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2022 J3 第8節 レビュー【鹿児島ユナイテッドFC vs カターレ富山】ちゃんと殴れたのは収穫でした。

2022.5.5 J3 第8節
鹿児島ユナイテッドFC vs カターレ富山

こんにちは。
今回もご覧いただきありがとうございます。

GWの富山戦…ですが、天皇杯決勝もなんとか勝ち、GWも明けて気が重い中での投稿となりました。

ダラダラ前置きは誰も得しないなと最近思い始めたので、早速見て行きましょう。
よろしくお願いします。

スターティングメンバー

雑感

引き出してロングボール

富山はちょっとやり口を変えてきました。
ボール保持から触れていきます。

前節は18番川西を前線で留めておいてゴール周辺で関わらせたいのかな?という配置でしたが、今節は主に中盤でフリーマンとして振る舞い、ビルドアップにも積極的に関与してきました。

よって、富山の中盤は4枚いる形になり、鹿児島の中盤3枚との間に数的有利が生まれます。ただ、そうするとビルドアップに人数過多となり、ビルドアップ後の崩しに人数が足りない事態が発生します。

そこで富山3バックは左右CBどちらかを上げてSB化。これにより富山WBを押し上げることができ、前線の人数を担保できる算段が立ちます。またIHの22番椎名は、MFというよりはFWが降りてきたくらいの位置でプレーし、最前線とのリンクマンとして機能していましたね。

とはいえ、WBなどが前線に上がる時間はなかなか担保出来なかった印象です。

(石崎監督・試合後コメント)
ーもう少し後ろからのシュートがあってもよかったと思いますが、いかがですか?

何本かミドルシュートで惜しいのがあったと思いますが、立ち上がり後ろが重たすぎて攻撃になったとき前線に人数が足りなくなることがあったため、中盤を一人削り前線を増やしたが点に結びつくことができなかったのと、ミスからの失点がありこのような結果になった。
カターレ富山オフィシャルサイト・試合後コメント

鹿児島としては、ビルドアップのため降りていく富山の選手に付いて行き、全体的にライン設定が高くなっていきます。そこでDFライン裏をロングボールで狙われ、あわや…という場面を作られた序盤でした。

そんなロングボール主体の富山でしたが、これだけ保持の工夫をしているのを見ても、もうちょっと丁寧に繋ぎたかった!という石崎監督のコメントは理解できます。

(石崎監督・試合後コメント)
ー鹿児島がボールを持って富山がカウンターを狙う構図でしたが、ある程度予想通りでしたか?

システム上そのような展開になると予想はしていました。ただもっとビルドアップの所で、もっと自分たちでボールを運ぶことができたのではないかと思います。
カターレ富山オフィシャルサイト・試合後コメント

次にボール非保持についてです。
富山は基本的に3-3-2-2の形で前プレしてきます。

ただ、18番川西は2度追いはキツそうです。鹿児島が何度か左右にボールを振り、プレスを強いるとCBが割と余裕を持ってボールを持てたり、SBまで展開出来たりする状況が散見されました。

また、押し込まれると5-4-1〜5-3-2で守りました。ここでも川西が2ndラインの端を担当しますが、やっぱり横スライドはキツそうだなぁ…という風に見えました。おかげで鹿児島SBが余裕を持って受けられる場面も多々ありましたね。

前プレに話を戻すと、鹿児島CBやSBがボールを持った時に頑張るのがIHとWBです。

鹿児島としては特に22番椎名・17番姫野のプレス強度にはCBとSBが苦戦し、前半序盤はなかなかクリーンな形での前進は出来ていませんでした。

ただ、システムの噛み合わせ的に優位に立てるのは鹿児島だったとも思います。例えば鹿児島SBがボール持った状態で、富山WBは鹿児島SBまで前進しても鹿児島WGは空くし、前進しなくても鹿児島SBは空くし…というジレンマを抱えることになる、といった具合ですね。

そうした中で富山は、先制されて前から行かざるを得なくなったこともあり、ボールサイドのIH・WBが思い切って前進して、嵌め込もうと意思統一してきました。

オフザボールで影響

が、それを逆手に取って得点に繋げたのが鹿児島でした。まぁ1点目は相手のミスが大きかったですが、決め切った有田は流石でしたね。

その分、追加点は素晴らしかったと思います。
まずは2点目。綺麗な擬似カウンターでした。

場面は砂森から始まります。
砂森がボールを持つと、対面のWB24番松本がプレス。逃げ場が無いので、岡本に戻します。この時、岡本には27番吉平、広瀬には22番椎名、さらには中盤3枚は噛み合う形でプレスされ、数的同数の状態でした。

素晴らしかったのは、岡本→渡邊のスキップパスでした。逆サイドのWBが前プレに参加した手前、リスクヘッジとして後方で4バックを形成し、五領の監視もしたかった13番安藤は渡邊の対応に遅れます。

ここで13番安藤はステイの判断も出来たでしょうが、前述のようにビハインドということもあり、渡邊にチェックへ行きますが間に合わず。また、CBの5番今瀬が五領のところで迎撃を試みますが、五領は食いつく今瀬にシンプルなレイオフ、最終的に渡邊がフリーで持てました。

こうして最後方は残りのCB2人となり、渡邊のクロスを逆サイドで待っていた米澤が得点しました。注文するとしたら渡邊はもう少し内側まで運んでからクロスしてくれれば満点だったでしょうか。

とはいえ、クリティカルな得点だったとは思います。
というのも、中原・木村の技術的な部分を使わず、「中央の既定ポジションに居てIHを引きつけた結果、WBの13番安藤が渡邊に行かざるを得ない状況を作り出した」得点だったからです。

特に、今シーズン前目のポジショニングでトップ下のように振る舞っている中原は、前半早い段階から木村横まで降りてくる場面が見られました。IHを前線に引き吊り出す意図があったのだと思います。

この辺の盤面の認知から、ポジショニングを選択出来る選手が増えれば中原・木村不在時問題も解決に向かいそうです。

その意味で、3点目も見事でした。

3点目もDHは横に並んでいます。
まず、広瀬→中原で富山IHを前方向にプレスさせました。中原は岡本に戻しますが、岡本はアンカー脇に位置した圓道に楔のパスを付けます。ここで半分勝ちです。

圓道は長野戦もそうだったんですが、アンカー脇で受けるのが上手いですね。長野戦で言う、圓道のシュート逸シーンみたいな感じです。スタメン発表時、そこには期待していたので、役目を全うしてくれていたと思います。また、そこからのドリブルの運びはロメロにも牛之濱にも八反田にも無いところです。

場面に戻ると、圓道は右サイドに展開。爆走してくれた渡邊のおかげで富山DFを後ろ向きで走らせた結果、中原のところが空いてゴールになりました。

後ろ向きで走らせた結果…と言いましたが、ちょっと富山も精彩欠きすぎではありました。ロングボールで差しきれず、ビハインドで前から取りに行ったのもハマらず、集中出来てなかったのかもしれません。

でもビルドアップに関わっていた中原があそこまでスプリントしていたのは素晴らしいですし、普段からのタスクがそうさせたのかな?とも考えられるので、チームとしての積み上げで取った点と捉えて良いのではないでしょうか。

増やしたかった攻め手?

富山は後半、続々と選手交代を行いました。
後半最初に8番高橋を入れ、60分ごろには10番マテウスを入れ、最前線の枚数を増やしていきます。

それに伴い、最前線でゴールで巻き返しを図ろうとしていた18番川西も再びビルドアップに関わり始めていました。

けれどもしかし、そこは川西。
忘れかけていたところを一瞬で飛び出し、ゴールを奪ってきました。まぁ川西も誉めるべきですし、シャンとせい!ショーセイ!とも言えます。

一方で、その他の交代選手はあまり奮わず。
CBで主力を欠いた富山でしたが、そこの影響は大きそうです。交代選手の中にもコンディション上がってないのかな?という選手も見受けられました。

そういう状況を見ると、今オフの的確な補強の元、上手く回せている結果、上位に付けている我が軍なのだろうなとも思います。

尤も中原・木村不在時問題もあり、現スタメンのCB2人に割って入る選手はいるのか?など今後どうなるかという懸念はありますが。

あとがき

結果、4-1の快勝でした。
八反田について触れ忘れましたが、4点目は彼の仕事の影響もあったと思います。思いの丈はツイート見てください!!

全体の印象としては、相手の自滅感はあれど色々仕掛けてきた富山に対して、上手く対応しながら優位に進められたと見ています。

なんにせよ、富山は迷いの中にありそうなゲームだったので、そういった相手をちゃんと殴れたのは収穫でした。

というわけで、今日はこの辺にします!
また次回もよろしくお願いします。

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