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人物を年齢別で描き分ける

日曜日。大阪デザイナー専門学校にて来春の入学希望者向けに講演をしてきました。この学校の卒業生である中川君と、今はなき神戸デザイナー学院という姉妹校の卒業生である僕の2人で、イラストレーターを志すきっかけや、専門学校当時を振り返っての話、卒業後から今に至るまでをトークショー形式で話しました。時代の差で今とは大きく違うこともありますが、おっさんイラストレーター2人の話が若い皆様のお役に少しでも立てていれば嬉しいです。

トークのあとにワークショップも行いました。「イラストレーションとはなんぞや」という事を少しでも考えてもらえるきっかけになればと思い、即席ながら考えたテーマは「人物を年齢別で描き分ける」。

条件としては下記の通り

・10代、20代、30代 の人物を描き分ける
・性別は問わない(さらに、人間でなくて動物キャラでもよい)
・全身を描いても、顔だけを描いてもよい
・タッチは自由、普段描き慣れている自分の好きな描き方でOK
 (コミックタッチでも、リアルタッチでも)

30分くらいの短い時間でササッと描いてもらいました。
このワークショップの狙いとしては

・世代の違いをどうやって表現するか
・言葉で補足せずともそれぞれの違いがよくわかるか
・主観的でなく客観的にな視点でイメージを持てるかどうか

というところを感じてもらう事です。

参加者の皆さんは絵が得意な方が多かったので上手に描き上げていました。特に自分の世代である10代については説得力があり表現力の高いものが多かったです。ただ、おそらく普段描いた事もなければ、よく観察したことのない自分とは違う世代の人物においては、どう描き分ければよいか?というところで悩んだのでしょうか、少々苦労も見えました。今回、描き分ける世代を10〜30代と狭い範囲に限定したことも、難しい点だったと思います。

これはいろんな学校で学生さんの作品を見ていても思うのですが、自分の好きなジャンル、得意とする表現で描き慣れた人物表現については、皆さん本当に上手い人がたくさんいます。が、それ以外の表現になると途端に苦手意識を持ってしまってうまく描けなくなる人が多い気がします。

描き終えたあと、皆の絵を机に並べてお互いに見せ合いました。髪型や服装、顔のパーツの配置バランス、シチュエーションの違い、人によって着眼点がさまざまで非常に興味深かったです。きっと気づきや学びがあったことだと思います。

ちなみに僕も一緒に描きました。こんな感じです。言葉は解説用にあとで書き加えたものです。

設定がベタ、というか若干強引すぎますがその方がよりわかりやすいだろうという考えです。(クオリティについては目をつぶってください…。)

良いか悪いかはさておき…

描き分けのポイントとしてはいかに細かく人物像をイメージするか、ということになるでしょうか、例えばどんな環境で暮らしているのかなど。なのでいかに普段から周りを観察をしておくかが大事かもしれません。そのためにはスケッチ、クロッキー、大事ですね。どっちもやってないなぁ…。10〜30代を実際に過ごしてきた僕が若い方と同じテーマで描くのはちょっとズルかったですね、すみません。

イラストレーションという言葉の持つ意味には「図解,図版,(確証のための)比較・実例、説明,解説,例証」といった要素があります。単に絵を描くだけではなく、人に伝わって初めて意味を成す物です。

自分の作品を見せたから言うわけではないのですが、決して上手・下手だけの基準ではなく、それよりもちゃんと伝わるかどうかがイラストレーションにとっては何より大切だと思います。という事を、ちょっとでも伝えられたかな〜、どうだろうね中川くん。絵って難しいねぇ。


このような場に呼んでいただいた大阪デザイナー専門学校さん、どうもありがとうございました。また機会があればぜひよろしくお願いいたします。



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