パラレル中1_幾何(#3)
1.はじめに
この記事は自分の考える、大学を「講義、実験、研究、議論が行える地域の図書館」のような存在にするという考えが実現したパラレルワールドを前提として作成しました。
数学を知る上では参考になると思いますが、受験にとってはマイナスになるので高校受験生は見ないほうが良いです。
2.新しい考え方
(1)合同変換
形と大きさが同じ図形を合同ということを小学生段階で学びましたが、そこで2つの図形が2つぴったり重なったら合同であると述べました。
ぴったり重なるか確認するための移動方法を合同変換と言い、合同な図形同士であれば以下の3つの合同変換を組み合わせることでぴったり重ねることができます。
この合同変換をするときは、図形を点としてみることになります。
例えば三角形は3点についてそれぞれ同じ変換を行うイメージです。
① 平行移動:点を一定方向に一定の距離だけ移動する変換
② 回転:点を固定した点(定点)のまわりに与えられた角(回転角)だけ回す変換
➂ 対称移動:直線lを軸として、点をこれと対称な点に移す変換
(2)円周率と扇形の面積と弧の長さ
中学レベルの数学では円周率をπという文字で表すことがあります。このπは定数として扱います。その場合、小学生の時に学習した円周と円の面積は以下のように表せます。
円周=$${2・(半径)・\pi}$$ 円の面積=$${(半径)^2・\pi}$$
円を分割した図形についても確認します。
2本の半径と弧(円周の一部)で囲まれた図形を扇形といいます。
何分割したかは$${\frac{中心角}{360}}$$で分かります。例えば中心角が90°ならば4分の1であることが分かります。そのため扇形の弧の長さや面積は以下のようになります。
扇形の弧の長さ=$${2・(半径)・\pi・\frac{中心角}{360}}$$
扇形の面積=$${(半径)^2・\pi・\frac{中心角}{360}}$$
(3)三平方の定理
直角三角形について、辺同士の関係が以下の式になることが分かっています。これを三平方の定理といい、直角三角形の場合、2辺の長さが分かっていれば、もう一辺を測定しなくても計算から求めることができます。
三平方の定理は以下のような式になります。
$${a^2+b^2=c^2}$$ $${c=\sqrt{a^2+b^2}}$$ (cは長さなので正の数)
(cが斜辺の長さ、a,bはそれ以外の直角三角形の辺の長さ)
どうしてこのような式が成立するかについて、説明します。
[説明]
右図のように合同な直角三角形を4つくっつけると一辺が(a+b)の正方形と、一辺がcである四角形ができます。
図の直角三角形の角度x°、y°に注目するとx+y+90=180° つまりx+y=90°となります。そうすると一辺がcである四角形のそれぞれの角度が90°となるので、一辺がcである四角形は正方形であることが分かります。
ここで全体の正方形の面積を以下の2通りでみます。
①$${(a+b)^2}$$
②一辺がcの正方形と4つの直角三角形。
すると $${(a+b)^2}$$=$${c^2+\frac{1}{2}ab・4}$$ となります。
左辺=(a+b)(a+b)=a(a+b)+b(a+b)=$${a^2+2ab+b^2}$$ (a+bを一つの数字としてみています。)
右辺=$${c^2+2ab}$$
左辺と右辺から2abを引くと、$${a^2+b^2=c^2}$$ となります。
直角三角形に限定されていますが、垂直な線を引くと直角三角形はすぐにできるので、長さを計算するうえで三平方の定理は非常に強力なツールとなります。
(4)錐体と表面積
錐体とは底面が多角形や円で、空間内の一点から底面に伸びた線分で作られる立体図形です。
錐体の底面によって、三角錐、四角錐、円錐等があります。
錐体の表面積は展開図で考えます。ここで重要になるのが、円錐については(底面の円周)=(扇形の弧の長さ)となる点です。
(5)錐体の体積、球の体積と表面積
以下に錐体の体積、球の体積、球の表面積の求め方を記載します。球とは丸いボールのようなもので、 「空間における、一定点から等距離にある点全体から成る曲面(球面)、あるいはそれによって囲まれた立体」のことです。
現時点では式に慣れて計算できるようにすることに主眼を置き、「中3_幾何」でどうして以下のような式が成り立つか説明したいと思います。
また高校レベルで学ぶ微積分でも以下の式を説明することができます。
錐体の体積=$${\frac{1}{3}・(底面積)・(高さ)}$$
球の表面積=$${4・\pi・(半径)^2}$$
球の体積=$${\frac{4}{3}・\pi・(半径)^3}$$
(6)立体と断面図
断面図とは立体を何らかの面で切断したときの切り口を図で表したものです。円柱や円錐を「底面に垂直な面で切った切り口」、「底面に平行な面で切った切り口」の断面図は以下のようになります。
〇〇柱は底面に垂直な面で切った切り口は四角形となり、底面に平行な面で切った切り口は底面と同じ形状になります。
〇〇錐は底面に垂直な面で切った切り口は三角形となり、底面に平行な面で切った切り口は底面と同じ形状になります。
3.使用例
(1)合同変換
(例)以下の図は、図形を対称移動しています。この図形の外周はいくつでしょうか。
(答え)
対称移動した図形は合同。残りの辺の長さは対称移動した図形から確認できるようになっているため、10+6+3=19
(例)以下の三角形ABCと三角形DBEは合同です。三角形ABCに対してどのような合同変換が行われたか答えてください。
(答え)
点Bを定点に(90°)回転
(例)以下の図は、四角形ABCDにたいしてある合同変換を行った図です。どういった合同変換を行ったのでしょうか。
(答え)
(右に2マス、上に2マス)平行移動を行った
(2)円周率と扇形の面積と弧の長さ
(例)円周が50.24のとき、半径はいくつでしょうか。円周率を3.14としてください。
(答え)
半径をrとすると、2・π・r=50.24 r=50.24÷(2・3.14)=8
(例)直径20mの円状のプールをペンギンが半円分泳いだ時、泳いだ距離は何mになりますか。(円周率はπとしてください。)
(答え)
20・π・$${\frac{1}{2}}$$=10π
(例)半径4cmの円を16周させるために必要な糸の長さは何cmでしょうか。円周率を3.1としてください。
(答え)
2・3.1・4・16=396.8 cm
(例)円周率をπとして、①は赤色の弧の長さ、②、➂は赤色の面積を求めてください。
①:2・π・7・$${\frac{90}{360}}$$=$${\frac{7\pi}{2}}$$
②:12・12・π-5・10=144π-50
➂:半径は5となるので、5・5・π・$${\frac{180}{360}}$$
=$${\frac{25\pi}{2}}$$
(3)三平方の定理
(例)以下の①、②のxの長さを求めてください。➂については台形の外周と図形の面積を求めて下さい。
① $${3^2+x^2=5^2}$$ $${x=\sqrt{5^2-3^2}=\sqrt{16}=4}$$
② 正方形の1辺をaとすると $${a^2=32}$$ である。
$${x^2=a^2+a^2=64}$$ x=8
➂ 4の上辺から7の下辺に垂線を下す。そうすると3と4の長さをもつ直角三角形が現れる。$${(斜辺)^2=3^2+4^2=25}$$ 斜辺は5
外周=4+4+7+5=20
面積=(正方形の部分)+(直角三角形の部分)=4×4+3×4÷2=16+6=22
(例)以下の図のように底面が正方形の四角錐があるとき、正方形の1辺の長さはいくつでしょうか。
(答え)
四角錐の中の直角三角形に注目して、
$${(正方形の1辺の半分)^2+15^2=17^2}$$
$${(正方形の1辺の半分)^2=17^2-15^2=289-225=64}$$
正方形の1辺の半分=8 よって正方形の1辺の長さは16
(4)錐体と表面積
(例)以下の底面が正方形である四角錐の辺の数、面の数、および表面積を求めてください。
(答え)
辺の数:8、面の数:正方形+三角形が4=5
表面積:正方形=6・6=36 三角形=6・15・$${\frac{1}{2}}$$=45
正方形+(三角形が4)=36+4・45=36+180=216
(5)錐体の体積、球の体積と表面積
(例)以下の3つの立体の体積を求めて下さい。円周率はπとしてください。
(答え)
① 6・6・π・4=144π
② $${\frac{4}{3}・\pi・3^3・\frac{1}{2}(半分)=18・\pi}$$
➂ $${6・6・\pi・4・\frac{1}{3}=48\pi}$$
(6)立体と断面図
(例)以下の立体を垂直に切った断面はどういった形状になりますか。
(答え)
三角形
(90°回転すると三角柱を底面に平行に切っているとみることもできる。)
4.カーンアカデミーの参照範囲
世界大学ランキングで上位を占める大学が多い米国のサイトである、カーンアカデミーの該当範囲を記載しています。
〇 6th grade
unit10
〇 7th grade
unit9
〇 8th grade
unit5, unit6