見出し画像

左手に金の滝が打つ 2

第1話

 開けっ放しのカーテンから憎たらしい陽光が差し込み、私の目は開かされた。

時計を見ると九時三十四分と表示されている。簡素なパイプベッドから立ち上がると殴られたように低い音で軋んだ。

外用のジャージに着替えて外に出る。春を待ちわびるまだ冷たい空気が私の手と顔を撫でた。違和感があって、左下を見るとダンボール箱が二つ無造作に置いてあった。

何かと思ったが、すぐにそれが頼んであったものであることを思い出して、寝ぼけた体に血が駆け巡った。

次話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?