというデータもあります。
つまり、ただ闇雲にオンライン施策を重視するのではなく、購買までの道のりでターゲットがどのような情報に影響を受けているのか、どのような情報を信頼できるソースとして扱っているのか、購買までの道のりの各段階に対して緻密な分析を行い、最も最適なマーケティング戦略を立案することが重要と言えるでしょう。
パス・トゥー・パーチェスで成功したジョンソンベビー
「パス・トゥー・パーチェス」を用いて顧客体験を細かく分析しているのが、ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニーです。
彼らは何が消費者の行動のトリガーとなるのか、あるいは行動の障害になるのか、パス・トゥー・パーチェスを段階ごとに一つひとつ分析しながら、緻密なマーケティング戦略を展開しています。
その顕著な成功例が、妊婦向け・赤ちゃん向けのボディケア用品をラインナップしている「ジョンソン ベビー」シリーズ。
同社はターゲットであるお母さんについて、子どもが生まれる前から生まれた後までの長期的な視点で、パス・トゥー・パーチェスを描いています。
妊婦がもっとも信頼している情報ソースは?
ターゲットのパス・トゥー・パーチェスは、妊娠がわかった喜びの瞬間からはじまり、妊婦はお腹が大きくなるにつれて赤ちゃんに関する情報に興味を持ち始めます。
オンライン・オフラインを横断した様々な方法で情報収集をする中で、妊婦がもっとも信頼している情報ソースは何か?
やがて赤ちゃんが誕生したとき、初めての入浴はどこで行われるか?
こうしたブランド接点をつぶさに調べていくと、重要なタッチポイントとなるのは産婦人科であり、医師や看護師であることが浮かび上がります。
お母さんは出産の過程で医師や看護師の情報を信頼し、院内で使われているものをよく観察しているのです。
そのため、ジョンソン ベビーは消費者向けのPR戦略のみならず、医療関係者向けのPR戦略にも非常に力を入れています。
その結果、多くの産婦人科に自社の商品を採用してもらうことで、非常に効率よくターゲットとのブランド接点を構築することに成功したのです。
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