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人が集まり、暮らす「街」の心理学


どうも、さいさんです。
先日取材を受けた長野朝日放送の番組がオンエアされました。

番組タイトルは『伊那市・地域おこし協力隊 定住率100%のワケ』

別の取材の際にディレクターさんとお話をしていて出た企画です。
あれよあれよという間に進み、こちらが逆に先の放映となりました。
このスピード感は気持ちいいですよね!

僕のいる長野県伊那市が地域おこし協力隊制度を利用してから7年。
任期を終えた全員が定住しているという全国でも他にないという部分を掘り下げて頂きましたので、今日は放映に使われなかった部分やその前提といったものに関してお伝えしていきたいと思います。


☆ センシュアス・シティ

住職こと木下斉さんも登場するこちらの著書「本当に住んで幸せな街」にセンシュアス・シティという概念が解説されています。

【関係性の指標】
①共同体への帰属 ②匿名性 ③ロマンス ④チャンス

【身体性への使用】
①食文化 ②街を感じる ③自然を感じる ④歩ける

今回の取材で改めて思ったのが、うちの伊那市エリアにおける総合点の高さです。

僕は普段から

「諏訪から南は県から相手にされていないくらい扱いが悪い。けれど、それが良かった」

と言っていますが、実は本書の中でも地方都市の比較で

「積極的に開発を進めてきた浜松市と結果的に開発が進まなかった静岡市。その結果は皮肉にも静岡市に軍配があがったのです」

という一文がります。そう、まさにそれを実感していたのです。
変にリゾート化されたり、変に開発されなかった。
だから、この街、このエリアの心地よさが残り、人のつながりが生まれやすくなっていると考えているわけです。

実際、この上伊那エリアにある南箕輪村、宮田村、箕輪町は2019年に人口増を実現(特に南箕輪村はこの20年以上、人口が自然増で増え続けて今や人口16,000が目前)しています。

エリアの中心である伊那市自体は人口減傾向にはあるものの、木曽を始めとする他エリアも経済人口として獲得し、経済圏を象徴する夜の街もあり、個人商店や起業、自営する元気な会議所青年部が活躍を続けています。

カリカリ1

☆ 人生の選択

人が人生の選択において最も重要視するのは「誰と」「何を」です。
センシュアス・シティの基準は、この「誰と」「何を」という発生率を決定する多様性にも直結しています。

なので、その部分でもこの地域の寛容さや人の距離感は、次の時代を見据える十分条件を持っているのだろうと思っています。

もっとも、このエリアにも既得権やその後継者とならんとしている空気の淀んだ人もいます。人より箱で開発したい人。表裏があって、自分の利益ありきで行動をしている人。

ただ、これは日本中、歴史の中でも繰り返されてきたことでもあります。

なので、そんなことよりも個としてしっかりやっていくこと。そんな個と個のつながりを作っていく小さな進捗の積み重ねこそが今は大事なんです。

それが出来る場所。

そこは、非常に価値があるのだと思います。


☆ 協力隊制度のモデルとして

放映でも触れられていますが、伊那市での協力隊の制度活用における利点は大きく三つ。

・自治体と契約する条件付き(任期期限)公務員ではなく、市長と直接契約をする自営業者であること
・副業、複業を見込んだ拘束が週24時間であること。あわせて二拠点を認めている事。
・キャリアのある30代以上の採用を積極的に行っている事

です。この点では、文句なしに全国的モデルと言えるような制度運用をしています(近隣エリアでもこうした伊那市のやり方と実績を参考に採用した協力隊への自由を担保する動きもあり、そこはやはり定住という結果を上昇させているように思えます)。

一つ目の公務員で契約をするとなぜ失敗するのか?という点と二つ目の副業等を見込んだ週24時間という約束に関しては既出の話も多いので短く行きます。

「そうしないと稼げないから」

の一点。

公務員という存在は、偉そうな響きがありますが、世の中に出してしまえば一人では何も出来ないという人も圧倒的に多いわけです。

どこにいても優秀で稼ぐ力があるなら、まず自分が公務員を辞めて稼いで税金を納める側に回ればいいのです。

ですが、稼ぐ力がないので一生懸命天下り先を増やす仕事をして、どこまでも税金に食らいつく寄生虫のような生き方すらします。


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そんな人の部下として週に5日も使われたら、起業する余裕なんてありません。「週末の休みを潰して起業準備を」とかいう公務員の担当者も普通にいたりしますが、じゃあ、お前がやってみろの話しですよね。

そんなわけで、失敗する自治体の多くはこのパターン。
任期後に公務員採用するつもりがないのに、部下としてこき使い(協力隊には残業代を払わなくていい解釈が出来るそうです)、穴埋め要因として役場を守るだけ。最初から使い捨てにする目的で採用しているのです。

こうした自治体ではぶっちゃけお金の使い方もやばいところが多い。
協力隊員が使う体裁でリースされた車を部課長がほぼ占有していたり、協力隊員が知らない間に部署の備品が増えていたり、経費の開示を求めても応じてくれず、経費仕様の相談には「経費はない」と言い張ったり。
個人的には、財源の主である総務省がそろそろ監査と罰則つけていいんじゃないかなとか思っています。

で、三つ目ですが、こちらは既出のnote をご参照ください。

イノベーションの発現にはキャリアが欠かせないので、30代、40代が有効だということはデータでも証明されています。

この①、②に書いてある内容は、転職や移住にも転用できるものですので、ご参考になればとぜひ。

今日はここまでとしましょう。ではでは!

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