
若手が考えるリーダーの視点:失敗を恐れない“芯”のある人材育成とは
今回、お話を伺うのは、シュハリのインターン卒業生で、現在はコンサルティングファームでお仕事されているOさん。社会人5年目とは思えないほどの落ち着きと、芯のある一貫した話しぶりのOさんは、若くしてチームをまとめることもあるそうです。今回は、若手の考えるリーダーの在り方について特に掘り下げながら、お話を伺いたいと思います。
目次
1.チームをまとめる立場として、気を付けていることは?
2.新入社員に望むことは?
3.上の世代の人たちに望むことは?
4.今を漢字一文字で表すと?
1.チームをまとめる立場として、気を付けていることは?
若手ながらもリーダーとして、チームをまとめる経験を持つOさんですが、チームをまとめる上で、どのようなことに気を付けているのか、伺いました。
「最近の新入社員の子たちは、失敗への耐性があまりないのかなと思います。そのため、挑戦への姿勢が弱いことが多いと感じます。」
これは、実際に大学生の立場である私からしても、とても頷けることだと思います。大学では失敗できる経験がそこら中に転がっているわけではなく、自分から一歩踏み出して挑戦しなければ、そもそも失敗もできないのが現実です。
では、そういう子に対してどんなフォローをするのですか?とお聞きすると、以下のことを答えてくださいました。
1,失敗してもいい環境を保証する
2,その上で、個人の力量に合わせて打席に立つ機会を与える
3,ストレートかつポジティブにフィードバックする
「まずは、心理的に安全、かつ失敗しても大丈夫だとひたすら伝えます。
そして、次が最も大切だと思うのですが、相手の力量に合わせて仕事を振りますね。なにより、自分で打席に立つことが大事なんです。コンサルということもあり、結局最後は自分の力で戦っていくことになりますからね。そこでのリアルな経験を通して、仕事への考え方を身につけてもらいます。
最後に、そのパフォーマンスに対して、ストレートなフィードバックを行うようにしています。もちろん、ただ至らなかった点を述べるのではなく、良かったことも、もう少し工夫できたであろう点も、どちらも客観的に、かつポジティブに伝えようと心がけています。今までの経験では、以上を通して、かなり前向きな考え方へと変わってくれることが多かったです。
僕はこの中でも、打席に立つ機会作りがカギとなるように感じています。下の成長を望みながら、打席に立つ機会までも自分で作れ!というのはひどい話ですよね。一方で、意外とありがちなケースだとも思います。
挑戦しなければ、人は育ちません。もし失敗しても、俺がなんとかする!という姿勢のもと、後輩を送り出す。積極的に彼らが挑戦する機会を作る。
人材育成は、個人の裁量に任されているところがありますが、人の行動をダイレクトに変えられるのは、頑張る甲斐があってうれしいですし、僕は下の世代の子たちも積極的に見ていきたいと思っています。」
2.新入社員に望むことは?
新入社員の方に求めることはありますか?という問いに対しては、以下の4つを答えてくださいました。
・仕事に対して真摯に取り組む姿勢
・決めたことは最後まで投げ出さないこと
・フィードバックに対して前向きに向き合い、すぐに行動に移す姿勢
・一緒に働いてよかったと思えるようなパーソナリティ
「どれも当たり前に聞こえますが、当たり前なことを当たり前にできる、というのは実は当たり前ではないのかもしれません。(笑)これらができているなら、能力は後付けでよいとも思います。この姿勢があれば、間違いなく成長していきますよね。
具体的な経験で言うと、フィードバックに対して、二度と同じことは言わせない!というようなこだわりをもって仕事に取り組んでくれた子がいて、それはとても嬉しかったです。」
3.では逆に、上の世代に求めることは何ですか?
「まず一つ目にあげるとしたら、思いやビジョン、情熱をもって仕事をして欲しいということです。これは、私が人をまとめる上でも気を付けていることですが、自分なりの考え方があるからこそ、言葉に思いをのせられると思いますし、それは振る舞いにも繋がると思っています。やっぱり、思いがある人についていきたいでしょう。(笑)仕事を仕事としてやっている人より、楽しんでやっている人の方が魅力的ですよね。
また、先ほども挙げましたが、下の挑戦を後押しするような環境を積極的に作って欲しいと思います。まさに、打席に立つ機会作り、ですね。」
4.今を漢字で表すと?
「『芯』です。やっぱりどんな人でも、最終的に決断をするのは自分ですし、やりたいことをやってこその人生だと心から感じます。流されていては楽しくないですよね。前述したとおり、自分の信念や思いがあることは、人をまとめる上でも重要だと思いますし、自分なりの目標や目的をもって、『芯』のある生き方をしたいと考えています。」
今回、インタビューさせていただく中で、一貫して会話の中から何か太い芯のようなものを強く感じていました。Oさんの話には面白いほど説得力があり、その口から「芯」という漢字が出てきたとき、とても腑に落ちました。
感想:インターン生
大嶋:
このインタビュー企画も、ありがたいことにOさんで5人目を迎えます。その中で気が付いたことですが、自分や目の前のことだけでなく、周囲や企業レベルの問題にも目を向けている方は、みんな揃って現代の人材育成に対して気を配っている、という事実です。
特に、新人に対する教育は、上から強制されない限り、自分にとっても負担になることから、避ける選択肢も取りやすいのではないかと思っていました。しかしながら、今までこちらの企画でお話を伺ってきた方々は、揃って皆さんが人材育成の重要性についてお話してくださるのです。今回インタビューいただいたOさんを含めて、このような社会人の方がいるという事実は、これから就職を控える私にとって、本当にうれしいことに感じます。もちろん、社会人の先輩方だけが問題の対象ではなく、私たち若手が、いかに当たり前に求められる、基本的な仕事への姿勢を、当たり前に維持することができるか、これが重要であることも忘れてはいけませんが…。一方で、キャリア不安に陥り、転職してしまう優秀な若手があとを絶たない現代において、日本の企業レベルで、人材育成についての関心がより一層高まれば、このような状況を打破することも可能なのではないかと思いました。
石村:
Oさんのお話を通して、自分なりの考え方「芯」をもつ大切さと、打席に立つ重要性を改めて感じました。
「芯」をもって物事に取り組むというのは、Oさんがおっしゃっていたような仕事の場面のみならず、様々な場面で重要になると思います。例えば、生成AIのレベルが常に向上している現代で、人間が価値を出すには、生成AIの提案に、自分なりの考え方を加えることであると考えます。一般的な回答を提示してくれる生成AIに、いかに自分の考えを加えられるかが重要になると思います。また就活においても、自分が楽しいと思える仕事は何なのか、自分なりの軸をもって取り組むことで、周りの評価に流されず進むことができると思います。このように、「芯」を持つことがよりよい生き方をするうえで、重要であることを改めて実感しました。
また、打席に立つ重要性に関しても、人はやはり経験と失敗を通して成長することができると思います。しかし、失敗への恐怖心に打ち勝てないがゆえに、なかなか踏み出すことができません。そのため、Oさんのように安心して打席に立てる環境を作ってくださる上司がいるというのは、とても素敵な職場環境であるなと感じました。若手社員は、とにかく打席に立つことが重要だと実感したので、私自身も、今まで以上に失敗を恐れず、挑戦してみようと思いました。