What are "climbing shoes" ? vol,1
今回はクライミングシューズの基本的な構造・構成について、ごく簡単に触れてみたいと思います。もちろんブランドごとに違いもありますので、その点はご了承ください。
ラスト(木型/足型)
ラスト、とは木型、足型などとも言われる、シューズの形を決める大きな要素です。このラストに合わせてアッパー(後述)の型紙を作ります。ラストには様々な形状があり、ブランドごとに違うのはもちろん、同じブランドでも複数のバリエーションを用意している場合がほとんどです。
ちなみに、クライミングシューズ…と言うより靴全般ですが、表記サイズ=人間の足のサイズではありません。ラストの番手だと考えてもらえるとわかりやすいでしょうか?ですので、ラストの違いによって着用サイズも異なる場合があります。
アッパー
シューズの構成パーツで、直接足に触れる各種生地素材で構成される部分。甲側だけではなく足裏も包んでおり、靴下みたいな構造になっています。レザー(天然皮革)やシンセティック(合成皮革)などの素材が代表的です。最近はニット素材や、パンチング(穴開き)加工されたものなども出てきました。
クロージャーシステム
シューズを足にフィットさせたり、簡単に脱げないようにする構造です。レースアップ(紐締め)、ベルクロ(面ファスナー)、スリップオン(エラスティック素材…まあ、ゴムです)などが代表的で、近年ではスリップオン+1本締めベルクロタイプがオールラウンドモデルとして認知される傾向にあります。
アウトソール・ラバー
フットホールドに直接触れる部分。フリクション(摩擦力)と剛性のバランスがとても重要。一般的に柔軟性の高いラバーほどフリクションが良いが極小フットホールドに対してコントロールが難しくなり、ラバー剛性が高いほど極小ホールドに対して変形が少なくコントロールしやすくなります。
UNPARALLELでは自社オリジナルラバーを採用していて、RA、RH、RS、VDのアウトソール用ラバーがあり、剛性の高さは表記順、フリクションは表記と逆順になります。
ミッドソール
クライミングシューズの剛性調整のためにアッパーの足裏部分に配置される部材。アウト(外)ソールに対してミッド(中)ソール。様々な形状と素材があります。ブランドによっては後述のスリングショットとミッドソールが一体化しているような物もあり、○○システムといった個別の名称がつけられている場合もあります。別名シャンク。
ランドラバー
ランドラバーは、シューズの側面に貼ってあるラバーのことです。側面を保護し、型崩れを防ぐ目的で配置されます。アウトソールと異なり伸縮性を必要とし、フリクションは落ちます。このランドラバーに伸縮性がなければそのクライミングシューズはおそらく足を入れられなくなります。
スリングショット
踵上部と足底部(土踏まず)を引き寄せるラバーバンド。このテンションによりヒールカップのフィット感が向上し、また土踏まずを持ち上げることで、つま先で踏み込んだ際のサポート効果が得られます。逆にテンションが緩ければ拘束感が少なく足入れが楽になります。
UNPARALLELではスリングショットのテンションを職人の手作業で微調節することで土踏まず周りのフィット感を向上させています。
ヒールカップ
ヒールフックの際に、硬いヒールカップと柔らかいヒールカップのどちらが良いか?については個人の好みもあり、一概にどちらがいいとは言えないですが、使用者の踵の形状にヒールカップが適合している方がより力が伝達しやすいです。一般的には硬いヒールカップは小さなホールドへのフックに有効で、柔らかいヒールカップは外傾した広い面積へのフックに有効となる傾向があります。
また、休憩中などにクライミングシューズの踵をつぶして履いている方を見かけますが、型崩れの原因となりシューズの寿命を縮める可能性があるのでお勧めしません。
今回は、基本的なクライミングシューズの構成要素、ということで書き出してみました。こちらを読んでからシューズレビューを読むとより理解しやすいかと思います。
それでは楽しいクライミング・ライフを!
friction be with you.
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