#5年以上前の絵見せて下さい
というハッシュタグをtwitter上で見かけて、面白そうだなと乗っかってみることに。すると思いがけずいくつか反応をいただき、これは興味深いと思いあらためて自己分析してみました。
はじめにお伝えしておきますが、あくまで自己分析なので誰得?な情報です。ひとりの絵描きの、紆余曲折な表現の移り変わりをご参考までにご覧いただければ幸いです。
およそ15〜10年前の、もうほぼ世に出すことのない過去の作品。
まだフリーランスとして独立する前ということもあり、「仕事になる絵かどうか」よりも「自分の絵とは何か」ということばかりを考えていた頃です。
ツイートにも書いたとおり、我ながらかなりの迷走ぶりです。
①15年前(2003年)
人生ではじめて個展を開いたときの絵です。何を思ってこれを描いたのでしょうか。思い出せません…。とにかくタイトルを「Natural Permanent」(天然パーマを意味した造語)にしたくて、パーマ頭をたくさん描いていた時期です。
目が笑ってない…!!!
じつはこの展覧会に飾った絵が、その後何年かの時を経てお仕事に使われたんですよね。それがこれ
富士火災海上保険(現:AIG損保)の広告ビジュアル…!!!全国展開でしたのでもしかしたらどこかでご覧いただいた方もいらっしゃるかも。
よくまあこの絵をそのまま使ってくれたもんだなぁと。何も狙ってなかった絵なので、たまたま偶然驚きの出来事でした。
そんなラッキーは後にも先にもこれっきりでしたが…
②14年前(2004年)
初個展の翌年。もうすでに大きな変化が。自分の絵を探求し、頭から煙が出るほど悩みすぎた状況が絵にまで表れています。
この頃は会社勤めのかたわら、寝る間を惜しんで制作に打ち込んでいたころです。描く楽しみと辛さが同居しているような時期だったように思います。だからなのか、また
目が全然笑ってない…!!!
③12年前(2006年)
会社を辞める半年くらい前でしょうか。残業時間においてはブラックと言っていい勤務状況でしたから、それが絵にも表れています。ご覧の通り背景が漆黒です。
twitterでも「なんだか闇を感じる」とコメントをいただいたのは、この絵の力でしょうか。絵のことも仕事のこともあって、だいぶ精神的に病んでいたのかもしれませんね。
ところでこのタイトルがなぜ「Babyboom」なのかもさっぱりわかりませんね。全然絵と関連がない。闇が深すぎて自分でも引いています。
もはや目がどこいった…!!!
ちなみにこの絵はイラストレーション誌のザ・チョイス(イラストレーターの登竜門ともよばれる誌上コンペです)に入選させてもらったものなのです。
当時は飛び上がるほど嬉しくて、ありがたかったし自信にもなったんですが、この方向で闇に向かって突き進んでたら果たして今頃ちゃんと食べていけてたかな…🙄ふとそんなことを思います。
コンペの評価と今とは必ずしも同じではありませんね。
④9年前(2009年)
2009年、ここへきてようやくフリーランスとして独立後の絵ですね。相変わらず背景は漆黒ではありますがご覧ください。
笑っている…!!!
この頃に至るまで、何度となく変化をしてきた目の描き方。とにかくどこかに特徴を持たせたいという気持ちが、一番強い「目」に表れてていたのでしょう。
でも実際、この目の表現では仕事でNGを出される事が多かったんです。たとえそれが自分のこだわりポイントであっても、お仕事として有効かどうかは別問題なんですね。
自己分析をしてみて
駆け出しの頃は特に「とにかく覚えてもらいたい!」という気持ちが絵に出すぎていて、ちょっと押し付けがましい感じがしますね。ひねくれているせいもあってか、全体的にダークな印象です。
ただ、こうしてたくさん自分の中でトライ&エラーを続けてきたおかげで、いろいろと気づけたことがあり、それが今につながっているのだと思うと、何一つ無駄なことはなかったなと思えます。
最近はダークさを見せずともなんとか成り立っていますが、そのうちまた絵に闇を感じ始めたら、病み出したと思ってどうかご心配くださいませ^^
ちなみに今はこんな絵を描いています。子どもを持ってから、より明るい色や可愛いモチーフを選ぶようになったかもしれません。まだまだ変化の途中です。
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