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うそめがねチビ文庫

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筆者の創作noteです。ほとんどショートショートです。
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#カフェ

【短編小説】喫茶ダブルドラゴン 第2話

 からからん—— 「開いてるぅ?」  ドアベルを鳴らして入って来たのは派手なハイヒールの女だった。ロング丈のダウンジャケットから覗く素脚のラインが印象的だった。 「今日はもう終いだ。“CLOSED”の文字が見えなかったのかよ」  喫茶店のマスター、竜田隆一はぶっきらぼうに言う。 「あー、寒かった……」女はカウンター席に腰かけてテーブルに突っ伏した。「ううぅー」泥酔している。 「おいこら……ちっ、しゃーねーな」  舌打ちしながら、ストーブの電源を入れなおして女の近くに置い

【短編小説】喫茶ダブルドラゴン 第1話

 からからん  とドアベルが鳴り、暑気を帯びた夏の空気と一緒に入ってきたのは虎之介だった。虎之助は近所の小学校に通う4年生だ。皆からはトラと呼ばれている。タイガーと呼ぶものもいる。トラは、彼にはやや高すぎるカウンター席の椅子に飛び乗るように座ると開口一番、 「おっちゃん、いつもの!」  乱暴な注文を受けた男は、やれやれ、といった風情でゴブレットにかち割り氷をいっぱいに詰め、そこにマンゴージュースを注いだ。 「毎度毎度……こりゃタイガーのためのメニューじゃあないんだぜ?」