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車の昭和が終わる

※新型コロナウィルスにはまったく関係のない記事です

5ナンバーセダンの終わり

この3月をもって、トヨタプレミオ・アリオンが終売となる。現行型は2007年に発売し、2016年に大規模なマイナーチェンジを実施している。それほどお金をかけるまで売れてないけど、廃止するほど無視はできないという微妙なラインだったので、大きなマイナーチェンジをしたと思う。

プレミオ・アリオンが生産を終えれば、新車で手に入る5ナンバーセダンはカローラアクシオのみとなり、それもいずれ生産を終えるだろう。したがって、国内のために作られたセダンはクラウンくらいなものになり、そのクラウンすら次期モデルはセダンにこだわらないというニュースも出ている。こういうニュースが出ると、続けて欲しいという声も出る。私も無責任にそんなことを思ったが、今さら新型プレミオが出て買いたいと思うだろうかと自問自答してみると、たぶん買おうと思わない。きっと買いたいと思うプレミオ・アリオンが出て来たとしたら、きっと「これはプレミオ・アリオンではないだろう!」という車になると思う。

ダウンサイジングも円滑に進む

プレミオ・アリオンが出たのが2000年とか2001年ごろ。あの当時すでに主なユーザーは50歳以上なんて言っていたから、今では相当なものだろう。70~80歳になってくると、周りも軽自動車なんかに乗っていたりするし、たぶんダウンサイジングに抵抗はない。大きな車がいいと思っている年配の人は、プリウスあたりに乗り替えているだろうし。だから、長年トヨタディーラーと付き合いがあって、どうしても5ナンバーでなくてはいけない人にはライズやルーミーを売ることになる。タイプは全然違うけれど、トヨタの営業力はそういうものだと思う。実のところユーザーも欲しくてプレミオ・アリオンを買っていたのかわからない。それほど車は営業の采配によるものが大きい。今までは商品があるから売っていたが、なくなったらあるものを売ってしまうのが自動車営業のおもしろいところ。人と人との関係というのが一番大事なんですよね。20年前より、ずっとスムーズに移行できると思う。

コロナ・カリーナの思い出

プレミオといえば、我が家も乗っていたことがある思い出深い車である。その前はコロナ。ずっとトヨペット店のお世話になっていた。だからコロナとプレミオには思いがある。自分が運転の練習をしたのもコロナ、プレミオだった。そしてアリオンはカリーナの系譜である。この2台はカローラとともに幼い頃から親しんだ代表的な車である。70~80年代生まれの世代にとって、実はとても身近な車のはずだ。なぜなら、学校に絶対乗っている先生がいたからだ。小学生くらいの頃はどっかの担任。中学や高校時代は教頭や校長。私の中学時代は校長がカリーナ。高校は教頭がコロナとカリーナ、校長がブルーバードだった。特に高校時代の教頭はコロナセレクトサルーンディーゼル4WD 5MTに乗っていたのを覚えている。素晴らしい。(ちなみにブルーバードの系譜であるシルフィも引退されるらしいです)。

そんな人生の先輩も定年退職をし、今では70後半から80代になっておられる。元気な方もいらっしゃるが、鬼籍に入られた方もおられる。後に続いた先生方はミニバン世代だった。ちょうど定年を迎える頃だが、きっとセダンには乗っていないだろう。使うのがためらわれるほど使い古された言葉だが、車界の昭和がとうとう終わる気がする。

最後まで統合しなかったトヨタ

新型コロナウィルスという言葉が出た2020年。何度新型コロナという言葉に反応してしまっただろう。私は古い人間だなと思う。しかし、今はプレミオという名前でよかったと思う。歴史あるブランドが悲しい終わり方になるのを避けられたからだ。そして、かつては販売店が異なり、熾烈なライバルだったコロナ・カリーナも、本当に時代の流れ。最後は仲良く全トヨタディーラーで並べて扱われ有終の美を飾る。こんな日が来ると誰が思っただろう。似たような車が全部統合される中で、ラインナップも価格もほとんど同じ車を、最後まで統合せずに売られる。私はコロナ・カリーナの歴史への敬意だと思う。

あの頃、こんな未来を誰が予想しただろう。自動車の未来は予想できない未来だ。私たちが70歳代になるのは2050年か60年ごろ。あれほどまで売れたミニバンやSUVの名ブランドたちが終わりを迎えるんだと、2010年生まれの若者に書かれているのを読みたいと思う。

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