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子がいること・イズ・カスガイメント

 子どもが産まれた瞬間から、我々夫婦は、全世界の子を持つ親の後輩になるのだなぁーと思った。

 ぼくらには1歳4ヶ月になる娘がいるが、先日駅のエレベーターで並んでいると、うちの娘よりもう少し年上の子どもを連れたママがぼくらに順番を譲ってくれた。
 また夏日のある日、スーパー抱っこひもエルゴで娘をだっこして交差点で信号待ちをしていると、仕事の休憩中っぽいおっちゃんが、
「暑いのに大変やな。おれも子ども3人おるからわかるわ。がんばりや」
 と声をかけてくれたりしたこともあった。

 街には誰かのパパママがたくさん居て、ぼくらがまだ親になる前はお互いに一目でわかる共通点はないが、子どもといっしょに出かけていると、お互い同じ経験をしてきた者同士になる。
 ぼくらだって、娘よりも小さい子を連れてるパパやママをみると、我々もあんなときあったなぁ、いろいろ気をつかったり右も左もわからなくて大変やったなぁ、がんばって元気であってほしいなぁ、という気持ちになる。
 みんな仲間で友だちで先輩で後輩という気分に勝手になる。

 ぼくは人見知りの味噌で人見知りの豆腐をつけ込んだような人見知りだが、この連帯感によって、赤ちゃんを連れたひとを見かけるとパパママに軽く目を合わせて会釈することが可能となっている。
 我ながら何の会釈やねん、と思うし、相手も「何の?」と思ってるかもしれない。ただそれは言葉に表せない無形のリスペクトの表明なのである。
 そこには、
“お子さんかわいいですね”
“なかなか大変ですよね”
“がんばってますね”
“成長楽しみですね”
“ベビーカーのカスタムしぶいですね”
 等、様々な意味が込められているのである。

 ぼくは人見知りの酢味噌和えみたいな人間であるが、子どものパワーによってパパ友交流会みたいのに参加してみようかな、とか考えたりしている。
 単純に「子どもがいる日々」というおこないを毎日している者同士、そっちはどんな感じですか? とかいろいろ訊いてみたい。子を持つ親という共通点があるからこそ見える差異をたのしみたい。

 たぶん「えっ、牛乳パックにそんな使い方が!?」とか「そういうのがママは一番助かるんだ!」とか発見があるに違いない。苦労話もきいてみたいな。最後は「まぁ、奧さんも子どももかわいいんですけどね」で終わる苦労話は重くなくてロールパンめいて何個でもいける気がする。

 今けっこう、たくさんの繋がりの気配にワクワクしている。子どもがいることって、親の世界が広がることでもあるのだなぁ。

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