ワールドトリガーに見る戦闘の「詰み盤面」の動かし方とそのパターンについて
◯はじめに
私はバトル漫画における「詰み盤面」を
と定義します。
いわゆる「絶体絶命のピンチ」という奴です。
バトル漫画ではこの「詰み盤面」が動くことで、戦闘に臨場感が生まれると考えています。
動かし方のパターンとしては
の4つについて考察していきたいと思います。
①新規能力の発現
1つ目は「新規能力の発現」です。
そのキャラクターが今まで持っていなかった能力が何らかの理由で発現し、その能力で「詰み盤面」を動かすことを指します。
ワールドトリガーの場合、基本的に装備しているトリガーしか使えないので戦闘中に新しいトリガーを使うなら黒トリガーを作るしかありません。
しかし、今の時点で戦闘中に黒トリガーを作って「詰み盤面」を動かしている描写はありません。
旧ボーダーのアリステラでの戦闘では、そのような状況を推測できる記述はあります。
あるいは遊真の黒トリガーは相手の攻撃をコピーすることができるので、コピーした能力を「新規能力」とすれば「新規能力の発現」ということになるかもしれません。
しかし、遊真が戦闘中に相手の攻撃をコピーする描写はここしかないので、意図的に「新規能力の発現」の使用を控えている印象を受けます。
いずれにしても、ワールドトリガーの場合は「新規能力の発現」はあまり見られないパターンかもしれませんね。
②既存能力の応用
2つ目は「既存能力の応用」です。
そのキャラクターがすでに持っている、あるいは作中ですでに登場している能力を応用することで「詰み盤面」を動かすことを指します。
大規模侵攻編の遊真vsヴィザ戦はこの「既存能力の応用」が使われていると考えられます。
遊真の肉体が換装前からトリオン体であることは、読者にとっては既存の情報です。
また、遊真vsヴィザ戦の直後にある修のトリガー解除や三輪の風刃起動も、同様に「既存能力の応用」であると言えます。
「既存能力の応用」はあらかじめ読者に情報が提示されているので、読者がその「詰み盤面」の動かし方を理解しやすい、納得感があるという利点があります。
ワールドトリガーでは他にも「既存能力の応用」が使われている場面が多々あり、それが戦闘の面白さ、奥深さに繋がっていると言えます。
③第三者の介入
3つ目は「第三者の介入」です。
第三者が「詰み盤面」に介入しそのキャラクターの代わりに「詰み盤面」を動かす、動かすための助力をすることを指します。
大規模侵攻編は戦闘能力が低い修にとってはほぼ全て「詰み盤面」なので、この「第三者の介入」が頻繁に発生します。
かなりの数のキャラクターが「第三者の介入」を行いますが、全員ボーダー入隊編までに登場しているので読者はそれほど混乱することなく読み進めることが可能です。
ワールドトリガーはキャラクターがかなり多い作品なので、「第三者の介入」はもはや必然と言えるでしょう。
④地形の利用
4つ目は「地形の利用」です。
周辺の地形に何らかの変化を与える、地形にある物や地形そのものを利用することで「詰み盤面」を動かすことを指します。
大規模侵攻編では緑川や出水が「地形の利用」を使っている描写があります。
「地形の利用」に関してはB級ランク戦編でも序盤から使われており、ワールドトリガーの戦闘に欠かせない「詰み盤面」の動かし方ですね。
玉狛第二の戦術には千佳の「大砲」や修の「ワイヤー陣」、ヒュースの「エスクード無双」など、「地形の利用」に繋がる要素が組み込まれていると言えます。
◯終わりに
ワールドトリガーの戦闘から「詰み盤面」の動かし方のパターンを考察しましたが、ワールドトリガーの戦闘が面白いのは「新規能力の発現」を最低限にして、「既存能力の応用」「第三者の介入」「地形の利用」にバリエーションを持たせているからかもしれないですね。
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