選挙の有効性

近年、日本では若者の投票率の低下が著しい状態である。本稿では、ダウンズの合理的投票者モデルを用いて述べていく。

以下では、

■ X Yの候補者が存在し、それらの公約から期待される有権者の効用の差をBとする。
■支持する候補者Xに投票することでXが当選する確率をPとする。
■時間及び資源から生じる投票に費やす費用をC、投票行動から得る直接的な効用をDとする。

投票による効用の増加分
(V)=PB+D-C

Vが、正の値になれば有権者は投票に出かける。

このように表していく。

🔵総務省の「国政選挙における年代別投票率について」の記事によると、国政選挙の年代別投票率は、平成29年10月に行われた第48回衆議院議員総選挙では、10歳代が40.49%、20歳代が33.85%、30歳代が44.75%となっている。(全年代を通じた投票率は53.68%)
このデータからも分かるように、若年層の投票率は、他の年代と比べて非常に低い傾向にある。

ではなぜ、この若年層の投票率の低さは具体的にどのような問題に直結するのだろうか。私はシルバー民主主義だと考える。シルバー民主主義とは、少子高齢化の進行に伴って、有権者人口に占める高齢者の割合が増加し、高齢者層の政治的影響力が高まることを指す。つまり、若者の投票率の低さはこの問題をさらに助長させることになるのだ。すなわち、若者の投票率の低さは、高齢者の当選確率Pを促し、国の政策に若者の意見が反映されないということと同意である。
つまり、政治家の最大の目的は、自身の投票確率を最大化させることなので、高齢者層に響きやすい政策や行動をすると考えられる。

では、若年層の投票率の低さの要因はどこから来ているのか。まず一つ目は政治に対する関心の低さだと推測する。🔵内閣府(2013)が、実施した若者の意識に関する調査によると、自国の政治に関しての関心度が、日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデンの六カ国で最下位であった。なぜこのような結果となっているのだろうか。理由は大きく分けて三つあると考える。一つ目は、若年層の政治家への信用度の低さだと考える。二つ目は、若者が社会的負担が日常生活で感じられない仕組みとなっている。(年金問題などは長期的な問題であり、危機的意識を感じにくい)。三つ目は、投票までの過程の難易度にあると考えられる。つまり、若年層の場合、C>Dなのである。

では、若年層の投票率はどのようにして対策できるのだろうか? 前提として、(V)=PB+D-CのVの数値を正の値にする必要がある。
まずは、PとBの値を上げるためにはどのような対策が必要だろうか。当選の確率であるPは、現時点で予想が困難であるため、候補者の公約から期待される有権者との効用の差、すなわちBを上げる対策を考える。🔵日本FP協会(2017)によると、若年層に対する働くことに調査で、「年収が年々増加する見込みがある・実感がある」この質問に対しての答えが、非常にそう思う7.3%、ややそう思う28.4%、あまりそう思わない39.9%、そう思わない24.3%という結果になっている。つまり、若年層は将来的な金銭面の不安が高いと考えられる。そのため、結婚・出産に対する国からの補助や、ベーシックインカム制度といった、最低限の賃金を保障する制度を公言することが、若年層の投票率につながるのではないだろうか。
次に、(V)=PB+D-Cの、D-Cの部分について考えていく。➡️ここまで75行(75×23)
私は若年層が投票に行かない1番の理由として、、C。つまり、投票に費やす費用が大きいのではないかと考える。LINEリサーチ調べ(2019)によると、10代と20代が投票に行かなかった理由が、一位が予定があったまたは急用があった、二位が時間がないまたは忙しい、そして三位が住民票と違うところに住んでいる。以上の結果となっている。また、同LINEリサーチ(2019)によると、10代と20代が選挙期間中、選挙の内容を知った媒体が、SNSが全体の4割近くを占める結果となっている。
では、以上の結果を考慮して、DーCを正の値にするにはどのような対策が必要だろうか。私は、Cの値をいかに小さくできるが重要だと考えている。具体的には、インターネット上によるオンライン投票。または、職場や学校を通して、間接的に投票を管理するという対策が有効と考える。

以上のように、ダウンズの合理的投票者モデル(V)=PB+D-Cを用いると、Bの値の最大化に加え、Cの値の最小化が若年層の投票率を上げるための対策になると考える。

参考文献
日本FP協会(2017)働く若者のくらしとお金に関する調査2017 https://www.jafp.or.jp/about_jafp/katsudou/news/news_2017/files/newsrelease20171019.pdf

LINEリサーチ調べ(2019)選挙に行かなかった人
https://www.google.co.jp/amp/s/ascii.jp/elem/000/001/905/1905502/amp/

総務省(2018) 「国政選挙における年代別投票率について」https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

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