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外資スタートアップ企業のカンマネの仕事内容をボヤいてみた

先日、何気なくTwitterかFacebookを見てたら、SaaSのアドベントカレンダーやるんだ、と半分寝てる脳みそのまま、無意識に参加表明していました。

とはいえ、App Annieのプロダクトって厳密にはSaaSじゃないから他の人達のようなSaaSならでは!話もできそうにないし、そもそも僕自身B2Bセールスについてはプロ(だった)けど、それ以外で何かがむちゃくちゃ秀でてるわけでもないので、まだ少数派(であろう)「外資カンマネ=カントリーマネージャー」というポジションの仕事内容について触れながら書いてみます。

カンマネって、それなりの給与をもらえるポジションですし、ITサービス関連の業界で働いている人からすると意識のどこかに「外資のカンマネになれたらいいかも」って思ってる人いるかと思うので、そういう方々にとってキャリアを考える上でのヒントになればいいなーと思います。

ちなみに12月19日にカンマネ忘年会っていうのが開催されるので、興味ある人は申し込んでみてください。

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※ 申し込みフォームは以下ですが、条件は現カンマネ・元カンマネに加え、カンマネになりたい、とか興味ある人となります。審査があるそうです。


カンマネについてボヤいていくにあたり、実は先日カンマネの仕事と思考についてnoteを書いてしまったので、これと被らないようにしないと。

最初にコレを読んでいただいたほうがイメージが湧きやすいかと思うので、ちょっとお時間差し上げますので読んでみて下さい。3分で読めます。

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ということで、以下の内容についてボヤいていきます。最初にお断りしておきますが、何社もカンマネをやってきた猛者ではありません。App Annieではじめてやっているので、弊社特有の事情もあるかもしれませんし、必ずしも一般的に当てはまる内容じゃないかもしれませんが、そのへん加味して読んで下さいね。

1. 毎日何してるのか
2. スペシャリストからジェネラリストへ
3. モチベーションの保ち方
4. 給料はいくらもらえるのか

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1. 毎日何してるのか?

謎ですよね。たぶん、うちのメンバーたちも同じ疑問をもっているかもしれません。なんかしらんけど忙しそう。でも何してるの?と。

一言でいうと、ていうか一言じゃ言えないので、ざっくりと以下の仕事をしています。シーズナリティもあるので優先度は都度変わります。

○マネジメント系
○セールス系
○人事系
○マーケティング系

マネジメント系がいちばん雑多です。
来年以降を見据えてカイゼンできるポイント、潜在的な課題を見つけて言語化。その問題が及ぼす他への影響度、日本法人で解決できそうかAPACレベルかグローバルレベルかを整理し、日本法人で何とかできるならマネージャー陣と共有して進め方を議論します。

後はメンバーとの1on1やスキルアップに向けたコーチング、悩みや問題点の把握そこで出てきたトピックを他の関係者に共有しながらどう対応するか議論。

あとはオフィス内装とかチームビルディングとかの確認や承認、こじれたりした時にハンドリングしたり。

また外資系あるあるですが、本社から急にくる「今日中にこれ報告してちょ」ってやつ。難易度は低いけど現場のメンバー達に協力してもらわないといけない事が多いので、情報を集めて整理してレポートする。

さらにAPACのキックオフが毎年年始にあるのでそのアジェンダを作ったり、年鑑レポートのアジェンダについて本社のリサーチチームに要望を伝えたり、人事評価の中でメンバー達の昇給交渉をして予算をとってきたり。

平たく言うと、「メンバー達が業務に集中してパフォーマンスを出せるように環境を整える」事は全部カンマネの仕事です。

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セールス系は、どうやったらターゲットの数字を達成できるのか、仕組みや施策として何をどうすればよいのかをマネージャー陣と議論しつつ、セールスメンバーの数字を管理し(新規セールスチームのマネージャも兼務してるので)、案件1つずつレビューしてアドバイスしながらForecastを作ります。

あとはインサイドセールスとフィールドセールスのバトンがよりスムーズかつ効率的に回るようにルールを決めたり変えたり、上から降ってくる数字をこねくり回してメンバーへのアサインを決めたり時にはプッシュバックして他のRegionに数字をあげたり笑

既存クライアント向けのビジネスについては、特に重要なのがLTVの最大化なので、そのために必要な施策や考え方、セールスとCSの動き方を決めたりプロジェクトを立ち上げたり。またVIPのクライアントに訪問して「よろしくたのんます」と言って回ったり、モメてしまった交渉に入って何とか交通整理したり。

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人事系はまさに採用がメイン。ヘッドカウントがオープンになって「はい採用して」っていう天の声が降ってくるのだけど、大抵は短納期。ひどいとき(今まさにこれ)なんて1ヶ月半後に入社できるようにやってね、とか言ってくる。

採用や組織づくりはカンマネの仕事として最重要の仕事のひとつ。なのでヘッドカウントがオープンになったら僕の時間の使い方ががらっと変わります。自分で色々なツールとかSNSでダイレクトでスカウトしたり、リクルーティングチームは北京にいるので、彼らと連携しながらリクルーティング企業から提示されたレジュメを精査し、基本全ての面接に入ります。

あとは昇格とかJob Role変更とか、水面下で当人やAPAC/HQと進めておきながら、変更に伴う影響を最小にするために関係者にちょっとずつ共有していき、急な変化に伴うストレスを減らす事をできるだけ考えています。20人程度の組織であるため、ごく少数のネガティブな空気や雰囲気は容易に社内に伝播します。そのきっかけを生まないようにすることが大事だな、と。

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マーケティング系は、マーケティングマネージャーに一任し、僕はセールス全般統括、というスタンスでマーケと「並走する」というのが組織の形です。セールスとマーケティングは同じKGIを目指す仲間ですが、足元のKPIや仕事の時間軸が違うためにコンフリクトが起きる、というのがB2Bの世界で多く起きていることだと思います。

ただ2019年の春頃にマーケメンバー0人という状況に陥り、外部の支援を得ながらカンマネになりたての僕がマーケティングも見るという事態になりました。現マーケマネージャーが入社するまでの約半年、とにかく出来ること・やらないといけないことから手を付けていきました。界隈で著名なマーケッターの方々に壁打ちに付き合って頂いて、僕の考え方ややり方は全然間違っていないよ!というお墨付きをもらって非常に安心したのを覚えています。このあたりは4部作の大作ブログを書いたので、是非ご覧ください。

今はちゃんとマーケティングマネージャーがいるので、僕はセールスとマーケの全体としての整合性を見たり、PRにおいては会社の顔として露出したり、メディアに記事を寄稿したり、という位のリソース配分となっています。このあたりは今後も継続してやっていく仕事です。

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2. スペシャリストからジェネラリストへ

僕は新卒で入った会社で営業に配属されて以降、2002年からずーっとB2Bセールス職種で生きてきましたし、この経験で3度の転職をし、傍から見たら「ステップアップ」してきました。給与もしかり。

B2Bセールスという職種を長くやってると、言語化・体系化が出来るようになるので、トレーニングやコーチングも可能になります。「売り物が変わっても売り方は変わらない」というのが僕の原理原則なので、どんな業界、どんな商材でも売っていく自信もあります。

つまり僕は(Twitterでも生意気にもこのハッシュタグを付けてTweetしていますが)B2Bセールスのプロという「スペシャリスト」として自分の市場価値を高めてきました。

しかし、カンマネに就任し、上記にあるように仕事内容が広がってくる中で、B2Bセールスのスペシャリティだけだと全然仕事のクオリティが上げられないのです。社長やCEOではないので経営をしているわけではないのですが、それでもセールスマネージャーの仕事とは見る範囲や視座が大きく異なります。全方位に視野を持ち、意思決定をしたり議論をしたりする必要があるので、否が応でも自身の思考やスキルをストレッチしないといけません。

スペシャリストからジェネラリストになってきているという事について、以前は否定的でした。とんがってナンボじゃ!と思っていましたし、自分の市場価値はそういうトガッた強みをもっている事だと信じていました。

五角形のレーダーチャートで言うと、「セールス」が突出して飛び出しているスペシャリストから、各スキルが平均よりも大きいスコアできれいな五角形になっていくような姿がカンマネに求められるイメージだと理解しています。ただこれを続けていくと、「でっかい五角形&特定のスキルが飛び出てる特徴的なカンマネ」になっていくかと思うので、それを目指して先輩達から学んでいきたいですね。

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3. モチベーションの保ち方

セールスを長くやっていると、数字の達成だったり稼ぐことだったりマネジメントポジションに昇格することだったり、がモチベーションとして持ちやすいですし、実際過去に僕もそういう感じで自分を鼓舞していました。

ただこれには1つ問題点があります。「結果と外部にモチベーションを依存する」ことです。時に思うような結果にならなかったときはモチベーションが下がってしまって、仕事のクオリティが下がっていくという悪循環に入ります。

加えて外部からの評価を自信のモチベーションを依存してしまうと、常に不安定になります。頑張って結果出しているのに!とか。そういうことありませんか?

僕はセールスとしてApp Annieで仕事をしながら、「日本企業を元気にする」という事を自信のモチベーションにしてきました。人口も減っていくし、労働生産人口も減るし、日本のGDPを支える大手日本企業は早期退職制度とか店舗弊社とか時短営業とか、いわゆる「縮小」傾向になっていっています。一方で外資のプラットフォームが続々と日本に入ってきてビジネス構造そのものを変えてきていますし、生活者はそこに金と時間を投下しています。

ここにどう対峙してビジネスを成長していかないといけないのかを企業はもっと思考して投資していかないとこの先さらに日本のビジネス環境は悪化していくと思っているので、そこに対してなんとかしたい、という視点です。

MarkeZineで寄稿連載をもたせてもらっていますが、一貫して上記のメッセージを様々な産業に触れながら発信しています。

この視点を働くモチベーションにしていますが、App Annie全体のVisionともシンクしているのでとても都合が良いです笑

以下が先般リフレッシュした弊社のVisionです。Visionっていうのは、App Annieが事業活動をしている理由、存在意義です。一番根っこの部分です。

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モバイルの領域、特にアプリはマネタイズするためのサービスそのものになるし、マーケティングをしていくためにデータ取得の入り口だったり、生活者の行動変容を促すメディアやコンテンツ提供だったり、適切な人に適切な内容を適切なタイミングでメッセージを届けるためのチャネルだったり、と様々です。

企業は自社のビジネスを守るのか、グロースさせるのか、はたまたこの新しい領域でビジネスの柱を作りたいのか、パートナーや投資先を探したいのか、目的に合わせてモバイル戦略というものを設計する必要があります。

その中で羅針盤となるようなデータを根拠としながら、都度発生する意思決定ポイントで、根拠と自信をもって判断をしていくために並走するのがApp Annieというポジションになります。

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4. 給料はいくらもらえるのか

気になりますよね。僕がいくらもらっているかは置いといて、外資IT系企業でどういう風に給与が決まるのか、という事に触れます。

App Annieに限らず、多くの外資IT企業は「マーケットプライス」というベンチマークサラリーを基準として考慮されているはずです。例えば↓のようなデータです。

60ページ以上に渡り、あらゆる産業のあらゆるポジションのサラリーデータが載っているものです。App Annieでこのデータを基準に決まっているわけではありませんが、例えば本データではIT業界におけるプロバイダー企業のセールス職のページは以下のレンジで記載があります。

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カントリーマネージャーは、へぇー…。。。

必ずしも全ての外資カンマネがこのテーブルに載っている訳ではないと思いますが、一つの参考にしてもらいたいですし、世の中にはこういうサラリーベンチマークデータというものがあるよ、という事を知ってもらえたらと思います。

正直、カンマネとして定義されている職務っていうのは非常に幅が広いですし、シーズナリティや突発的な本社の決定に引きずられて仕事の内容や優先順位が常に変化します。

なんだよそれ急に言うなよ、とか文句言う暇あるくらいなら、すぐにスイッチ切り替えて前向いて「どうしたらできるか」という思考ができないと、この仕事はできないと思いますし、逆にそういうマインドというか仕事の姿勢をもっている人であれば、特殊な能力が必要ではない、というのが1年生の僕の印象です。

もちろん、カンマネという職種で今後渡り歩いていくという事を考えると、他のカンマネと比べて何が特に強いのか、特長なのかという市場価値を上げる意識と活動が絶対に必要になりますが、まずカンマネになる、という点だけで言うと、カリスマ的なスーパービジネスマンじゃなくてもなれるポジションだと思います。

ただ、こういうポジションって「なりたい!」と思ってなれるものではなく会社から「なってほしい」と思われないといけません。そのためには今の仕事で1つ〜2つ上の視座をもって仕事をし、上層部に対する改善提案をしたり、ビジネスプランを頼まれてもないのに出してみたり、という行動をする事が大事だったりします。結局人が選ぶので。

このnoteが、今後のキャリアを考える上で参考になれば嬉しいです。

最後に。

積極募集中です!!


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