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インドですごいことになってるモバイル化、日本に無関係ではない?〜FinTech編〜

僕はまだインドに行ったことがありません。今年は行く機会がありそうなので、肌でその勢いを感じてみたいと思います。

行っことがないので、ムンバイとかデリーとか位置関係もわからないです。カースト制とかカレーとか英語の訛りがすごいとか数学の教育が進んでて優秀なIT技術者が多いとか、僕の知識レベルはそんなもんです。

でも、インド国内でアプリがどうなっているのか、データを見ることで色んな仮説を持つことができるし、その仮説を検証しながら新しいアプローチを考えていくということが可能だと思っています。

ここでは、1つだけ例をとってみたいと思います。

PayTm(ペイティーエムと読みます)ご存知ですか?モバイル・アプリ・FinTech・投資に関わるお仕事してる人は広く知られているモバイルウォレットアプリです。平たく言うとキャッシュレスで支払いができるアプリです。

日本では最近になってようやく「キャッシュレス戦争だ」とか言われながらもまだ全然どこもマスを取れて無くて、本当に始まったばかりの中、PayTmは既にインド国内でケタ違いのユーザーに日々当たり前のように使われています。

PayTmをご存知ない方はここを参照ください。

この手の新しいインフラが一気に広がるには、既存の仕組みが何らかの理由で破綻していたり、潜在的なネガティブ要因が顕在化したときに起こるものだと思いますが、インドにおけるPayTmの広がりは2年ほど前の「高額紙幣おしまいね」と告げたことがきっかけでした。偽札やブラックマネー撲滅というのが表向きの理由だったそうですが、裏の狙いとしてデジタル化の推進があったとしたら、相当の力技ですね。

インドでのクレジットカード普及率は5%以下ですし、世界的に見てもEC化率は相対的に低いです。ただ、急速なインフラの整備などもあり、インターネット利用者も急増しており、さらにJetroによるとe-commerceの市場成長率は世界一で、かつ国連によると2022年には中国を抜き世界一の人口規模を誇る国になると予測されています。

この国民に、PayTmが普及しています。ネット通販の取引はもちろん、公共料金の支払いにまで、まさにモバイル「ウォレット」です。

PayTmはアプリストアのカテゴリーで言うと「ファイナンス」ではなく「ショッピング」に登録されています。従ってストアのランキングだけ眺めていても他のFinTechアプリと相対的に比較ができませんが、App Annieのデータを見ると圧倒的に他のモバイルウォレットアプリよりも大きく広がっていることが明らかであることがわかります。

さてこのPayTmを追い抜くのではないかという勢いでユーザーを拡大しているFinTech系アプリ(決済&送金アプリ)があります。現在はGoogleに買収されてGoogle Payという名前になっていますが、Tezというアプリです。

このアプリのデイリーアクティブユーザー数(1日に1回以上利用する人数)の成長率はPayTmのそれを遥かに上回り続けており、このままいくと今年のうちにナンバーワン決済アプリになるのでは?と思います。

その背景ですが、インドはまだまだ新興国。スマホが広がってきていると言ってもiPhone等のハイエンド端末を持てるのはごく一部の人たちに限られます。

大多数のインドの人たちは、中古含め安価なローエンドのスマホを使用しています。

通常、決済系アプリは「QRコードで読み取り」「Bluetoothでペアリング」「非接触で通信」といった技術を使います。しかし何世代も前のローエンド中古端末や、インド国内で流通している安価なアンドロイド端末(インドにおける全アプリダウンロードのうち96%がアンドロイドです)には、上記の技術が満足に使えなかったりします。

この背景がTezの急伸の背景の大きな要因になっています。さて、Tezはどのような技術で決済プロセスを行っていると思いますか?ちょっと想像してみてください。

ヒントは「シンプルに考える」です。僕もこれを知ったときには「なるほどそれか!」と思ってしまいました。

Tezの技術の興味深いのは「非可聴域の音でペアリングする」ところです。ヒトの耳には聞こえない音で端末もしくはデバイスとペアリングをします。

つまりスマホに必ず搭載されている「スピーカーとマイク」でペアリングをするのです。電話機であれば必ずこの2つはついていて、どんなにローエンドな端末であってもペアリングが可能なわけです。そしてペアリング後、決済/送金データがそこを通るわけです。シンプルですけど画期的だな、とこれを知ったとき感動しましたし、そこを早速買収したGoogleもさすがだな、とも思いました。

インドでは自国のサービスを信用せず、グローバルでブランドの強いサービスがシェアを取る傾向が強いそうです。モバイルコマースで有名なFlipcartやSnapdealもジワジワとAmazonに差を広げられています。このインドにおけるモバイルコマースの話はまた別の機会に。

このインドの国家施策として、バンガロールに次ぐIT都市をハイデラバードにつくることになっているとのことで注目を集めています。

昨秋に、日本とインドの両政府間による「日印デジタル・パートナーシップ」が合意した、と発表されました。このパートナーシップは、今後のデジタル分野において日本とインドの強みを活かし、新たな連携を組むことを期待されています。

しかし、その実態は「日本からハイデラバードに巨額の投資を行うことが目的」だと言われており、その理由は米国による中国の締め出しの意向があるものだということです。日本は安全保障の面でアメリカに逆らえませんからね。

実際、南アジア随一のエリート大学と言われているインド工科大学のハイデラバード高は、日本のお金で作られた大学だそうです。

昨年よりアメリカの意向(中国を締め出す意向)で「アジア太平洋地域」は「インド太平洋地域」と呼びかえられるようになりましたし、インドの技術要素が日本に入ってくることは容易に想像できるわけです。

上海を中心とする中国のITばかり目が行きがちですが、政治的に日本とインドの距離が近くなっていることを見ると、インドで何が起きているのか、どんなテクノロジーが生活者に広がっているのかを見ておくことは大事なのかなと思います。

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アメリカ本社の世界最大手のアプリ市場データプロバイダー、App Annieにて日本法人の代表を務めています。 ここに記載のある内容はあくまでも個人の意見や示唆であり、会社のオフィシャルなコメントやメッセージではありません。

コメント5件

これからの世界経済は、予想以上にインドが出てきます。過去にみないほど断トツに伸びるでしょう。
コメントありがとうございます!現地でしか感じられない事実があると思っています。先入観抜きに視察して日本の企業へ少しでもインプットしていければと思っています。
差し出がましいのですが、最新のインド映画(青春物)の中にも、現在の若いインドの方の生活ぶりがわかり、最新機器を持っていたりします。日本に無いものもあるため、チェックしていくことをお薦めします。
中国と東南アジアだけでお腹いっぱいなのに、インド。。。私もインドのIT企業に勤めてたことありますが、とにかく人が多いですよね。。。人口ボーナスってほんとすごいです。
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