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未払いに泣いた!原稿を持ち逃げされたフリーランスの過去とトラブル回避法



原稿を持ち逃げされた!

・「ニンジン」に食いついた、うかつな私


あるとき、ケータイに一本の電話がかかってきました。


「もしもし、ごぶさたしてるね。元気だった?」


声の主は、とある広告代理店で一緒だった元営業のSさん。私より少し年上の男の先輩。独立して間もない頃だったので、突然の電話ではあったものの「仕事が欲しい」一心で、私は思わず明るい声で返事をしていました。


「はい!ごぶさたしてます!元気にしてますよ!Sさんもお元気でしたか?」


「元気、元気。それより、独立したんだってね。聞いたよー。すごいねー」


「いやいや、すごくなんてないですよ」


私は今か今かと「仕事」の話にならないかソワソワしていました。独立して間もない頃だったので、レギュラーと呼べる仕事はなく、単発の仕事を受ける日々が続いていました。仕事はあればあるほど自分の安心感につながり、いつでも「仕事を欲している状態」でした。


「ちょっと頼みたいことがあるんだけど、Kというメーカー知ってるでしょ?あそこが企業広告を打ちたいと言っていて、そのコピーを頼みたいんだけど、お願いできる?」


待ってました!とばかりの内容でした。心のなかは喜びにあふれていましたが、大喜びすると「仕事に困っているやつ」という印象を与えかねないと思い、冷静な声で(それでも上気した声で)返事をしました。


「もちろんですよ!引き受けさせてください」


そう伝えました。


ただ、少し心配な気持ちもあったのです。なぜなら、そのSさんは同じ代理店時代に不倫をしていたり、サイコパス的な一面を持っていると感じたり聞いたりしたことがあって少し信用できない印象もあり「仕事を引き受けて大丈夫かな」という思いもあったのです。


ただそれでも「仕事欲しさ」に、目の前の「ニンジン」に飛びついてしまったのです。


事件は、その後、そう時間を置かずに起きました。


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