ファーストクラスと自家用ジェットの“隙間”に隠れていた勝機
【ブルーオーシャン戦略の成功事例】
ブルーオーシャン戦略とは、競合のいない新しい市場を創造し、高付加価値商品・サービスを低コストで提供することで、利潤の最大化を実現する戦略のこと。
既存の競争が激しいレッド・オーシャンで商品・サービスを提供するのではなく、いかに競合がいない未開拓の市場=ブルー・オーシャンを発掘するかがこの戦略の鍵である。
プライベートジェット機のシェアで、高付加価値と低コストを実現
アメリカのネットジェッツ社は、プライベートジェット市場で最大規模の売り上げを誇るトップ企業。彼らはブルーオーシャンを創造して大きな成功を収めたと言われている。
ネットジェッツが設立された1960年代、富裕層の長距離移動の手段は、旅客機のファーストクラスを利用するか、プライベートジェットを利用するかの二択しかなかった。
旅客機はプライベートジェットに比べると移動時間がかかり、到着する空港の数も限られている。一方、プライベートジェットはより高速で到着できる場所の選択肢も増えるため利便性は高いが、莫大なコストと維持費がかかるため、ごく一部の限られた人たちのマーケットとなっていた。
そこでネットジェッツが提供したのが、プライベートジェット機のシェアサービス。
複数の利用者とジェット機を共有することで、コスト削減を実現しながらプライベートジェットの利便性と快適さが手に入るようにしたのだ。
価格は旅客機のファーストクラスよりは高いが、その価格を遥かに上回る価値に利用者が急増。小規模だったプライベートジェット市場に新規層を呼び込み、一気に数十億ドル規模のトップ企業へと躍り出たのである。
プライベートジェット機の最も優れた価値だけを提供し、その他の要素を徹底的に排除することでコストを抑える。ブルーオーシャン戦略のお手本のような事例だと言える。
なお、ネットジェッツの創業は1964年。近年はAirbnbやUberなどシェアリングエコノミーが流行しているが、そのビジネスモデルを50年前に実践していたというのも驚きだ。
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