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スプリンターズS 2024 新馬先生はこう見る〜人に優しく

プロローグ

人に嫌われたくないな

と最近改めて思う。

会社勤めを始めて17年になるが、
その内14年は管理職をしている。

偉くはなりたくない。
全く。
出来ればレールは敷いてもらいたいなと思う。

今までいた部下を数えてみた。
50人を超えていた。
行く部署行く部署で「長」のつく役職を担った。
転職してみたけれどやっぱり損な役回りは変わらなかった。
だから本人はいまだに向いているとは思わないけれど、他人から見るとたぶん適性があったのかなーと思う。

入社3年目で初めて部下を始めて持った時、メンバーは年上の部下が2人、同期が1人、後輩1人の4人だった。

あの時は辛かったなーと思う。
新任の課長として、舐められないように威厳を示さなきゃと思った自分。
あの頃はいつも、何かに戦っていた。
常にイライラしていたような気がする。

自分がいかに大変な状況にいたか、
誰かに知ってほしかった。
なんで部内で自分だけが終電まで働かないと行けないのか。
世界の苦労を1人で背負っていた気になっていたんだと思う。
今思えば恥ずかしいけれど、
でも、あの頃の自分はそれが正しいと思っていた。

一緒に過ごした
50人の中には接し方を間違えたなと
後悔した人もいる。
今でも謝りたいなと思うこと、
ふとした瞬間に失敗を思い出していまだに悔むような瞬間を思い出すこともある。

本当に、
本当に最近、やっと実感出来たことがある。

隣の同僚、部下は他人だということ。

そこに気付けたのは35歳くらいの頃だった。
ある種、自身の行く先で限界が見えた頃、その器の大きさが人並みなんだと気付いた。
自分が守るべき物の数を決めた時、
決めたのは出来るだけ人へ不快感を与えない、自分にあまり期待しないようにしようと決めた。

でも、あの頃と同じように
楽しく競馬を予想する。

競馬と向き合う時はあの頃と同じ
少しの欲望と、
良いレースを見たいという期待のために。

僕は今日も競馬の予想をする。
この瞬間だけは、人に迷惑をかけることがない、自由の時間。

さて、予想の時間を始めよう。

調教診断

調教評価第1位

3 ウィンマーベル

2週連続併せ馬で直線突き放す

1週前、最終と併せ馬で直線突き放した。馬が走りたい気持ちが全面に出ていて、1週前はコーナーを回る際に手応えが抑えきれないほど。
気持ちが前に向いたと見た。

去年からの戦績を見ると間隔を詰めるより8週以上空いたレースの方が良い結果が出ている。
このレースに向けて順調に仕上がった。

調教評価第2位

2 トウシンマカオ

最終追いはスピード感抜群

セントウルSも本命に推したが馬が完成の域になってきたなという充実ぶり。
間隔が詰まってきたので、軽めながら併せ馬でスピード感抜群。前走より出来は良く見える。
雨がダメという意見も見えるが私は少しパワーが必要な馬場こそ良く見える。
ストライドは大きいが力強く馬場を蹴るので、このくらいの雨なら。
直前まで調教をつけていて、元気一杯!

調教評価第3位

12 サトノレーヴ

1週前のラスト1Fは弾けた。

1週前調教、霧の中からゴム毬のようなバネが飛んできたのが衝撃であった。
最終の坂路はレーン騎手騎乗、三頭併せの最内で最短距離のコースを選んでやや遅れて併入。
圧倒的1番人気なだけあるなと納得の内容。内容は充実していた。

調教評価第4位

1 オオバンブルマイ

1週前の坂路は武豊騎手を乗せて最高の内容

最終の坂路は輸送を鑑みて軽めの内容も、1週前のラップは超優秀。武豊騎手を乗せてストライド大きく登坂。前走を見ても序盤の追走が鍵だが、スピードは間違いなくあるので惑星として見るならこの馬。
イン付きを武豊騎手がするか、外回しだと少し足りないかもだが上積みは感じられる。

調教評価第5位

13 ルガル

1週前は高松宮の時よりタイムが出ている坂は苦にしない

個人的にママコチャとどちらかにするかかなり悩んだ。
ママコチャの最終はタイムが出てないだけで前の馬をかわしに行く意図がしっかりとあった、ルガルは1週前の内容が骨折明けとしては秀逸。坂は苦にしない、スピードも出る。
ただ、最終も思ったよりタイムが出ていて、これはまだ仕上がり途上かと思ったのがかなり疑問。ただ9人気なら抑えておいても妙味としては良いと思う。ことスピードに関しては春先と変わらない、馬場は良が良いと思う。

エピローグ

あの、ある日から
自分に期待をしなくなったある日から、
管理職としての自分の目標は明確に決まっている。

「部下に気持ちよく働いてもらう」

自分の手に届く範囲だけ、
誠意を持って正しく接する。

それは今も変わらず。

ちょうど2年前。
コロナに家族全員が感染した。

家族全員で、支援物資を待つ最中、
とある競馬好きな年上の先輩兼部下の1人から急なLINEが入った。

その人は長野に長期出張を終え、
その報告かなと思って画面を開く。

大変だな。
支援物資なんかいつくるかわならないだろ?
長野の帰りに、買い物して届けるから欲しいものリスト作って送って。午後でいいから。水とかポカリとかごはんとかウィダーインゼリーとか。遠慮しないように。明日以降もあるんだから。

ありがてえなと思った。

ポカリスエット、チョコレート、プリンにカップヌードルを持ってその人は帰り道をかなり迂回して自分に物資を届けに来た。

今でも、自分が逆の立場だったら
疲れている中、同じことが出来るかと問う。

物資を届けたその人は、
頼んだ物資以外に1つ、
りんごにポストイットを添えて渡してくれた。

今はその職場を離れているが、
今週その人と
1年2ヶ月ぶりにランチをしながら近況を
伝え合った。

次の仕事があった私達は
帰り際、お互いの唯一共通の趣味
競馬の予想を伝え合った。
穴党の先輩と私が共通して信頼できる騎手についても。

長野、道の駅で買って頂いた
りんご4個入りの値札の上に貼ってあった
ポストイットに手書きで書かれたとても綺麗な文字と言葉を今でも覚えている。

「若い奴に仕事もう少し任せてもいいんだぞ。
菅原明良みたいなの育てて俺らも楽しよう。困った時の菅原明良!」

先輩、2年の月日で僕らの菅原明良騎手は
G1騎手になりましたね。

私は今でも変わらない。
先輩も今でも変わらない。

人には嫌われたくはないなとやっぱり思う。
だって、困った時助けてもらいたいから。
またこうやって仕事から離れても付き合える人でいたいから。

記者会見で見せたその笑顔、
屈託のない若者の笑顔を信じよう。

2024年
スプリンターズS
私の本命は
◎2 トウシンマカオ

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