業界2位を守り抜くモスの独自性

仏教の僧侶でも食べられるヴィーガンバーガー「グリーンバーガー」が話題沸騰中のモスバーガー。本日はモスバーガーの差別化戦略を紹介したいと思います。


業界2位を守り続ける、モスバーガーの手堅さ

ハンバーガー業界では、「マクドナルド」が一時期の不調からV字回復し、他の追随を許さない圧倒的な売上高で業界1位を独走しています。

2位以降は大手チェーンが続きますが、高級志向の新たなポジションを狙うハンバーガー店の出店が相次ぐなど、業界の競争自体は激化していると言えるでしょう。

その中で、業界2位の地位を守り続けているのが「モスバーガー」です。
 
 
近年は冒頭のグリーンバーガーなど話題性のある商品に注力しているモスバーガーですが、マクドナルドや業界3番手のロッテリアなどに比べると、話題をかっさらうような強力な新商品を大々的にプロモーションするような目立った動きはありませんでした。

しかし、モスバーガーは堅実な経営計画のもとに、売上目標をほぼ達成し続けているそうです。さらに、ファストフード店の人気ランキングなどではマクドナルドを抑えてトップに立つこともあり、その人気ぶりは手堅いものがあります。
 
 
 

「手作り、素材へのこだわり」という強いイメージ

モスバーガーの手堅い人気を下支えしているのが、モスバーガーの差別化戦略です。

モスバーガーブランドの独自性は、何よりも「おいしさ」をあらゆる面で追求し続けるというもの。

多くのファストフード店が商品の提供スピードや価格にこだわるのに対して、モスバーガーは受注後に調理をスタートさせることで、できたての「手作り感」を追求しています

パティは、日本人の味の好みを考慮して、あえて牛と豚の「合い挽き」に。国産素材へのこだわりも、「日本人の好みにあったハンバーガーを提供する」という創業からの理念を貫いているからです。

また、バンズには全粒粉や国産小麦を配合し、レタスなどの食材は国内の農家とのネットワークから調達している。こうした安心・安全な食材へのこだわりも、ファストフード店の中でも突出した領域にあります。
 

さらに、モスバーガーはフランチャイズ店の割合が高く、地域に密着した店舗展開や地域色豊かな商品開発を得意としています。

照り焼きチキンバーガーやモスライスバーガーなどの和風メニューを定番化する一方で、ご当地メニューなどでも日本人向けの味を淡海。

これも他のファストフード店にはない独自性と言えるでしょう。
   
 
 

中価格ポジショニングを徹底

モスバーガーは古くから、マクドナルドのような低価格路線とプレミアムなハンバーガーを提供する高級ハンバーガー店の高価格路線との間で、いわば「中価格」のポジションに位置しています。味や食材にはこだわりながらも、決して高級バーガーには振り切りすぎないように絶妙のバランスをたもっています。

この「中価格路線」と「おいしさ」を追求する姿勢を守り続けている限りは、モスバーガーは他の既存チェーン店とも新しい高級ハンバーガー店とも競合することはないでしょう。

つまり、この「ぶれない姿勢」によって、モスバーガーは長期的な差別化要因を確立させているのです。

テイクアウト需要の急増に対応することで、コロナ禍もうまく乗り越えている印象が強いモスバーガー。マクドナルドの牙城を崩すのは難しいと思いますが、これからもどんな独自路線で2番手の座を守り続けるのか、注目したいと思います。

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