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伝わる心理学「メルケル首相のメッセージが素敵すぎるその理由」①

こんにちは。さいさんです。

今日はフィードバックの序章として、メッセージの伝え方に関して先にやってしまおうと思います。というのも、個人的にコツコツとメモしてきていた内容とメルケル首相の演説がはまりすぎたので、出すなら今かなと思ったからです。

実は、心理学的にも伝わる為にどう伝えるかという研究はたくさん行われています。

そこで、メルケル首相の演説を振り返りながらこうした知識を共有して、自分達もまた伝わる為の伝え方をブラッシュアップしていこうと思います。

というわけですので、気に入ったらぜひシェア等で共有して頂ければと思います。では早速始めて行きましょう。

演説はこちら
演説原文はこちら
翻訳はこちらの方のページを参照させて頂きました

 
☆ 私達は全体利益を知っているという大前提

メルケル首相の演説冒頭はこの部分をとても丁寧に扱っています。

市民の皆様と呼び掛けてから、社会の現状を語りかけて確認。大人には「何百万人という方々が出勤できず」とし子どもたちには「学校あるいはまた保育所に行けず、劇場や映画館やお店は閉まっています」と伝え、家族、友人、仲間とのコミュニティやコミュニケーションが断絶されている状況を想像させています。

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これらは心理学的に「内集団」と呼ばれる仲間意識の感覚を呼び起こしています。私達は自分たちの生活や幸福がこうした集団(コミュニティ~自治体、国家)に影響されることを知っているので、意識的に、無意識的にこの集団内の誰かを助けようという行動をとります。この感覚が発揮されると、個々が主体的行動を起こすということを腹落ちさせやすくするのです。そのうえでメルケル首相は、

「私は今日このような通常とは違った方法で皆様に話しかけています。それは、この状況で連邦首相としての私を、そして連邦政府の同僚たちを何が導いているのかを皆様にお伝えしたいからです。開かれた民主主義に必要なことは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。もし、市民の皆さんがこの課題を自分の課題として理解すれば、私たちはこれを乗り越えられると固く信じています」

と語りかけました。
心理学の大前提で、私達は誰かを助けることで幸福感を始めとする様々な心理的満足感を得られる。とてもいい気持になれることが分かっています。しかし、この

【助ける事を誰かに強要された場合には、この満足感が消失してしまう】

こともわかっています。なので、リーダーがメンバーへ頼みごとをする時には「私はあなたを助けるから、あなたも私を助けてほしい」というフェアな関係。全員がお互いを気持ちよく助け合っている関係である未来像を伝える必要があります。

その為にリーダーは最初に「自分が助けを必要としている事」と「その助けを歓迎している事」を伝える必要があります。

そのうえで、メンバーそれぞれにも個々がすべきタスクやそれに伴う時間があり、その個々の人生の時間を尊重しながら、その中で出来る範囲で助けてほしいときちんと伝える必要があるわけです。

それをこの一文で見事に成し遂げました。メルケル首相が国民の協力を必要としている。それが明確になり、しかも民主主義にのっとった情報の公開と選択に関しても約束されているわけです。さらに

「私は、あなたがた一人一人が必要とされている理由と、一人一人がどのような貢献をできるかについてもお伝えしたいと思います」

こう言われた聴きますよね。自分の役割を知ろう。そう思った人は多かった筈です。

そのうえで、メルケル首相の演説ではここから最も重要な「有効性」に関して滔々と語られていきます。

その部分を次回②に続けます。

今日の参考文献は「人に頼む技術(ハイディ・グラント)」です。

ではでは!


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