【第十八場…ムシカ漁村】

《E氏→冒険ものRPGでは漁村が出てこなければいけません。待っていました。ケンリュウ氏登場。SFが売れていますものね。中国っぽいところで、世界漫遊記の感じに》

 目指す港まで、もう少しです。潮の香りがしてきて、四人とも疲れが吹っ飛びました。港が近づいてくると音楽が聴こえてきます。港はムシカという漁村にありました。ちょうど船が帰ってきたみたいです。大漁だったようで、村中おお騒ぎ、船を待っていた人たちは、手に手に楽器を持って、大音量で音楽を奏でています。漁師という職業は、命懸けのお仕事ですので、家族にとってお父さんが無事に帰ってくることが何よりの願いなのです。奥さんも子どもたちも、涙を流しながら喜んでいます。
「とうちゃーん! お帰りなさーい!」
「おー、ケンリュウ、元気にしてたか? かあちゃんの言うことちゃんと聞いたか?」
「うん、ぼく、いい子にしてたよ」
 ケンリュウくんのお父さんは、ケンリュウ丸の船長さんです。この村では、船の名前には、長男の名前をつける風習があります。
「そうか、弟のゼンリュウの面倒みたか?」
「うん、いまかあちゃんのオッパイ飲んでるよ」
「そうか、ああ、ミーファ、留守中ご苦労だったな」
「あんた、よかった。ご無事で」
「うん、ありがとう。おかげさんで、たくさん獲れたぞ」
「よかったわねえ」
 あちこちで、親子のひさしぶりの再会の場面にでくわします。わたしたちも、うれしくなってきました。すると、詩人さんが、みんなの前に立ちました。
「大漁おめでとうございます! わたしたちは、あやしいものではございません。ありがとうバンドと申します。ぜひ、お祝いに一曲やらせていただきたいのですが、よろしいでしょうか!」
 陽気な村の人たちですから、
「おー、やれやれ! いいぞー!」
 などと、声援があがりました。
「どうぞ、音楽は続けてください。わたしが、歌で合わせますから」
 ありがとう星人のおじさんは、黄色いドラムセットを用意しました。ドラムのリズムで周りの音楽をまとめいきます。大統領は、どうしていいかわからずにボーっと立っていました。その間、詩人さんは、ぶつぶつ何か言いながら、足でリズムを取っています。
『えー? 詩人さん、何も考えてないのに“歌で合わせますから”なんて言っちゃって、大丈夫なの?』
 わたしが、心配していると、詩人さんの顔がさっきみたいにパッと明るくなりました。
「とりあえず詩人だから」
 そう言うと、詩人さんは、みんなの前に戻りました。

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