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ビジネスに活きる「趣味のすすめ」

僕は仕事上、スタートアップ業界で働く若手営業パーソンに会う機会がとても多いのですが、たびたび「もったいないなー」と感じていることがありました。

それは、趣味を持っていない人の多さです。

趣味の必要性を感じておらず、モチベーションもない。「平日は毎日夜まで仕事!」「土日はインプットに費やす!」など、いわば仕事全力投球型です。
もちろん仕事への真摯な姿勢は素晴らしいの一言ですが、個人的には少しもったいないかな、と思っています。

なぜなら、趣味を通して広がったコミュニケーションや人とのつながりは、思わぬ形でビジネスに還ってくることがあるから。これは僕も体感していることです。

そこで今回は、僕の近況報告もかねて「趣味のすすめ」について話をしてみようと思います。

明日から使える営業テクニック!という内容ではありませんが、長い目で見て、きっとみなさんの仕事にも役立つはずです。ライトな読み物として読んでもらえたら嬉しく思います。

とりあえず楽しむことがだいじ

出雲旅行で見識が広がった話

この記事を書こうと思ったきっかけは、先日の出雲旅行に遡ります。

僕がかねてより趣味で愛聴しているラジオ「歴史を面白く学ぶコテンラジオ」のメインパーソナリティーであり、実業家である深井龍之介さん。彼のアテンドによって出雲へ旅行に同行する機会に恵まれました(深井さんは出雲のご出身です)。

ご一緒したのは元五輪メダリストの太田雄貴さんや起業家の方など、豪華な顔ぶれです。みなさんの人間性やコミュニケーションスキル、視点、ネットワークの広さに感銘を受けたのはもちろんのこと、深井さんのアテンドを通じた体験や出会いも、それはそれは貴重なものでした。

例えば、マタギの方が営むジビエのお店では、狩りたての鹿を食して「命をいただく」重みをしみじみと感じましたし、歴史通・深井さん解説付きで行った「出雲大社の正式参拝」も荘厳で贅沢な時間でした。

また、出雲市で相互扶助を推進する「コミュニティナース」活動をされている方に話を伺うことも叶いました。コミュニティナースとは現代における地域ケアのひとつで、住民がつながることで独居老人や孤独死問題等の解決を目指すもの。お話を聞いて、地域を巻き込んだ仕組み作りに感服したのをよく憶えています。

僕が身を置くIT業界では「どれだけ利益を上げれば幸せになれるか」という、果てのないゴールを目指すことが常識化されています。しかし、誰しも老いていく自然の摂理の中で「資本主義的な考え方ってそもそもどうなんだろう」と疑いたくなるような、そんな痛烈な刺激を受けました。

そして極め付けは、たたら場の見学ですね。たたら場とは刀の原材料となる玉鋼(たまはがね)を砂鉄から精製する製鉄所。映画「もののけ姫」でエボシ御前がいたコミュニティというとイメージが湧くでしょうか。日本の重要産業のひとつです。

危険かつ拘束時間も長いたたら場は、お金を稼ぐ目的からすれば過酷な職場と言えます。ですが、実際に職人たちが命懸けで取り組む姿からは、お金を稼ぐことを超越した「確かな意志」を感じました。それは誇りであったり、レガシー的なものだったりするのかもしれません。幸せの定義はひとつではないと改めて感じましたし、同時に利益主義の価値観に縛られるとウェルビーイングからは離れてしまうのかもなぁ、と。そんな風にも感じました。

さて、話がいろいろと展開しましたが、何が言いたかったかというと、今回の出雲旅行は完全な趣味旅行だったのに、自分の見識を広げられたということです。しかも、座学で得る知識より多角的かつ内発的な形で、です。本当に貴重な体験ができたと思っています。

生成AIに作ってもらった出雲の写真…

同じ趣味を通じて、異なる仕事経験を持つ人とつながる

僕は、「多くの人と接することは、多くの価値観に触れること」だと考えています。特にこれまで出会ったことのない価値観を持つ人との交流です。そこにはたくさんの驚きと発見があって、巡り巡ってビジネスのヒントになることがあります。

仕事熱心な方は終業後や休日の時間もすべて仕事に捧げがちですが、実は仕事から離れた場所でしか得られない価値観から学べる仕事のヒントって、いっぱいあるんですよ。

そう。だからこそ、趣味なんです

趣味の場には職業も業界も関係なく、多様な人が集まります。当然、日頃のビジネスでは接点を持たないような方とも、たくさん接することになります。でも、それがいいんです。異なる価値観や思想、仕事経験を持つ人と話すと「実は自分はこんな考えを持っていたんだ」と自分の思わぬ一面に気づくことがあります。

僕はこういう気づきの中にこそ、ビジネスや自分の人生との向き合い方に影響を与えるヒントがあるんじゃないかと思っています。

いい刺激、いい摩擦を得る機会は大事です

僕の趣味の遍歴とそこで得たもの

本当に?と思われたかもしれません。そこで参考までに、僕の趣味や原体験をもとに、趣味で得られたメリットをいくつか紹介してみようと思います。

新たな出会いが生まれること(いうまでもないことですが)

かねてより憧れだった「2シーターのオープンカー」を買ったとき、とある車好きの経営者が集まるコミュニティオーナーの知り合いに参加しない?と誘われたんですね。
入ってみたら錚々たる経営者の方が。経営者、特に上場企業の経営者の方は、立場上、自分がどんな車に乗っているかはなかなか発信しがたいもの。でも大好きな車の発信はしたい。特に待ち望んでいた車が納車されたときは尚更です。オフ会ではビジネスの話も飛び交い、図らずも将来的に仕事につながるような出会いが生まれました。

出会いといえば、登山もそうでした。登山は筋力や体力、心肺機能を鍛えられ、メンタル面にも良い効果があるためか、趣味とする経営者の方が結構多い印象があります。実際に、僕がビジネスイベントの食事会のときにで登山の話をしていたら、少し離れた席に座っていた経営者の方から「もしかして山の話しています?」と話しかけられたことがありました。そこからはトントン拍子に話が弾み、今では一緒に登山をする仲。山で経営者とビジネスからプライベートまでじっくり語り合えているのも、登山の趣味があったからだと思います。

年齢を超えた関係が作れる

僕には「年下のトレーニング先輩」という筋トレ仲間がいます。ジムに行くと彼は僕のサポートをしてくれるので、僕は「テイカー(受け手)」の立場。そして、トレーニング後にランチをしたりお茶しながらビジネスの話を交わす時間では僕は「ギバー(与え手)」の立場になります。

役割の逆転や年齢を超えた関係は、業界によっては珍しい現象だと思いますが、趣味の場ではこのようによくあることなんですよね。

考えてみてください。教えを乞う立場に身を置くことで得られる気づきってたくさんあると思いませんか?例えば、自分の説明が顧客に刺さらないことに悩む営業パーソン。ギバーの経験があれば「自分の説明は知見のない顧客にちゃんと伝わる内容だったか?」と自問する際、解像度を高めることができますよね。

また、若手育成を行うベテラン層も同様です。特に相手が中途採用者の場合、確立された自分のやり方を異文化からやって来た人に伝える難しさがあるものです。「自分だったらどう説明してもらいたいか」と幾度となく自問すると思いますが、そこでもギバーの経験は必ず生きてきます。

もうおわかりですよね。趣味を通じた出会いって、ビジネスに活きるんです。

自然を相手にする趣味は本当に学ぶこと・感じることが多いです

仕事のためにも遊びを増やすという発想

趣味に興じるだなんて、仕事熱心な人からすれば遊んでいるだけに見えてしまうかもしれません。ですが、僕はむしろ「仕事のためにも遊びを増やす発想を持ってみませんか?」と提案したいと思います。

仕事に熱心であればあるほど、ビジネスの領域外の視点には出会いにくいもの。遊びを増やすと、意図せず新しい風が取り入れられることもあるのではないでしょうか。

「いやいや、そんな暇ないよ」と思われるかもしれませんが、前述のとおり、少なくとも僕の場合はビジネスや自己成長など何らかの形で還元されている実感があります。

ただ、仕事のために趣味をするという考えではなく、趣味は趣味として純粋に楽しむこと。趣味を始めた!これで仕事になる!とあまり期待しすぎず、気負いすぎないこと。

それよりも「無駄な出会いはない」「経験は必ず何かにつながる」そんな長期的なマインドセットができることに価値があると考えます。

こう言うと「視野を広げることが目的なら、異業種交流会で良いのでは?」という声が聞こえてきそうですね。

ところが「異業種交流会に行ったけど話が広がらなかった」「ギクシャクした気まずい空気になった」という経験、1度や2度、あるんじゃないでしょうか。それもそのはず、ビジネスの場において、意図的にコミュニケーションの幅を広げるのは、自分の想像以上にストレスが高いものなんですよね。たいへんです。

一方、趣味の場であれば、共通のネタがある前提。名刺交換もないので無駄に相手の企業規模や肩書にビビる必要もありません。仕事外の出会いなので評価する・されるの関係でもありません。

趣味へのモチベーションが上がらない方は、趣味は学び方や学ぶものを広げる方法の一種だと考えてみてください。自分の人間性を厚くすることが目的と捉えれば、少し踏み出しやすくなると思います。

趣味ってどうやって見つけるの?という方へ

無趣味ってとてももったいないと思います

最後に「趣味の時間を取ってみようかなと思った。けれども、どう趣味を見つけたらいいんだろう」とお悩みの営業パーソンへのアドバイスです。趣味を探すときは、次のような行動を試してみてはいかがでしょうか。

①周囲の人の趣味に興味を持つ
例えば営業であれば、顧客に「週末やアフターセブンは何してるんですか?」と聞いてみましょう。人は誰しも自分に興味を持ってもらえると悪い気はしませんし、話の糸口になる可能性もあります。趣味探しのアイデアも得られる一石二鳥の方法です。

②自分の原体験から考える
仕事を優先しすぎるあまり、無意識のうちに何かをやりたい気持ちにフタをしているかもしれません。そんなときはまずは原体験を振り返ってみてください。誰しも何かにハマったことがありますよね。「そういえば子供の頃にコレを集めていたな」なんてことでも良いです。

  • なぜ昔の自分はあんなに夢中になれたのだろう?

  • どこが自分の琴線に触れたのだろう?

こんな風にセルフコーチング的に自分の「好き」を分析してみましょう。趣味の種が見つかるかもしれません。

ちなみに僕が趣味を見つけるきっかけは「かっこいいな」「気持ちよさそうだな」「おもしろいな」あたりが発端です。そういう風に始めた楽しみが巡り巡って仕事に還元される面白さを、みなさんにもぜひ知ってほしいなと思います。

いい写真撮れたら楽しそう!!で今年趣味に追加されたのはカメラです

おわりに

「仕事が一番楽しい!仕事で頭がいっぱいです!」
そんな人こそ、あえて日常に遊びを取り入れてみようよというお話でした。

「時間がない」と思われた方も多そうですが、たぶん、どう時間を作るかを考えている時点で、趣味より仕事の優先度が高い状態なのだと思います。でも、今回お話ししたように、趣味で人間関係が四方に広がると、学びも視野も広がり、自分の思考も磨かれていきます。ビジネスにも活きる感覚がきっと得られるはずです。

また、趣味に興じたほうが仕事のパフォーマンスも上がるというのもあります。人間、やりたいと思えば、寝る間を惜しんでやるもので。「睡眠時間が減った分、睡眠の質を高めよう」と生活習慣を見直したり、趣味時間の確保のために隙間のムダ時間を減らして効率アップを図ったりと「楽しみ」な気持ちが、予期せず業務効率を高めることも多々あるんですよね。

そんなわけで趣味、はじめてみませんか?

営業パーソンのみなさんに何かしらのヒントになれば幸いです。

なお、このnoteでは、営業テクニック的なこと以外にも、こういった日常で感じたビジネス的な視点もときどき共有していけたらと思います。モチベーションになるので、いいねやフォロー、ぜひよろしくお願いします。


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