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💿西岡恭蔵 - 「プカプカ」俺のあん娘はもうひとりいた -

1999年4月3日、50才でみずから命を絶った西岡恭蔵さん。


プカプカ 西岡恭蔵伝

この本は、西岡恭蔵さんという一人のシンガーソングライターの評伝であると同時に、その妻であり作詞家だったKUROさんとの"夫婦の物語"でもあります。
KUROさんは乳がんを患い、恭蔵さんが亡くなる3年前に46歳の若さで亡くなってしまいますが、いつもふたりで旅をして、一緒に歌をつくり、子どもを育てながら、互いを支え合った夫婦の軌跡は、どれほど言葉を尽くしても語りきれない感動に満ちています。
本文中には、恭蔵さんとKUROさんがつくった歌詞を多数掲載しています。ページをめくるごとに、ふたりが紡いだ歌が流れてくると思います。

小学館

昨年の12月中頃、新聞に広告が載っていたことで知り、年末に読んだのが「プカプカ 西岡恭蔵伝(中部博 著)」です。手にすると446頁の分厚い本でした。

著作権を考え、画質は荒くしています

画像は、購入した本と私の持っている西岡恭蔵さんのファーストアルバムCDです。CDは、他にもあるはずが見つかりませんでした。

西岡恭蔵さんと関係の深いディランⅡの記事は過去に書いています。

本の内容を多く書きたいのですが、ネタバレとなりますので2曲紹介して終わります。

プカプカ

本の帯に書かれている通り「俺のあんはもうひとり」いたのですね。

プカプカにはサブタイトルがあります。当初は「みなみの不演不唱ぶるうす」だったのですが、途中で「赤い屋根の女の子」に変わります。

最初のサブタイトルはジャズシンガーの安田南さん。プカプカの歌詞も彼女をイメージして書かれています。しかし、途中からは西岡恭蔵さんの大学時代に付き合っていた女性に。それを決定づけたのはサブタイトルだけではなく、曲の冒頭に歌われるバースです。

verse(英)
バースとは、楽曲構成上、リフレイン(コーラス)の前に配置された序奏部分を指す。リフレイン部分よりは短く、比較的平易に作られている。バースは歌ものに多く見られ、時には楽曲の冒頭部分に省略する事のできないバースが組み込まれる事もある。

音楽用語

いろいろと書きましたが、本人の曲を作った背景の説明、そこからのバース、そしてプカプカへと流れていく動画を見れば理解できます。

しかし、私が知っている ザ・ディランⅡ「ライブ 時は過ぎて」のバースと少し違っています。

サブタイトルとバース、なぜ途中から変えられたのか。

歌を作った動機と歌を生んだ経験という二重構造をもっているからだ。・・・<略>・・・房子に恋した恭蔵の、愛の鎮魂歌だと思う。

プカプカ 西岡恭蔵伝

この本を読めば読むほど、多くの曲に思いが込められていたのがわかりました。次の「子供達の朝」もその一曲です。

また、矢沢永吉に多くの詩を提供していたのは知りませんでした。少しネットを調べるだけで、沢山でてきます。
A DAY / 黒く塗りつぶせ / バーボン人生 / トラベリン・バス / あ・い・つ / 瞬間を二人 / 浮気な午後の雨 / 苦い雨 等々


子供達の朝

この曲、タイトルと違ってあまりにも暗い。何十年と不思議でしたが、本を読んでやっと理解できました。

19歳の時に4人をピストルで殺害し、獄中で小説家となった永山則夫ここだけは名前の上をクリックし、永山さんを知って下さい)の存在を知り、作った曲だったのですね。

西岡恭蔵作詞作曲ですが、ネット上に本人が歌っているのがなくザ・ディランⅡ  大塚まさじのヴォーカルで。

クセのあるこの曲、私の好きな邦楽の中で結構上位に位置していましたが、永山則夫の人生と照らし合わせると切なくなります。

子どもを育てる親の責任、計り知れません。

<了>

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