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陰謀論には手を出すな! 第1話 平面の地球

登場人物
浅草みどり: 陰謀論者。
水崎ツバメ: 陰謀論者。
金森さやか: 陰謀論者ではない。

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「屋根の上で何アホなことやってんですか浅草氏。バカもしくは煙なんですか。」
「地球がほんとうに球体なのか検証してるんだ!  」
「地球平面説だ! めっちゃ楽しそう! 」
「双眼鏡でわかるんですか。」
「物理学だよ金森女史。地球球体論者によると、地球の半径は6378kmじゃろ? ほいでこの部室の屋根の高さが6mぐらい。ちょいと計算すると…ここからは8.74km先までしか見通すことができないことになる! 」

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「今日の浅草さんは冴えてるね」
「ずいぶん寒いですからね。浅草氏は冷ますと冴えるんですよ。」
「そんなことより気づかんかね君たち!  ここから8.74kmより向こうの建物を見ることができればだね、地球が平面であるということが あ」
「金森さん! ハシゴが倒れた! 」
「浅草氏は屋根の上で寒風干しにでもしておきましょう。メシでも行きますか水崎氏。」
「ははは。じゃ、また後でね浅草さん。」
「そりゃないぜ金森氏に水崎氏〜」

〜部室〜

「というわけで諸君。 我々、陰謀論研究会の今回のテーマは「地球平面説」である! 」
「そもそも地球平面説って何なんですか。世界の果てまで行ったら宇宙に落ちるんすか。」
「金森くんも案外バカだねえ。宇宙には上も下もないんだから落ちるわけなかろうに。」
「うるせえ! さっさと説明しろ! 」
「ぶぇ! ぷぇ! 」
「あははは。有力な説はこういう感じで、北極を中心にした円盤型になってるんだよ。」

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「なるほど。(このモデルなら世界一周は可能か。)これ南極側はどうなってるんすか。」
「氷の壁があるらしいよ。」
「壁ですか。」
「そう。南極大陸には高さ150フィートの氷の壁があってワシらの世界を取り囲んでいるのだ。 棚の幅はおよそ100メートル。 向こう側には何が隠されているのやら…この問いには人類の既存の知識では答えようがない。我々の知る大陸とは別の新たな大陸群が存在するという説もある。行こう! まだ見ぬフロンティアへと!  」
「なるほど。もういいです。」
「面目ねえ。」
「やっぱりロマンあるな〜。そういや平面地球は空の設定も大事だよね。」
「まさしく地球平面論者の腕の見せどころであるよ。太陽や月の動きをどう説明するのか。基本はメリーゴーラウンドみたいな感じだ! 太陽と月が平面地球の上をぐるぐると回っている。まあこのモデルにも色々と問題はあるんだけども…」

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「なるほど。確かに気になる箇所は多いですね。」
「陰謀論の宿命だねー。何をやっても非の打ち所がある。」
「話を戻すと、やはり南極の壁は気になりますね。あれこれ言う前に探検して見てくりゃいいでしょう。」
「そ、それはだね金森くん!NASAが事実を隠蔽していて……」
「重力も気になります。これ端と中央で重力変わりませんか。」
「確かに! 端だと斜め向きになるね」

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「だァ! そもそも重力なんてもんはない! 平面地球は常に上向きに9.8m/s^2で加速し続けていて、我々はそれを重力だと思いこまされているのだ。これを普遍加速度(Universal Acceleration)と言う! 」
「てめぇ古典力学全否定か。ニュートンにステゴロで勝てるんすか!」
「うっ」
「まあまあ金森さん。新しいことに気づくには捨てないといけないものもあるんだよ」
「ううっ。あっしはここいらで失礼して…」
「逃げるな陰謀だぬき! 」

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「正直ワシも地球平面論は厳しいと思ってた。他のお手頃な陰謀論とちがって物理学とがっぷり四つで勝負せにゃならんし…最近の地球平面論者は反ワクチンなど悪性の陰謀論を併発していて予後も悪い。」
「いいと思ったんだけどなー。子供のころ地球空洞説の本読んでワクワクしたみたいな気持ち、思い出せるし。」
「うーむ。しかし現状はどの説も説得力が弱く、内ゲバも激しい。困ったもんじゃて。」
「コミュニティとしての側面が強いんですかね。この際私たちが参入してしまえばいいのでは。」
「我々で最強の地球平面説を作ってしまえばいいのか! 」
「それなら両極モデルなんかどうかな!? このモデルだと北極だけじゃなくて南極もふつうに存在してて、氷の壁は海上の太陽光が届かないところに…」

「(両氏のスイッチが入ったな)」

次回

陰謀論には手を出すな! 第2話 新世界秩序、爆誕す!
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