舞台ヒプノシスマイクは何がすごいのか考えてみる
衝撃のキャスト全員卒業が発表されて数か月、彼らの最後の公演、Battle of Pride2023が先週日曜日に大阪城ホールから始まった。
はじめに、私は関係者でもなんでもないし、仕事でエンタメに携わっているわけでもない。
音楽やヒップホップに強い興味があるわけでもないし、人様に誇れる程いろんな劇場に通い詰めているわけでもない。
そこら辺のいち会社員の、ゆる~いオタクです。
大阪公演の筋肉痛もまだ治っていないような、いい歳こいた大人です。
なんならヒプマイにハマったのも今年に入ってから。新参者にも程がある。
つまりまだ絶賛コンテンツのお勉強中に卒業が発表されてしまい、え~~!これからどっぷり浸かるつもりだったのに~!!!とやりきれない複雑な気持ちで今を向かえているのです。
そんなわけで自分の備忘録もかねて、なぜ自分がこんなに急勾配でヒプステに転がり落ちたのかちょっと書き留めてみようかなと思いました。
自分語りも入っちゃうと思うから興味ない人は飛ばしてね。
大前提として「私個人が思うこと」なので、視点や考察や感想が偏っていることはご了承ください。
公式インタビューや役者さんの発信とか、さすがに全部はとてもじゃないけど追えないし。
▼2.5次元の世界観
私が初めて観たヒプステは、track.5だった。
何故そこから、、、と言われると「気になる役者さんがいたので」になるのだけど、舞台観るときなんて大体そんなものだと思う。
その時点で私のヒプマイ理解度は「タイトルとなんとなくの世界観とキャラクターを何人か知っている」レベル。(だから過去編のビジュアルで「左馬刻とかこんなんだったっけ…?」と思ってたw)
2.5って賛否両論あると思うし、私も過去に見た中では、いろいろ思うところが出る作品もあった。だけどヒプステに関してはそもそもの解像度が低かったこともあって、まずは純粋に楽しめたと思う。
だって「イメージと違う!」ってことが、起こりようがなかったから。
そして何より光やダンスなど視覚的効果の演出で、すごく引き込まれた。
これってヒプステ一番の見所と言っても過言じゃないんじゃないかな。
初見で、まず一番の感想は「ダンスもっと見たい!」だったので。
2.5次元舞台を見慣れてる人も、そうじゃない人に対しても刺さる演出が新しかったんだろうなという印象だった。
原作付きの作品で「そんなの知ってて当たり前」っていう層以外にもアピールできるの、すごく強いと思う。
…そしてある程度ストーリーもキャラクターも理解して「ラ、ラムダ~(泣)」とかなった頃に、track.1を見ると、、、そう。
原作イラストから現実世界に飛び出してくるキャラクター達である。
100万回は言われてると思うけど、そりゃ衝撃だよね。
だって現実にそこにいるんだもん。出て来るんだもん山田一郎が。夢か?
私、track.5の時なに見てた?
思い入れの差でこんなに印象が変わることある?
最初は反対されて、戦った結果らしいけど、本当にありがとう豪さん。
これ、すべての2.5次元に適用されてほしいくらい素晴らしい演出だと思うけど、イラストに負けないビジュアルが必須だから、役者さんや衣装やメイクの作りこみも本当に感動だし、ものすごく愛と本気を感じた。
▼音楽コンテンツの強み
昨今、アイドルものはすごく多くて人気コンテンツなのは明白だけど、ラップってどうしてもとっつきにくいイメージがある。
例に漏れず私もそうだった。
リリース当初、原作のPVを見たことがあるけれど、当時は声優さんにも詳しくなかったし、ラップもわからなかったし、とにかく全てに追いていかれて、ああ軽い気持ちで見てはだめだったのだ…と、Youtubeを閉じた記憶が残っている。
だからステを見たときに、toyotakaさんの前説に合わせて一緒にハンドサインを練習している自分に驚いた。
なんせ、アゲ方がうまい。
このあたりは慣れてらっしゃるのかなとも思うのだけど、私は慣れてない。だって陰キャのオタクだから。
でもこの作品を楽しむためにはこれに乗っかるのが正解なんだ。今だけ私はパリピになるんだという気持ちになれる。
正直、公演のタイミングがコロナ禍だったので声出しNGなのも大きな要因だったとは思う。
声出すの恥ずかしいじゃん、オタクだもの。
でも手を挙げるくらいならできるから、そこから入っていけたのも個人的にはうまくハマったんだろうなと思った。人間慣れるもので、そうするとだんだんコーレスしたくなってくるもんね。
さて問題のラップはどうなのかというと。
やっぱり最初は「そういうもの」として見るしかなかった。聞きなれないし、何言ってるかわからないし(後ろに歌詞出てるけど見てる暇ないし)。
だけど思ったよりもずっと耳馴染みがよくてスッと入ってくるなと思った。
一般的なミュージカルみたいに、突然歌い始めてびっくりみたいな感じがない。(ミュージカルも好きです)
専門的なことは何もわからないけれど、これが歌とセリフの間みたいなラップの強みなのかもしれないし、唐突感を感じさせない演出や脚本の力なのかもしれない。
歌詞が聞き取れなくても、韻が踏めてるとか踏めてないとかわからなくても、なんかノれる。
今までJ-POPとか流行りの曲は聞いていたし、曲の一節に入ってるラップも聞いてはいたけれど、それをメインで活動しているプロの曲ってやっぱり「ノリ」が違うんだと聞き慣れてきたら気付いた。
自然と体がノッて動いてしまう、そんな作りになってるんだ。
さらに歌詞が聞き取れるようになって、キャラの心情まで音楽で感じられるようになったら、もう最強じゃん。
イラストが実体化してテンション上がってるところに、そんなの畳みかけられてハンズアップ!って言われたら、乗るしかないよね。
▼オリジナルキャラクターの存在感
これ、個人的に一番すごいと思っていて、今回いちばん書き残しておきたかったところ。
始めに書いたけど、私の初見はtrack.5だった。
D4という4人のオリジナルキャラクターが登場する。
原作についての理解が乏しい状態で観た時には、「やっぱり原作キャラって色もカラフルで非現実的なビジュアルだから、オリキャラのほうが見た目にも現実味があってカッコいいな」くらいの感想だった。
で、一郎や左馬刻たち1人1人に相対するように、因縁や戦う理由付けがされていて、舞台ならではの見ごたえあるオリジナルストーリーにうまくなっているなあと思っていた。
だけど、track.1の堂庵は、一郎の幼馴染としてのキャラ設定だった。
「えっ、そんなメインキャラと深そうな関係性のキャラクターを舞台オリジナルで出していいの!?」なんて思った。しかも初舞台で、だよ。
彼らオリキャラに対しての、私の中の転機は、直近のRepLive。
音楽がメインの舞台だから、ライブとして独立するのも頷ける。
各ディビジョンごとに開催するのも、主役はイケブクロだけじゃない感じがすごく良い。
だけどオリキャラだけ集めて開催するってすごくない!?
もう『ヒプノシスマイクRule the Stage』という一つの世界が確立している証拠じゃん。
キャストやスタッフやファンたちにとって欠かせないものになってるってことじゃん。
カテコの挨拶で、堂庵が「ここから始まった」と言って、「ここまでオリジナルが増えたんだぜ」と言ったとき、すごく感動した。
初公演、きっと不安だったんだと思う。ただでさえ風当りの強い実写化に加えて、全く情報のないオリキャラって、存在そのものが受け入れられるかどうかもわからないって、どんな気持ちだったんだろうと。
でもそれが4年後、自分たちだけのライブや、オリキャラだけのお話ができるって本当にすごい。
ファンの応援だけじゃなくて、制作側が大事に育ててきたんだってことが感じられて、Right here Right nowは紛れもなく彼らだけの楽曲で、心の底から応援できると思った。
そして、そうなったときに生きてくるのがこの冒頭に書いた<オリキャラのほうが見た目にも現実味があってカッコいい>なんだけど。
オリキャラは役者さんありきだから、髪の色も衣装も何もかもが自然に溶け込んでいてとにかくカッコいい。
2.5次元ってなんだっけ、と思わないこともないけれど、「ビジュが良い」ってこういうことを言うんだな。
そこにこんな思い入れまで入っちゃったら推すしかないじゃん!てなもんで。(これはただの感想だけど、全体的にダークな印象が強い中に現れる道頓堀ダイバーズがかわいくてかわいくて、緩急もすごくいいバランスだと思う)
オリジナルキャラを含めて一つの世界線がしっかりと出来上がっている。
脚本も演出も楽曲も役者さんも全てが嚙み合って大切にされていて愛されていて、だから「ヒプノシスマイクRule the Stage」はこんなに見応えがあって楽しめるんだ。彼らはそこに確かに「居る」んだ。
全員卒業ということは、オリジナルの彼らはどうなるんだろう。
理解はしていてもやっぱりすごく寂しい。
たかだか半年ちょいの新参者が知った風な口で語ったけれど、こんな風に語りたくなるくらい、ただのキャラ推しや役者推しでは終われないくらい、深いコンテンツなんだってことだと思う。
まだまだ私は見つけられていない魅力がきっともっとあるんだろうな。
感覚的なことしか言えてないから、ヒップホップの歴史とか考え始めたらもっと深みにはまるのかも。キリがねえ!
▼おわりに
明日からBoPの横浜公演が始まる。
カウントダウンが始まっている。
早く観たいけど、終わってほしくない。
まだまだ見たいものたくさんあるし、どんどん続きもやって欲しかった。
新曲も聴きたかった。
私が5年前から追っかけられていたらまた違った感情だったのかもしれないけれど、こればかりはタイミングだからどうしようもない。
明日からの公演、全力で腕とタオルを振り回して体力尽きるまで楽しもう。
翌日の仕事とか知らん。
公演中は寂しさとか全部忘れて、目の前のキャストだけを見て、
精一杯声出して、何年経っても「BoP最高だったな」って言うんだ。
現地でも配信でも、参戦するみんな~!
全身全霊で一緒に盛り上がろうね~~!!
(千秋楽でなんかびっくりする情報出たらメモも兼ねて追記しにきます。)
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