短歌

不安定として安定した心 21時でも回せる洗濯機

布裏は勉強、表は文通の波縫い乱れ不整脈

落ち込んだ口に詰め込むゆで卵 3個食べればもう別の人

貝の悲しみなど知らない 恐竜の悲しみなど知らない 部屋に飾る

アロハシャツ着ている自分が落ち込んでいるわけないだろという気持ち

野菜が好きな人は話が通じない 野菜スープが野菜くさい

忙しいせいでこの世で会える日が減っていくのも慣れてしまった

節々で開きたくなる本があり そうであったらいいのにわたし

植物になったあなたの爪を切り 人間だったころより近い

通院を終えて数日気が張れる その後の日々は言うまでもない

月一度被る赤い血の暴力 産まぬと決めて久しい我に

ゆで卵 納豆 バナナ ヨガ 散歩 睡眠 代わってやれるものなら

一枚の皮と皺とに気を取られ あれよあれよの夕方である

コンクリの壁の部屋から出たものの全身タイツが脱げずにいます

踏み込んでくれるはずだと待っているだけだったので水が無くなる

これは秋風。夏の太陽。手の平 。あそこの木陰に似てるのが君

わたしだけ慰めわたしだけと話しわたしのために料理をつくる

明日の朝 食べる予定のパン3つ冷蔵庫にてしんと待つ

帰りたいところが無いのでどこにでも行けるしどこにも居場所がない

刺しにくる あれは2か月後の私 抱き締めてやると溶け込んでくる


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