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7/12 垣根を超える

昨日は夜からの撮影でした。その帰り道に、商業写真の竣工写真のフォトグラファーはいつも夜に撮影をしているという話になり、当たり前だけど、同じ写真の仕事でも働く時間ってかなり違うよな〜と思う。僕はたまにこういう夜からの仕事もあるけど、ほとんどは朝から夕方(夜の初め)の仕事が多い。

写真の学校や大学に入ってきた生徒さんとか、プロになりたい人のほとんどは、プロのフォトグラファー=タレント広告のフォトグラファーとか、雑誌のフォトグラファーを何となく目指して入ってくる。だけど、実際にはフォトグラファーという仕事の中でも、物凄い広がりがあって、同じ領域内でも全く考えも行動も生態系も違うのだから、本当はいろんなフォトグラファーのあり方を、変なヒエラルキー無しに教えてあげたいな〜と思う。
自分は完全な叩き上げで、ありとあらゆる仕事をしてきたので、多分大きな広告の会社のフォトグラファーの人とかは全く接しないような仕事も知っている。そういうところで働く人の写真への熱が低いかというと、そんなことは全然なくても、ある種世間的に大きな仕事をしている人よりもずっと熱がある人もいる。
逆に、そういうところで仕事をしている人は、ビッグキャンペーンの撮影がどうなっているかは知らない(僕もあんまり分かってない)。そこにはすごく面白いことやチャレンジグなことが渦巻いていることは、その端っこを見ただけでも分かるので、それはそれでまた、とても写真をする人間として面白いと思う。

何が言いたいのかというと、何となくそういう生態系みたいのをごちゃ混ぜにしたいという欲求が自分の中にあるんだよな〜ということ。自分がやるってことだけではなく、例えばキャバクラの写真ばっかり撮っている人が広告を撮影したらどうなのか、とか、広告の人が誰も知らない雑誌とか撮影したらどんな撮影の仕方するんだろうみたいなこと。それにすごく興味があります。そういう意味では、自分はプロデューサーや編集者気質というか、そういうのがあるなって思う。
そうしたときに問題になるのは、その領域ならではの作法。ここをある程度は守らないといけない部分もある。それは、その領域をよく知っている人がアサインした責任を持って、コントロールしていけば良い。その上で、「常識」を壊してもらうと、すごく面白くなるんだろうな。

これは別に特別なことじゃなく、古今東西、昔から行われてきている話。例えば、カーメル・スノーという『Haper's Bazaar』の編集長は、1930年代に報道のフォトグラファーであったマーティン・ムンカッチをファッション写真に起用して、これまでの書割的なスタジオ写真からファッションの写真を解き放った。それは後のアヴェドンなどの活躍につながり、今のファッション写真が「スナップ」のように撮影する流れを作り出しているのだから。
でも、昔以上に今は垣根が低くなってるから、もっと起こってもいいんじゃないかと思う。写真の中でだけではなく、もっといろんな垣根を越えていきたいし、そういうチャレンジを良しとしていきたい。
自分も、写真をベースにして、いろんな垣根を越えて行けるように、そして垣根を超える人を支援していけるようになりたいな。

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