セブンイレブンが2兆2千億円でアメリカのコンビニを買収した理由
セブン&アイホールディングスは、2兆2千億円でアメリカのコンビニ業界3位のスピードウェイ社を買収することを発表しました。コロナ禍のM&Aとしては世界最大の規模となります。
今回はセブン&アイが北米市場に注力する理由を整理してお伝えします。
国内コンビニ市場の飽和
セブン&アイの巨額M&Aを後押しした理由の一つは、国内コンビニ市場の飽和です。2019年には、コンビニの総店舗数が統計開始以来初めて減少に転じました。
2019年には、ファミリーマートの澤田社長が「残念ながら(コンビニ)市場は飽和している」と発言したことが話題にもなりました。今年に入ってはローソンが出店目標を取りやめるなど、大量出店による成長を続けてきたコンビニ業界の潮目が変わりつつあります。
北米市場で成長戦略の一丁目一番地
国内コンビニ市場が飽和する中で、セブン&アイは北米市場を成長戦略のキーに位置付けています。同社は、2019年10月にそごうの閉店を含む事業構造改革のリリースを出しました。その中で「北米及びグローバル展開の強化」について言及しています。
スピードウェイ社の巨額買収の成功は、セブン&アイグループの成長戦略にとって不可欠なピースだったと推測されます。
群雄割拠の米コンビニ市場
アメリカのコンビニ市場の特徴は、寡占化が進んでいないことです。上記のグラフは、日本とアメリカのコンビニ市場の寡占度を比較したものです。アメリカ市場は寡占化の余地が大きいことが良く分かります。
日本のコンビニ市場は、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3社が総店舗数の9割超を占める寡占市場です。対するアメリカ市場の寡占度は10%強に過ぎません。
セブン&アイは、北米市場ではもともと9,000店舗近くを展開するリーディングカンパニーでした。それが今回、業界3位のスピードウェイを手にすることにより、米コンビニ市場での規模を一気に拡大しようとしています。
同社の井阪社長は、今回のM&Aを契機に「コンビニを軸としたグローバルリテーラーを目指す」と語っており、今後の動向にも注目が集まります。
今回は以上です。
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