第13回夜の散歩報告書


ここじゃないどこかへ どこかへ どこかへ
ここじゃないどこかへ…はー。




これは僕の好きなバンド、赤い公園『Mutant』の歌詞の一節だ。
先日、作詞作曲・ギターを担当している津野米咲さんが自裁したとの報道に心底驚き、悲しみに暮れました。勝手なことを宣いますがこれからの日本の音楽界にとって大きな損失だと思います。
つくづく思うのですが人はいつだって、誰だって《ここじゃないどこか》へ進もうとしているのではないでしょうか。むしろその行為そのものが生きていくということ、【人生】というものなのではないでしょうか。







昨年の秋にはじめた夜の散歩が早いもので一周年で御座い。
今回で13回目だったので、月に1度のペースでやっていることになりますね。
『YJ夜の散歩』というLINEのオープンチャットにて夜の散歩er達に「何か良いルートありますか?」と相談すると既読スルーの嵐のあとにひとつだけ返信。希望が灯りそのルートに決定。しかし提案した方は当日来ず。実に夜の散歩erらしくて良かったですね。


ここ最近、雨天や曇天ばかりでスッキリとした晴天が中々望めなかったけれど当日、寒くないし晴れ渡った夜で、絶好の夜の散歩日和。

従来通りオープンチャットでは一週間くらい前に告知していて、Twitterでは当日告知。
両方あまりの反応の無さにビビるも、散歩erのひとりプロシュートさん(仮名)は「行きます!」と言ってくれていてひとりは確保しているのでピン散歩になる危機は回避。
23時50分頃に渋谷駅ハチ公口の脇にある交番横で赤ワインをやっていると、オープンチャットで続々と散歩er達から「行きたいけど行けません」とか「行かないです」とか「お元気で」みたいな発言があり、何故だ。何で行かない事を直前に報告するのだ!その報告はいりませんよ!
全く天の邪鬼ばかり31人集まったものである。その突き放すような所業にハッキリ言って興奮した。ゾクゾクした。


土曜の夜の渋谷は若者達が我が物顔で縦横無尽に闊歩していたけれど、やはりコロナ前の雑然とした喧騒にはほど遠く、僕の嫌いなあの渋谷よりも随分と落ち着いて佇みやすいなあと思った。
しばらくするとプロシュートさんがやってきた。前回番外編のお月見の会に参加してくれたけど散歩は初。僕と同い年くらいに見える40台半ばのナイスミドルな男性で、思えばこの夜の散歩に確りとした面識のない男性が参加するのははじめてで、これからもどしどし男性参加者も増えていって欲しいものですね。
「今日はサシ散歩かもしれませんねえ」と言っていると、おひさしぶりですと清原さん(仮名)がやってきた。清原さんは第6回、第8回に続き3度目の参加。クレオパトラ長谷川さんにリトルYJと呼ばれている性格が捻れたうら若き乙女で、動物系の大学に通っている。長谷川さんに言われて、もし僕が若い女だったら確かにこんな感じだろうなと思う。御愁傷様です。


まだ誰か来るかもしれないと交番横で待機していると、紫色の髪の毛のおじいちゃんが周囲に怒りを発散させながら罵詈雑言の限りを尽くし蹌踉としていた。髪が紫色おばあちゃんは見かけるけど、その髪色のおじいちゃんは珍しいなと思って眺めていた。
良く言えばロック悪く言えば可哀想な人だった。そんな人など存在しないかのように周囲はササッと上手に距離をとる。おじいちゃんを中心にぽっかり開いた円状の空間が渋谷駅前をふらふらと移動していく。日本の若者は空気を読むのが上手いというけど、なんだかそんなことを思う。
眺め続けていると、少し離れたところで若者と口論になっていた。わあ、危ないなあと思っているとどうやら口論ではなくて、随分と共鳴しあって短い時間で親しげになっている。その若者も紫色の髪色だった。なんとなく人は誰だって独りじゃないんだよ、とおセンチYJ。

15分まで待つも当たり前のように誰も来る気配はなく出発。今回は渋谷から浅草まで行き雷門を見に行くという、東京メトロ銀座線制覇ルートである。きっちり銀座線沿いに歩くと距離がありすぎるので、ショートカットしつつ浅草に向かう。その距離は12.2kmで、机上でこの距離だと実際に歩くと結構距離がある。なぜなら夜の散歩は飲酒しているし、気になる箇所では道草を食うし、迷子になるからである。スポーツタイプの自転車を手に入れ乗り慣れた今じゃ12.2kmなんて40分強で走破出来る距離ではあるけれど、夜の散歩においてはじまる前の机上では最長距離でまっこと一周年に相応しいルートである。


自己紹介や近況、個人的ニュースなどを報告し合っていると、プロシュートさんは今現在デートしているお相手がいて、その話はあとでじっくり聞くことにしたけど散歩翌日にオープンチャットにて「フラれた」との報告あり。ほんと律儀な方である。まあ、話しやすくウィットに富んだ素敵な男性なのですぐに恋人は出来るでしょう。

清原さんは、動物系の大学に通いはじめたら猫や犬なとにアレルギーが発覚したという面白さんなんだけど、コロナ以降の大学の感じを聞くと、もう割りと普通に大学は再開しているのだけど、先日ネズミの解剖をしたら、以前は平気だったのにアレルギー反応が出て全身に赤い湿疹。アレルギーが増えていたらしい。学校側から、あんまお前学校来んなよと言われ特別待遇を受けるという始末でさらに面白さんになっていた。笑っちゃいけないんだけどスゲー笑った。


青山通りを進んでいて、ふとスマフォを見ると着信アリの表示。
ブラックパイナーSOSの山野さんからだった。もしかしたら今日散歩に参加しようとしてたのに置き去りにして出発しちゃったのかと思い、あわててコールバック。
すると、どうやらそうではなくて仕事終わりで中野にいたから、家にいたらちょっと飲もうか?という誘いの電話で、わあ、散歩中ですがな我と思い残念。また誘ってくださいと電話を切ってしばらくすると山野さんからLINEの通知。そこには動画が貼り付けられていた。
その動画は道を人が歩いている後ろ姿で、何だろうと思ってよく見ると、3人いてふたりは男性で、ひとりは女性の…と、うわッ!これ俺らじゃん!と後ろをバッと振り替えると巨人の影がゆらゆらと揺れ、フハハハハと高笑い。

そう、山野さんはこういうことをよくやるのだ。サイコな演出と共に登場した山野さんは、24時15分くらいに渋谷に到着して、僕のツイートを見て出発してしまった!と見失い、諦めかけたけど、とりあえず浅草までのルートを調べて青山通りを闇雲に追いかけてきたらしい。僕に電話をしても出ないし、嫌ンなっちゃってたけどコールバックがあり遥か前方で三人組を発見。サイコな演出を思いつき登場。

斯くして4人での散歩となった。なんと山野さんと直接会うのは昨年の12月に山野さんと僕とアイデンティティーの田島で秋葉原にカラオケ行った以来だった。

山野さんなんてのは、僕が成人してから出会った人の中で僕の人格成形に影響を及ぼした人達の筆頭で、当然のように歪んでいるし捻れている。
なので今回の散歩は、ひねくれものの山野さん、から影響を受けたYJ、が女だったらこんな感じと思われるリトルYJ。のねじれ三兄妹の面倒を見る最年長プロシュートさんという構図だった。何のグループか全くわからない謎の集団である。



合流してすぐに、こんなところに立派な神社がと参拝。
そこからしばらくプロシュートさんの恋バナや軽妙に乱れた恋愛観を持つ清原さんの恋バナなんかを聞きつつY談に花を咲かせていると、赤坂見附らへん。
行程の1/3くらいで時刻は1時30分。スピードは遅いけど、概ね夜の散歩のスピードである。

すると山野さんが腹が減った腹が減ったと煩い。山野さんはスマートなんだけど如何せん巨人なので歩いているだけでカロリー消費が激しくすぐに腹が減る。
「これ、浅草までいったら何か飯食うの?」とやたらと囂しい。夜の散歩は最後に何か飯食わない。1度あまりの寒さに身体が凍りつきラーメンを食べたことがあるくらいだ。
しかし山野さんは「最後にご褒美というか、飯という快楽がないと歩いてらんない!わー!」と絶叫。困った人です。


確かに、夜の散歩は腹が減る。はじめた当初、こんなに腹が減るものなのか!と驚いた。なのでちゃんとおやつというか、そういったものを予め持参するのが嗜みなんだけど、初参加なので山野さんはおやつを持ってきていなかった。僕は大体揚げた豆を持参する。

さらに、初参加の山野さんは飲酒のペースも誤り気づいたら結構飲んでいて、僕もつられてピッチが上がる。だいたい朝までにワイン一本あけるくらいが丁度気持ちよく散歩出来るんだけど、今回はまあまあ早めにあけてしまいそこからお茶割りを三本飲んでしまった。


山野さんが酔った時特有のデカイ声でわあわあ言ったり、走って追いかけてきたりしはじめて、手のかかる子供のようになってきて可愛い人ですよホント。
で、巨人故にスタミナが尽きたのか、もう駄目だ腹減ったとグズりはじめてまだ浅草に着いてないけどどっか店入ろう、浅草までいかなくてもいいじゃないかと言いはじめたぐらいの時にやや繁華な通りがあって丁度そこには松屋、すき家、日高屋があった。
ジャンケンでどうすか決める。個人の思惑を越え、プロシュートさんが勝ったらすき家、僕が勝ったら松屋、清原さんが勝ったら日高屋、山野さんが勝ったらもうちょっと歩く、という取り決めの下ジャンケンをすると山野さんが勝ちもう少し歩くことに。笑った。

こういうのは大体言い出しっぺの思惑通りに進まないものである。
しかし、気づけばそこは浅草橋でもうすぐゴール。


はじめる前の机上でかなりの距離があり、もしかしたら今日はゴール出来ないかもなと思っていたけどあっさり雷門。雷門前でパシャリ。

すると、吉野家が見えてそこで朝飯をみんなで食べてfinish。



散歩をして長距離を歩くと、まず足の裏が痛くなってきて、次に膝が痛くなってくる。コロナ以降の散歩は身体がなまったのか膝が毎回痛くなっていたのに今回まあまあな距離歩いたにも関わらず足の裏すら痛くならずにfinishした。
いつもよりはじまる前の机上の距離が長いにも関わらずだ。ということは、普段、めっちゃ寄り道したり迷子なってんだナーと思った。

膝痛くなるの嫌なんだよな。だって歩いて膝痛くなるってデブの証拠じゃん。否が応にも認めざるを得ないじゃんデブを。なので今回痛くならなかったので、自転車で鍛えられたかな?と思って満足していると翌日しっかり膝痛くなってデブ。ガビーンですわ。



まあ、でも今回はスタスタと移動したなと思った。
なんとなく気になって調べて見ると【歩く】というのは、地などの面から両足が離れる瞬間がないような、足の運びで、進む。とあった。なるほど。
今回は散歩というよりも歩いて移動した感じだったなと思い、今度は【移動】を調べてみた。すると、位置をかえること。移りうごくこと。移しうごかすこと。とあった。

なるほど。そこで冒頭の歌詞を思う。

人生とはここじゃないどこかへ移動していくことの連続だと思うと述べた。

ならば散歩はなんだろうか。コチラも調べてみると【散歩】…気晴らしや健康のためにぶらぶら歩くこと。とある。

わあ、俺ってこんなに正しい意味で散歩してたんだなと呆れる。
そうね気晴らしです。散歩に意味などないしその道中に意味もないし、目的もない。
人生に疲れたらお散歩を。いつでもやってんぜ。遊びにきなよ。


一周年を迎えて区切りとしては丁度良いけど、まだまだ普通に続けていくのでどなたでも。気軽に。軽快に。




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嬉ションもの
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吉本純の雑記帳です。
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