見出し画像

黒部の源流を訪ねて

7/26 折立から雨の中、太郎平山荘へ。登山道には、連日の雨が滝の如く流れていた。薬師沢小屋までの予定を手前で切上げ、暖かい乾燥室で濡れた身体を整えて、翌日に備えた。遅めの昼食は温かいうどんを頂き、少し仮眠する。夕食は、揚げたてのとんかつ定食。体力温存できて嬉しい。翌朝に備えて、早めに休む。

7/27 太郎平小屋を霧雨の中出発。薬師沢小屋に着く頃は雨も止んだので、黒部川へ下りて渓流釣り🎣をしてみたが、時間が早すぎたようだ😌黒部川は連日の雨で増水していた。今日は赤木沢を遡行し赤木平でのテン泊は中止に。高天ヶ原への黒部川沿いルートは更に難しく、予定は変更して雲の平へ。途中、雨が強くなるものの、急登が終わればアラスカ庭園の木道を滑らないように歩けば、雲の平山荘へは早めに着くので、心配はない。すぐに暖かい地下の乾燥室へ。狭いながらも更衣室は乾燥室に併設されてて快適。先代の伊藤正一さんは戦前、飛行機のエンジンを開発してた方。飛行機の構造を利用した建物は、その後50年以上、北アルプスの風雪に耐えた。10年前に2代目の伊藤次郎さんが経営を引き継ぎ、100年は保つようにと、屋根は先代の知恵を生かし、細部は日本建築様式を採用。大きな梁が何本も組まれている。巨大な柱は、ダム湖で見つけたものだとか。前年に基礎工事、翌年まだ雪が3mくらい残るころから1ヶ月半で組み上げ、小屋開けしたという。吹き抜けのリビングから2階へ上がると、屋根裏の部屋と真ん中にある高台は、とても開放的で暖かい構造。食堂はカフェ形式、お洒落なBGMが流れていた。夕食は山荘名物の石狩鍋、これが超美味しい😋次郎さんのこだわりが随所にみられる。山小屋と言うよりは別荘のような、佇まい。時間も何故か、ゆったりと流れている。

7/28 雲の平山荘で停滞。風雨の為、黒部の源流を読みあさる。この3日間で十分に小屋の有り難さを感じる。小屋の在り方は変わっていないようだが、利用する方が多様化してしまって、注文の多いこともあるようだ。

7/29 早朝の雨も止み、霧の中ギリシャ庭園まで散策。今年は長雨のせいか、花が少ないと次郎さんは呟いていた。それでも咲いている花に幾度となく足を止めて写真に、その姿を収めた。小屋へ戻るころ、急に霧が晴れ、黒部の名だたる山々が視界に入ってきた。⛰✨まさに秘境と言われる場所。360°を雄大な山々に囲まれ、1日では辿り着けないからこそ、憧れでもある。そんな場所を初代伊藤正一さんは、湯又から三俣までを伊藤新道によって開拓する。三俣、水晶、雲の平は開かれた。その後、何年もの時を経て、苦難を乗り越えた現在のカタチを2代目が継承している。2日間お世話になった小屋を後に、高天ヶ原へ向かう。次はどんなところなのか?と心は踊る。ひたすら山を下り、源流を渡渉し山荘にお昼過ぎには着いた。小屋前のベンチでお腹を満たし、憧れの温泉へ向かう♨️行きは下りなので、帰りは登りだが急登ではない。源流の辺りに野湯があり、その向こうには男女別々の囲い。3日間の汗を流せる贅沢な場所。高天ヶ原は小さな小屋、ここでも密を避ける対策がしてあった。畳2枚に1人、隣とは半透明のシートで仕切られていた。宿泊客は私とガイド、高瀬ダムから入った男性の3人のみ。今回は雨の山歩きだが、贅沢極まりない。

7/30 雨が降っていなければ、温泉沢から水晶岳へ向かう予定だったが、午前中は雨模様。岩苔乗越を目指すことにして、小屋を後にした。途中のお花畑が見頃で、写真を撮りながらゆっくり歩く。鷲羽岳で霧が晴れるのを待ったが、なかなか晴れてくれない。鷲羽池はまたの機会に取っておこう。眼下に見える三俣山荘へ下る。14時ごろに着いたので、天空のカフェで軽食とコーヒーを頂く。明日は新穂高まで下山するだけ。のんびりしていると、ガスが晴れてきた。ここで宿泊する事にしたのが正解だった。双六でテン泊の予定を急遽変更したからだ。目の前には槍ヶ岳が穂高連峰と共に現れた。徐々に北鎌尾根も。間も無くして、表銀座の山々も顔を見せてくれた⛰✨至福の時とはこのこと。そらから夕方まで仮眠していたら、何やら玄関を出入りする音。起きて外に出るとガスも雲もない穂高連峰に夕日があたっていた。いつまでも観ていられる景色があった。今年の小屋食だが、ヘリ問題で自炊式になっている。朝食は自炊式とお弁当タイプ(パンとジュース、チーズ、ナッツ)が選べ、夕食には生野菜サラダが付いてて感動!三俣山荘名物のジビエ、鹿肉丼😋が美味しかった。小屋締めは今月末と早終いだそう。食べたい方は、お早めに☝️

7/31 早朝、ガスの中小屋を出発。双六岳山頂で景色を待ったが、そう上手くはいかない。疲れも出始めていたので、そのまま小池新道を黙々と下山。新穂高からバスで平湯温泉へ♨️仮眠所で宿泊して、翌朝、東京へ帰宅した。立山と併せて10日間に及ぶ山歩きは、これで一旦山終了。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?