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あらゆる企業のROEが収束するシンプルな理由

投資家が最も重視する指標はROEです。なぜなら、その数字は企業の究極のボスである株主にとっての収益性を表しているからです。そしてROEは、企業の属する業界に関わらず、一定の範囲に収束することが分かっています。

収束するROEとバラバラな分解式

なぜROEは収束するのか?

上記はアメリカの10社のROEと分解式を示したものです。ROEは、当期純利益/株主資本で計算することができます。さらに、利益率×資産回転率×財務レバレッジという3つの指標に分解することができます。これをデュポン分解と呼びます。

これを見ると、他の指標に比べ、ROEは一定の範囲に収束していることが良くわかります。なぜでしょうか。

理由はシンプルです。ROEは株主にとってのリターンを示します。したがって、満足のいくリターンをもたらさない企業からは、投資家は資金を引き上げるわけです。ですから、企業は利益率や回転率を改善することによって、一定のROEを確保しなければならないのです。

企業が評価される3つの市場

なぜROEは収束するのか?

別の視点から考えることもできます。経済学によれば、企業は3つの市場に接しています。ここでは製品市場と資本市場の違いについて考えてみます。

製品市場では、いわゆるライバル企業との競争がメインです。ユニクロはZARAと戦っていますし、セブンイレブンはローソンと勝負するわけです。製品市場でのライバル関係は限定的だ、ともいえます。

一方資本市場では、より広範な企業と戦う必要があります。なぜなら、投資家は業界に縛られず、リターンを最大化することを目指すからです。高いリターンが期待できるのであれば、アパレルであろうがコンビニであろうがどちらでも構わないわけです。言ってみれば、あらゆる企業がライバルになるのです。

そして、投資家が最も重視する指標がROEであることを考えると、その数字が収束する理由が理解できます。満足のいくROEを維持できなければ、資本市場で投資家からソッポを向かれてしまうわけです。

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