電子書籍業務日誌5

電子書籍に関わる中で経験した出来事を書き連ねていきます。電子書籍取次サービス「電書バト」運営中。

西野亮廣さんのお金の奴隷解放宣言。というブログが話題になっているそうです。著作の絵本をWeb上で無料で読めるようにしたことが賛否を巻き起こしているようで。西野さんが「ブラックジャックによろしく」二次利用フリー化についても、軽く触れてくださっているようで、エゴサーチすると結構引っかかるんですよね。無料化でもなんでも法に触れない限り好きにやればいいし、批判して何かした気分になっている人も好きにしたらいいと思います。議論が起こるのは良いことだと思います。

最近では、こんな記事も話題になっていました。

「いつまで紙の本に付き合わなくちゃいけないんですか?-電子書籍に完全に切り替えたユーザーの怒りと愚痴をひとまずぶちまけます-」

電子書籍ユーザーの意見ですが、僕もユーザーとしては似たような感想を持っている部分があります。


「電子書籍は漫画家を殺すのか」

こちらは、出版社側の立場に立って、紙の本を擁護する立場の意見。(ツッコミ所満載で失笑しました)

さて、現在Kindleのコミックの売れ筋ランキング上位に「殺し屋1」を始め「新のぞき屋」「おカマ白書」など、山本英夫さんの作品がずらりと名前を連ねています。

一時はランキング10位にまでなりました。一連の作品は、弊社電子書籍取次サービス「電書バト」で取り扱っている作品です。そして、この売れ行きは偶然ではありません。これまで何度も言ってきたことですが、電子書籍はやり方次第では儲かります。

なぜ今、山本作品が売れているのか軽く解説します。

まず、Kindleで山本作品が売れている場所は、通常の1冊売りではなく、「Kindle unlimited」(=読み放題プラン)です。Kindle unlimitedは昨年8月にサービスインし、9月にはアマゾン側の一方的な都合でエントリー作品がごっそりと削除されるという出来事があった曰くつきのサービスです。(詳細はこちら

で、このKindle unlimitedですが、作家、出版社、ユーザーの信頼を丸ごと失った状態で、2017年1月1日より、実はこっそりと削除した作品の再販売を開始しています。この1月1日の再販売開始時期に新発売となったのが、件の山本作品となります。

昨年9月にアマゾン社がKindle unlimitedエントリー作品を一斉削除した際、講談社や小学館など大手出版社が抗議の声をあげました。この時点で山本作品の勝利は決まっていたと言えるのかもしれません。アマゾンが自身のあり得ないミスからのコンテンツ大量削除という傍若無人をやらかして、大手出版社の面子を潰し、販売再開後、彼らがすぐにはKindle unlimitedに参加しない(できない)流れが、9月の時点でできてしまいました。

とは言え、Kindleは大きなストアです。「大手が参入しないなら、あえてKindle unlimitedを継続利用し、市場で有利な地位を築こう」と決断した中小出版社は、アマゾンの提示する契約条件の不利益変更を受け入れ、販売を続けました。不利益変更を受け入れない出版社はサービスから撤退しました。「さて、ウチはどうしようかな?」と考えましたが、実はこの時点で、削除された作品は放っておけば2017年1月1日から再販売されるかもしれないということがわかっていました。

つまり、アマゾンの提示する不公平な契約条件を飲み込まなくとも、1月1日になれば大手出版社という強力な競合他社がいない状態で、作品を販売できるかもしれないと。コンテンツの一斉削除に関しては、アマゾン・サービシズ・インターナショナルに対し訴訟を提起する一方(そちらのお話はまた別の機会に)、契約条件を変更しないまま1月1日からの再販売を希望し、さらに新規で山本作品をエントリーしました。発売日は指定しませんでしたが、1月1日になるはずです。

蓋を開けてみれば、電書バト作品は全作とも売り上げが伸び、その中でも新発売となった山本作品はランキング入りするほどの売り上げを記録したと。Kindle unlimitedで1月1日新発売のビッグタイトルが、ほぼ山本作品だけという状態ですので、「そりゃ、売れますよね」ということです。

売れる確率を高めるため、10月~12月まで継続的にキャンペーンを実施し、山本作品の注目度を上げることにも注力しましたが、基本的にはエントリーしてじっと待っただけです。それだけで売り上げが百万〜1千万単位で変わってくるのです。


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