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落ちついたらまたおいで。お茶でも淹れてあげるから 狭山市『當摩本店』

狭山の夜道をさまよっていると、まだ開いてるお店が。
お茶屋さんと、お隣にはコーヒー屋。テイクアウトならと思って入ると、中でつながっていて、つまり、同じ人がやっているみたいだ。 

店内をみると、コーヒーミルの近くの棚に、備前の渋い感じのと堀田善衛のゴヤ。

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人影はなく、何度かすいませーんと呼んで、ようやく奥から人がひとりでてくる。
ここはなんですか?と、好奇心が先にでて、不躾な質問をしてしまって、でも、丁寧に答えてくれた。

ここは、明治初めからやっているお茶問屋。絹と一緒に緑茶がたくさん輸出された時代で、狭山茶をうんと仕入れ「蘭字」と呼ばれる西洋風ラベルをつけて売っていた。

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コーヒーはね、自分たちが飲みたくて始めたの。まだKEY COFFEEも殆どなかった時よ。

あなたうちのひとと話合いそうねと笑われているうちに、旦那さんが降りてきた。
僕はね、美学校の5期生だったんだよ、と少年みたいに語りだす旦那さん。

黒いわんこが後ろからとぼとぼでてきた。
この子はコマっていうんだ。高麗から連れて来たからね。

老犬のようだけど、毛並みがよくて目がきれいだ。

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こんなご時世で人に会うのもあれだけど、落ちついたらまたおいで。お茶でも淹れてあげるから、と言ってくれた。

サイフォンで淹れてみたコーヒーが美味しくて、この日のことを思い出している。

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