【第三十六場D…はだかになれた王様2】

 詩人さんとキリット大統領は、さっそく城へと呼ばれました。二人は、痩せこけてパンツしか履いておりません。
「お前たちか? 天から紡いだ糸で、空気より軽くて、温かい服を作る職人というのは?」
 とマイタカ王が尋ねました。
「さようでございます。わたしとこの者が、いま身につけております」
 と詩人さんは答えました。
「ほう、それはすばらしい。では、ひとつ作ってもらおうか」
 やっぱりペテン師だったのかと、マイタカ王は笑うのをこらえていました。
「さすがに名高いイマワノクニの王様です。この服をご覧いただけましたか。この服は頭の悪い者や身分のふさわしくない者には見えないようにできております」
「もちろんじゃ。絹のように光沢のある服で、私によく似合うと思うぞ」
マイタカ王は、だまされたフリをしながら続けます。
「最高の服を作ってくれ。できたあかつきには、褒美をとらす」
「ありがとうございます。では、さっそく明日から取りかからせていただきます」
「そうか。場所はどこにする?」
 すると、キリット大統領が言いました。
「敷地内の土地を貸してくださいませ。建物は私めが作ります」
「はて、自分で作るとな? 材料はどうする?」
「王様、大丈夫でございます。いつも用意してございます」
「そうか。ならば土地は、家来の者に指示しておこう。他に何か必要な物があれば、遠慮なく申すがよい」
「かたじけのうございます」
 そう言うと、二人はお城を出ていきました。
 二人が去ると、マシテヤールカーナ女王が出てきて言いました。
「陛下、なんとも怪しげな男たちです。国の災いになるやもしれません。天から紡いだ糸で服などできましょうか。いっそ、今のうちに手打ちにいたしましょう」
 マシテヤールカーナ女王は、詩人さんとキリット大統領の目に、モンゼン・ラミ太郎と同じものを感じたのでした。ラミ太郎を牢に入れるよう王様に勧めたのは、この女王だったのです。
「いやいや、このごろ退屈しておったところだ。何かあれば、忠臣のヤムマ・タケルヲに斬らせればよい。しばらく様子を見よう」
 王様にそう言われましたが、女王の顔にあきらめた様子はありませんでした。


サポートありがとうございます。ほかの方へのサポートに回させていただきます。さらに、あなたからいただいたお力で『ありがとう星人 りんごの種』『ありがとう星人 詩人の自信』『ありがとう星人 裸になれた王様』『ありがとう星人vs.ドクダミシイ』など、絵本出版につなげさせていただきます。