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世界のピアグループ:SynergosのGlobal Philanthropist Circleのカンファレンスに参加しました。

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先日、Synergosが毎年開催するSynergos Global Gathering 2021に参加しました。

Synergosは藤田と小柴が2019年にニューヨークへ視察の際訪問した団体の一つで、富裕層同士の学びあいコミュニティ(SIIFが「ピア・グループ」と呼ぶもの)を運営している団体です。

Synergosはピア・グループから生まれる新規案件などの実践や調査の支援を行うフィランソロピー・アドバイザリーも行っています。2019年に訪問した際、訪問した約15団体の中で最もインスパイアリングなお話を伺うことができ、二人ともSynergosのファンになって帰国しました。その理由はブログ後半にて。


Synergos

◆ 基本情報

1986年にペギー・デュラニーによって設立され、信頼と集団行動を構築するブリッジング・リーダーシップを提唱し、世界の複雑な問題の解決を支援しています。2001年には、父デビッド・ロックフェラーとともに、約30カ国400人のフィランソロピーや社会的投資家によるピアネットワーク「グローバル・フィランソロピスト・サークル」を設立しました。世代を超えたフィランソロピー、価値観の継承を重視したプログラムを実施する。

◆ 主要プログラム

研修・ギャザリング

ワークショップやフィールド訪問、リトリートなど、メンバー間の相互研鑽を目的とした会合が年間を通じて行われる。 その他、メンバーが一堂に会する年次会合がヨーロッパとアメリカで開催される。 メンバーの関心に沿って「食糧システムの変革」「次世代」「精神文化」「難民と移民」「インパクト投資」の 5 テーマでグルー プを形成し、学びの場を提供している。このうち「次世代」グループでは、若い世代やフィランソロピーファミリーの第 2・第 3 世代を対象に、「学び・繋がり・インパクト」を軸とし、アイディア実現のための支援や研修の機会を提供している。

次世代リーダー育成プログラム(Bridging Leadership Program)

新たなフィランソロピストや社会的投資家向けのプログラム。複雑な社会課題に対しシステム変革をどう促すか、政府や 民間・市民団体といった多様なセクター関係者とどう協力するかを学ぶ。4 セッション、合計 17 日間の研修プログラムが、メキシコ、ブラジル、アジアの 3 拠点で展開。地域間の交流や、年次会合への参加も含まれる。

フィランソロピー・アドバイザリー

フィランソロピーや社会的投資の目的達成、チェンジメーカーとしての能力向上のため、Synergos 財団スタッフが個別支援やコンサルティング・サービスを提供。テーラーメイドの支援を有料で受けることも可能。


Synergosの最大の特徴は、「Inner work」を大切にする団体の理念です。日本語にすると「内省」という言葉が最も近いでしょうか。彼らは、フィランソロピーにおけるリーダーシップとは何か、なぜその活動を行うのかを自分の中で掘り下げるということを重要視しています。

また、上記団体概要にあるように、プログラムの名前にもなっている「Bridging Leadership」というキーワードも良く登場します。分かり合えない他者に対して、壁を作るのではなく、困難に立ち向かいながらも理解しあうことで、本当のリーダーシップが生まれ、このリーダーシップが本質的に社会を変えるというメッセージを全てのセッションで打ち出しているように感じました。他者と分かり合うことができた経験を通じた学びや、その学びから生まれたフィランソロピーの成果ということに焦点をあて、主に現場で活躍する方の話を伺い、その後スモールグループでフィランソロピスト同士で意見を共有したり、ディスカッションするというのがSynergosのセッションのよくある形です。

実は昨年もGlobal Gatheringに参加させていただいたのですが、その時のことを非常によく覚えています。

一般的なカンファレンスと同じく一方的に話を聞くだけだと思っていた私は、講演の後にブレイクアウトセッションがあり、世界中の富裕層と自分の意見を交わすことを知り、非常に緊張していました。そもそも自分はフィランソロピストではない、フィランソロピストを支援する立場なので、場違いなことを言っていたらどうしよう・・という恐怖感がありました。しかし、その不安は良い意味で裏切られます。ここに参加しているメンバーは、「内省」や「リーダーシップ」というアプローチに共感してSynergosに参加しているためか、自分の活動を見つめる、他人の活動に深く耳を傾ける、そしてそこから湧き上がる感情を素直に伝えるということが自然とできる方々でした。私も彼らの話を聞いているうちに、不思議と「思ったことを正直に話せば良いんだ」と思えてきて、国も、(圧倒的に)立場も違う複数のフィランソロピストと楽しくディスカッションができた記憶があります。

ファシリテーターはSynergosのメンバーが行いますが、できるだけ心理的安全性を確保する形でファシリテーションが行われます。もちろんファシリテーションをスタッフが行うことは良くある話ですが、Synergosの場合は日本語で言う「傾聴」を重視しており、その価値を本当に信じているスタッフ及びメンバーが集まっているため、参加者に心地よさと心理的安全をもたらす、そのような不思議なコミュニティだと思います。

   

最後に、2019年の出張の際にSynergosのスタッフが仰っていたことが非常に印象に残っています。「たった一人の力で解決できるほど今の社会課題は単純ではない。フィランソロピーにおける新たな手法が色々と登場しているが、使う人によってはどんなに良い手法であっても大きな変化をもたらすもににならない。だからSynergosはフィランソロピーを実践する人のマインドを変えるというアプローチをとる。だからこのコミュニティを運営する。」

明確な理念と、彼らなりのアプローチが体現されているSynergosコミュニティは、国境を越えたフィランソロピストを繋ぐ、力強いコミュニティだと感じます。

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