コロナショックでマクドナルドの既存店売上高が52か月ぶりにマイナスに
アメリカのマクドナルドの3月既存店売上高が22%減少したというニュースがありました。新型コロナウィルスの感染拡大の影響です。
日本マクドナルドHDでも、3月の既存店売上高が前年比99.9%と、実に52ヶ月ぶりに前年を下回りました。とはいえ、51ヶ月連続でプラス成長してきたというのは驚異的です。
今回は、そんな日本マクドナルドがどのように成長を遂げてきたのかを紐解きます。
2014年のマックナゲット問題
マクドナルドは、2014年にナゲット問題で大きな危機を迎えました。
ナゲット問題とは、マックの取引先でもあった中国の食肉加工工場で、期限切れの鶏肉やカビの生えた牛肉を使っていたことが発覚したことを指します。
マックナゲットの2割が問題の工場から出荷されていたことが判明し、マクドナルドはすぐに販売を停止するとともに、調達先をタイの工場に切り替えました。
しかし、ブランドイメージが大きく損なわれた為、急速に客離れが起こります。結果、マクドナルドの既存店売上高は前年比で3割近く減少するまでになりました。
マクドナルドの強固な財務基盤
上記は、2014年末時点の日本マクドナルドHDのバランスシートを図式化したものです。財務健全性を示す各指標と合わせてみると、非常に強固な財務基盤を有していたことがはっきりと分かります。
自己資本比率は8割近くあり、流動比率も約180%と極めて安全性の高い状態でした。DEレシオ(デットエクイティレシオ)は0.003倍とほぼゼロに近しいものでした。
というのも、総資産1,800億円に対し有利子負債はたったの5億円しかなかったのです。ほぼ完全無借金経営だったといっても差し支えないレベルです。
この財務基盤を背景に、マクドナルドは店舗のモダン化(改装)を地道に進めていきました。その結果、同社の業績は回復していきました。
51ヶ月連続既存店プラス成長を達成
店舗改装やマーケティングのテコ入れ等の施策が実を結び、マクドナルドの既存店売上高は回復していきました。
ナゲット問題の翌年末から、2020年の2月まで51ヶ月連続で既存店プラス成長を達成したのです。
2020年3月に、既存店の前年比が4年4ヶ月振りに前年同月を下回りました。ついに連勝にストップがかかったわけです。
とはいえ、マクドナルドHDは変わらず強固な財務基盤を維持しています。新型コロナウィルスの感染拡大がいつ落ち着くのかは見通しがつきませんが、少なくともすぐに同社が経営危機に陥ることはないでしょう。
今回は以上です。