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クラウドファンディング、50日間で1000万円への軌跡

2019年8月1日、50日間で目標金額1000万円、クラウドファンディングへの挑戦が始まりました。
目標を達成しなければ全額返金となる、All or nothing方式。
手に汗握る、50日間の軌跡を振り返ります。

1.プラットフォームをどうするかの葛藤

ブランドの立ち上げからこれまで、4回のクラウドファンディングを実施してきました。
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1回目:Makuake(2015年9月)
ジーンズ業界に革命を!瀬戸内の工場が生んだ世界初の「黒ベンガラ染めジーンズ」
2回目:CAMPFIRE(2017年6月)
キャラバンで「移動型販売」をしたい!デニム兄弟が新しい小売りにチャレンジします!
3回目:CAMPFIRE(2018年8月)
渋谷のホテルが工場に!?デニム兄弟がhotel koeで職人の仕事を魅せたい
4回目:Makuake(2019年4月)
創業78年。新素材を生み出し続けたテキスタイルメーカーが挑む「ナイロンデニム」
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これまで2社にお世話になっていて、それぞれに信頼できるキュレーターの方がいて、プロジェクトだけでない僕らのブランド展開の話も相談しながらサポートしていただいてきました。

で、今回はどうしようか、、と考えていたところ
Readyforが岡山県で新しく新聞社・銀行と連携して「晴れフレ岡山」というプラットフォームをつくるということを耳にします。

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それも東京以外に46都道府県ある中で、地方で大きく展開をするのは岡山県が初めてだと。
僕らも47都道府県を巡って、岡山で拠点をつくると決めたからには、しっかりその土地に根ざしたいと思っていて、そんなタイミングと偶然にも重なったことでぜひこれでやりたいと思いました。

ただ、この決断はかなり勇気のいることで、今まで支援してくれていたお客さんの中には新しくアカウントを作成してもらわないといけなかったり、僕たちも初めて使うのでどういう担当者の方がいて、どういう使い方ができるのかというのを把握しないといけない。

そんなハードルさえも越えて行こうと決めたのには、もう一つ理由があります。

代表2人との出会い。

CEOの米良さんには、学生時代に僕らが出ていた2回のビジネスコンテストでお世話になっていました。
1つはグローバルシェイパーズコミュニティ東京ハブが主催していた「Re-Generate Japan」というコンテスト。
こちらでは、最優秀賞へのメンターとして「そもそもクラウドファンディングってどういうものですか?Readyforは他社と何が違うんですか?」などを生意気にも米良さんに相談させていただいたことがありました。笑

もう1つは西濃運輸さんが主催されている地方創生ビジネスプランコンテスト「カンガルー」。
こちらでは審査員としていらっしゃって、僕たちの優勝が決まった後には、あたたかい応援のお言葉もいただきました。

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COOの樋浦さんとは、広島県で開催されたゲストハウス開業合宿へお互いに講師としてお声がけいただいた時に出会っており、
休憩時間や夕食をご一緒させていただいた際に、ずーーーっとReadyforの話をされていて、熱量とサービスへの愛がものすごい方だなぁと。

そんな2人との出会いもあって、僕らの中で決まりました。

2.どこまでページデザインに注力するか

クラウドファンディングのプロジェクトをたくさん目にする機会が増えてきていると思います。
ここで問題なのはどこまでページデザインにお金をかけるか。
そもそも、プロジェクトの目的が"PR"なのか"資金集め"なのかによって予算が変わってくるのですが、クラウドファンディングにおいては後者のケースがほとんどだと思います。

とても素敵な写真や動画など、おしゃれなページも増えてきている中で、ついついこだわりすぎてしまう。
もちろんカッコ良いページをつくりたいんだけど、ここはよく考えてまず”伝わる”ページをつくるのに専念すること。

僕たちは熱量や自分達らしさを優先して、それが表現できるぐらいの塩梅を意識することもあります。

まるっとプロジェクトページのデザインを任せて報酬をお支払いするという案件も増えているそうですが、なんだか勿体ないなぁと個人的には思うのです。

3.始まる前にどの範囲まで広めるか

「プロジェクトはスタートダッシュが大事だから、始まる前から伝えておくのが良いですよ!」と言われることは多いと思います。

プレビューページのシェアもしやすくなって、作成段階から公開するなんてプロジェクトも見かけます。

事前に公開することでプラスはスタートしたときに既にプロジェクトに愛着を持ってくれている人がいる状態をつくれること、マイナスは発表感が薄まることです。

僕らがクラウドファンディングを使う理由の1つは”発表感”があることです。なんだかプレスリリースに紐づいてそのままのページで受注が取れるような、そんな感覚もあります。

だから始まる前に伝え過ぎないようにもしています。
SNSでの公開はもちろんせず、始まることをお知らせするのは基本的に関係者の方々だけ。

プロジェクト期間があればしっかり見てもらえる機会もあるでしょうし、逆に未完成のものをきちんと見てくれる人もそう多くはないと思います。

今回も47都道府県の旅でお世話になっていた方々や、普段からEVERY DENIMに深く関わってくれている数人にしかお知らせしていませんでした。

4.よ〜いドン!

そんなこんなを経て、僕たちにとっては5回目となるクラウドファンディングへの挑戦が始まりました。
4年間店舗を持っていなかったブランドにとって、初めてとなる直営店の開設、そこに宿泊施設とカフェも併設するという一大プロジェクトです。

よ〜いドン!の開始から1週間で集まった金額は159万2000円
正直、目指したいところの半分くらい。。。
かなり厳しいスタートになりました。

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かっこつけて"発表感"がどうとか言っておきながら、全然見られてない、、、!笑

そして開始から2週間が経って206万3000円

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3週間が経って261万5000円

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なぜかグラフの達成目安は越えているのですが、
肌感としては、全然このままじゃまずい。。。

5.伊勢丹新宿で47都道府県旅の終着展

そんなヒヤヒヤなスタートダッシュから3週間後、
8月21日(水)に伊勢丹新宿店で、僕たちが2018年から実施していたキャンピングカーでの「47都道府県旅の終着展」が始まりました。

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ありがたいことに担当者の方にはすごく良いタイミングでお声がけいただいて、新作である本藍100%ジーンズのSpokeのお披露目もできました。

東京在住の知り合いだけじゃなく、地方から東京に用事があるついでに寄ってくれたみなさん、旅でお世話になったみなさん。
本当にたくさんの方にお越しいただきました。

台風と重なって一部バタバタになってしまったのですが、期間中のトークショーにお力を貸してくださった方々にも感謝しています。

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NEUT Magazine創刊編集長 平山潤さん
株式会社しびっくぱわー 代表取締役 堀下恭平さん
IKEUCHI ORGANIC株式会社 広報・営業部部長 牟田口武志さん
オシロ株式会社代表取締役社長 杉山博一さん
エシカルファッションプランナー 鎌田安里紗さん
株式会社Wasei 代表取締役社長 鳥井弘文さん
合同会社アタシ社 代表社員 ミネシンゴさん
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6.救世主「tamaki niime」

伊勢丹新宿での展示会も始まり、プロジェクト開始から4週間が過ぎようとしていた頃。
50日間のプロジェクトで、半分の日数である25日間を終えて、292万8000円。今思えばこの辺りが一番苦しかったです。

なぜ最初の目標を500万円にして、上乗せで1000万円を目指すプロジェクトにしなかったのか。
全額返金になった時、すでに注文を入れてくれているみんなになんて言えば良いのか、生産の準備をしてくれている工場の方々になんて言えば良いのか、お金はどうやって調達しようか、そんなことが頭の中をぐるぐると。

そんなとき、、、

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なんとリターンとして準備していた「2020年度、山脇があなたの街に1ヶ月お試し移住します」が売れたんです。

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支援してくださったのは、兵庫県西脇市で2004年に立ち上がった播州織のブランド「tamaki niime」。

ショールームに併設して工場があり、ガラス越しにつくっているところを見ながらモノを買うことができる理想的なお店、そして内装もすごく綺麗で、若い社員さんも多く、全国産地の中でも一際目立つ存在のブランドです。

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僕たちは今年3月に「コシラエ会」と題し、ショールームでイベントをさせていただいたことがあったのですが、関係性はそれくらい。

今回も何か特別お話していたわけではなかったので、本当に驚きました。

7.僕らは1人1人にしか向き合えない

そんな奇跡もあり、一気に100万円の支援をいただいた僕たち。
今回のプロジェクトについて兄弟で動画を配信して想いを届けたい!と思っていたのですが、何か自分達らしさを忘れていたような気がして、、
これまで47都道府県をキャンピングカーで巡り、製品を届けてきた僕らとしては、SNSで公開するよりも1人1人に向けて違う言葉で動画を撮ろうと。

クラウドファンディングも終盤に差し掛かる中、200本近くの動画を撮影しました。

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これを思いついたのは、昨年明けに年賀状やLINEの文面だと温度感を伝えるのが難しいと、”年賀動画”を撮影したのがきっかけ。
動画を送ったみなさんがとても喜んでくれて、年明け早々からなんだか嬉しい気持ちになった経験があったんです。

それで今回も。

とても僕たちらしい、1人1人へのお知らせができたと思います。

8.焦る、初拠点の準備

ここまで一切触れていないのですが、何を思い違えたのか、クラウドファンディング終了の翌日を「DENIM HOSTEL float」のオープン日にしていました。笑

なのでプロジェクト実行の裏では建物の大改装、それも資金を抑えるためにほとんどをDIYで。僕はなるべく入らずに2人のメンバーに助けてもらっていたのですが、それでもかなりハード。

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たくさんの方に改装中のことも知ってもらおうと、来てくださる1人1人を案内したり、一緒にご飯を食べたり、、笑

内装をどうするか、何をどの予算で買うか、どこをどういうスケジュールで進めたら間に合うのか。。。どれも考えるのは当たり前のことなのですが、今思えばよくやったなと。

たぶん少しでも知識があったらできなかったと思います。怖いもの知らずだったから前に進めて、なんとかオープンさせることができた。そんな気がします。

9.All or nothingの終わり

クラウドファンディングも終盤に差し掛かり、いよいよ大詰め。
残すところ10日ほど、この段階で集まっている金額は658万6000円

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達成するにはこれまでにないほどの伸びをしないといけません。
でも僕らには正直、もう何も手札はありませんでした。

ギリギリでの消防や保健所の立入検査、オープン後の人やモノの流れを考える日々、クラウドファンディングに関しては何もできないまま毎日が過ぎていきます。

「恥ずかしいけれど、いくらかの金額は自分たちで入れないといけないのかなぁ、それでも失敗するよりは、もう支援して楽しみにしてくれている人がたくさんいるから」
そんなことばかりが頭をよぎっていました。

「大丈夫?目標達成できそう?困ったら言ってね」
この辺りになって電話やメッセージで知人から連絡が来るようになりました。
今までのクラウドファンディングで終盤まで目標金額に達成していないことなんてなかったので、こんなのは初めてのこと。

そしてTwitterでも1人1人が応援の投稿で盛り上げてくれます。

本当にたくさんの方々に盛り上げていただいて、自分たちでも驚くようなペースで支援があり、最後の3日間だけで集まった金額は354万円。

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覚悟を持って望んだAll or nothingでの50日間、1000万円の目標。
何度も諦めかけて、そわそわした日々を過ごして、でも前に進まないといけなくて。
そんな僕たちの背中を押してくれたみなさん。
達成したことを自分ごとのように喜んでくれたみなさん。
本当にたくさんの力をいただきました。
このnoteの記事を書くにあたって、支援してくれたみなさんのツイートを遡って見ていたのですが、今でも涙が込み上げてくる。

EVERY DENIMを始めて4年。
こんなに応援してもらえるようになって、それは僕らが自分たちの力だけじゃ届かないような目標を掲げたからなんじゃないかと気づかされた、そんなAll or nothingのクラウドファンディングでした。

ご支援いただいたみなさん、そして僕たちのことを信じて最後まで伴走してくれたReadyforキュレーターの吉倉さん夏川さん、本当にありがとうございました。

10.「DENIM HOSTEL float」の始まり

そして、9/21(土)にオープンしたDENIM HOSTEL float
達成するかもわからないクラウドファンディングのこともあり、全員にきちんとした案内もできないままオープンを迎えました。

まだまだできていなかったことを準備しながら、そして改善しながらの日々が続いていますが、
「瀬戸内の島々が浮かんでいる景色の目の前で、作り手を想い浮かべながらも、家族や仲間と浮かれることができる。」

そんな場所を目指して、みなさんのことをお待ちしています!

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airbnb_全体1

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ではでは、また次回。

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「それゆけ!デニム兄弟生誕祭」
〜超巨大2mのホールケーキを当日つくる〜
■日時:
12月27日(金) 19:00〜12月28日(土) 12:00
■参加費:
入場料1000円
※コンテンツ制作費に充てさせていただきます!
■:アクセス
DENIM HOSTEL float
岡山県倉敷市児島唐琴町1421-26
└坂の下に市営の無料駐車場がございます。
■:ご宿泊
みなさまへの日頃の感謝の気持ちを込めまして、この日限りはご宿泊を先着18名様まで無料で承ります。遠方からお越しの際も安心してお泊まりください。
※ 宿泊のご予約はこちらから
https://denimbrothers.peatix.com

デニム兄弟生誕祭

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