見出し画像

自分と社会をつなげるレンズ「会計の地図」

こんにちは、ナカムラです。今回は「会計の地図」という書籍を紹介したいと思います。

「ビジネスモデル図解」でおなじみチャーリー氏の新著で、複雑で難しいイメージのある”会計”について、この上なくシンプルかつわかりやすく整理されています。(会計の講義で苦しんでいた学生時代に出会いたかった…)

正直、あまりにもわかりやすくてnoteで解説するようなことは何もないので、個人的な所感の備忘録として書き留めておこうと思います。

書籍の詳しい内容については、チャーリー氏自らnoteにて全文無料公開していますので、そちらを参照下さい。私は、そのnoteの触りと「なぜ全文無料公開するのか?」を読んだ上で、「手元に置いて読み返していきたい&編集・構成された書籍の方が読みやすい」と思ったので購入しています。

1)本書のスタンス

まず何よりも、本書のスタンス(=チャーリー氏がなぜ「会計の地図」を書こうと思ったのか)が、とても納得感があり「会計について知りたい!」と思えた最大のキッカケになったので紹介します。

そもそも会計って何なのか。本書では「自分と社会のつながりを見るレンズ」という表現をされています。自分の行動(仕事や消費)が、社会とどのようにリンクし、相互に関係を及ぼしているのかをお金の流れから知れるツール=会計、ということです。

画像1

画像2

(図はチャーリー氏のnoteからの引用)

この視点が持てると、会計というレンズを通して、会社/業界/社会を俯瞰することができます。普段の生活ではどうしてもミクロな視点に寄ってしまい見えていなかったことに、ハッと気付くキッカケになります。

しかも、それが世界共通の言語だから、同じ言葉・定義でみんなが理解し、会話できるわけですね。

本書の編集者である今野さんも、ご自身のnoteでこんなコメントをされています。

「会計」にまつわるイメージは人それぞれだと思いますが、少なくとも、「みんなが当たり前のように知っていて簡単なもの」ではなく「専門的で難しいもの」というイメージが強い言葉だと思います。

でも、それって、おかしくないだろうか、と。

会計は、お金の流れを記載して内外に説明するための概念と方法であり、すべての仕事は会計と切っても切り離せないはずです。それなのに、専門的なイメージが未だに根強い。「みんなのためのもの」なのに、「一部の人のもの」になっている。私自身が会計に対して抱いていたのは、端的に言うと「開かれていない」というイメージでした。

こういう、本来「みんなのためのもの」なのに「一部の人のもの」になっているものって他にもたくさんありそうですよね。

例えば、人事とか。人事って会社に所属している人間なら全員もれなく関係していることだけど、あまりよく理解できてない気がしませんか?

特に複数社での勤務経験がなければ、自社以外の人事の仕組みについて知る機会もそうそうありませんし、比較対象もない。

「人事」がどんな領域を含むのか、それを理解することでどんなメリットがあるのか、世の中にはどんな人事システムがあるのか。この辺りについて、「会計の地図」スタンスで整理してくれている記事や書籍があったら読んでみたいです。

(そんな内容をシンプルでわかりやすく説明した書籍を出版したら、「人事のスペシャリストが在籍する企業」というイメージも獲得できそうですね)

また、会計がわかると「会社の意思決定の背景」も理解しやすくなると思います。会社が大きな意思決定をする時、社内向けに背景を説明してくれる(ところもある)と思いますが、「より普遍的・定量的なお金にまつわる事実」の側面から理解を深めることができますし、ひょっとしたら説明された内容とのギャップに気付いてしまうかも知れません…。

2)見えない価値「のれん」

「のれん」とは、会社の信用やブランド力、ノウハウなど目に見えない資産のことを指します。

会計上は、のれん=時価総額-純資産 で計算されます。

画像3

画像4

詳しくは本書を購入いただくか、のれんの図解を見ていただくとして、なぜ私がここに注目したか。

のれんはいわば、世の中の人が認めた「その企業の資産以上の価値」なわけで、世間の期待値とも言えます。

この期待値が高ければ高いほど、時価総額は押し上げられていくので、当然企業にとっては重要な要素です。

この期待値を生むのれんには色々な種類があります。

画像5

「これから伸びる〇〇市場に合った独自性のあるアイデアだ」
「〇〇氏がCMOとして参画したらしい」
「ブランドとしての姿勢にとても共感できるし、応援したい」

などなど、人々が企業に寄せる期待は様々です。

しかし、日本の半数以上の企業が「のれんがマイナス」の状態にあります。つまり、時価総額が純資産よりも低い状態、過小評価されている状態と言ってもよいです。

優れた技術があり、分かる人にはわかる状態だけど、世間から見ると「期待できない企業」が多いということです。むしろ「知りもしない」の方が正確かも知れません。

良いものを作れば売れる時代は終わった

とよく言いますが、

良いものを作ってそこそこ売れても、企業価値が上がらない時代

というイメージでしょうか。

だからこそ、昨今ではブランドアクティビズムやESG経営といった言葉をよく目にするのだと思います。こういった活動を指して「これやって売上は上がるの?」なんて質問をするのはお門違いというか、論点がズレているので気を付けたいものです。

3)最後に

最後に本書の末尾から一節、引用したいと思います。

のれんを生み出すためには、クリエイティブな発想が必要である。ブランドやアイデアや戦略などという目に見えないものは、時間をかければ生み出せるというものではないし、お金で得られるものでもない。そこには、人の「工夫」が求められる。人の創造性こそ、のれんを生み出す源泉になっているのだ。

 そう考えると、のれんは、会社の経営者じゃなくても、会社に勤める誰であっても、アイデアや工夫次第で生み出せる資産だ。企業価値の最も重要なところにこそ「クリエイター」の力が求められているとも言える。しかも、財務的にも、そう扱われている。

 僕はかつて、ディレクターとしてWebサイトやアプリなどの企画・設計の仕事をしていた。僕の周りには、新しいアイデアを考えたり、斬新な概念を生み出したりする創意工夫あふれるクリエイターがいて、その仕事ぶりに感動してきた。しかし、クリエイターのアイデアは著作権で保護されにくかったり、安く見積もられたりして、本来生み出している価値以上の評価はなかなか得られていないように思えた。

 だから、「クリエイターの本質的な力こそが会社の価値に深く影響する」という事実を知ったとき、ものすごく勇気付けられた。

是非、興味を持った方は手にとってみて下さい。本当に万人におすすめの本です。

以上、自分と社会をつなげるレンズ「会計の地図」 でした。最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m

ナカムラ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?