世界一わかりにくい算数(小学校6年_データと図形)
1.日本のカリキュラム
日本のカリキュラムは整理すると次のようになります。
(以下のサイトを参考にしています。)
内容を私なりにまとめると以下のようになります。
(B.図形)
・対称な図形(線対称、点対称、対象の軸、対象の中心、多角形と対称)
・拡大図と縮図
・円の面積
・角柱と円柱の体積
・おおよその面積と体積(身の回りの形)
(C.変化と関係)
・比(a:b)
・比例と反比例
(D.データの活用)
・データの調べ方(代表値、度数分布表、柱状グラフ)
・ならべ方と組み合わせ方(順列、組み合わせ)
ドットプロットについては以下のサイトの「(3)データを集め、情報や知識を得る」にて説明済みです。
個人的には線対称、点対称な図形を学ぶより、合同変換 (ごうどうへんかん)について学んだ方がいいと思います。
合同変換とは、平面上の各点を一定の方向に一定の距離だけ移動させた点にうつす平行移動,平面上の各点をある点のまわりに一定角だけ回転した点にうつす回転移動,平面上の各点を一定直線に関して対称な点にうつす対称移動の3つの移動のことで、平面上で合同なまま変換する方法のことです。
図形の中で対称性を見つけようとする受動的な姿勢よりも、ある図形を合同変換するという能動的な姿勢のほうが、コンピューターを使用するこれからの社会にとっては有益なのではないかと感じました。
カーンアカデミーでは合同変換に注力しているようでした。
また正直反比例の導入は早いのではないかと思います。扱う場合、x-y平面で図示する際にx=0の扱いについて触れないいけないので、もう少し後で学んでもよいのではないかと思います。
2.米国のカリキュラム
世界大学ランキングで上位を占める大学が多い米国を参考にします。
ソースはカーンアカデミーを参考にしています。
6th grade、7th gradeを参考にしています。
6th grade
・ 比
7th grade
・ 縮尺
・ 幾何学
カーンアカデミーを見る限り、中間値の導入の際には箱ひげ図まで導入しています。学年ごとでの割り振りに気を取られすぎているようにも感じます。6年生でやる分野としては、度数分布と柱状グラフに絞ってもよいのではないかと思いました。
3.理解と社会的実践
(1)対称な図形
〇 線対称な図形
10円玉に書かれている平等院鳳凰堂は、非常に綺麗で建築美を感じると思います。この平等院鳳凰堂は中央に線を引くと左右対称になっています。
富士山も左右対称で非常にきれいな山として観光客も多く訪れます。
これらの例のようにある直線を折り目として折ったとき、折り目の両側がピッタリと重なる図形を線対称な図形と言います。
このような線対称な形は自然界にも存在し、化学の分野で光学異性体というものがあります。ある物質を生成すると狙っている化学構造と線対称な構造も生まれ、狙っている物質と違う効果があったりするといった特徴があります。
線対称な図形には以下のような特徴があります。
・対応する点と対称の軸となる線は直交します。(黒線と赤線は直交します)
・対応する点どうしを結んだ線(赤線)の中央に対称の軸となる線(黒線)があります。
〇 点対称な図形
観覧車や万華鏡などは、回転させ続けても同じ形状が続くためより洗練られた美しさを感じます。
ひまわり等の花も回転させても同じ形状が続きます。
これらの例のようにある点のまわりに180°回転させるともとの形にピッタリと重なる図形のことを点対称な図形といいます
機械部品などでも見られ、特定のギアは回転させても同じ形状となるように設計されており、どちらの方向からでも噛み合うことができます。
点対称な図形には以下のような特徴があります。
・回転の中心となる点(対称の中心)とある点をつないだときに、その180°反対側に対応する点があります。
・回転の中心となる点(対称の中心)はある点とその180°反対側に対応する点をつないだ線の中央にあります。
[算数の問題]
(問1)
二等辺三角形は線対称な図形です。どこに対称の軸があるか図で示してみてください。
(問2)
平行四辺形は点対称な図形です。どこに対称の中心があるか図で示してみてください。
(答え)
(問1)
以下のような図形が書ければよいです。赤線が対称の軸で頂点Aと、線分BCの中間の点を結んだ線となります。「(1)二等辺三角形と正三角形」にて図形を2つ折りにすると重なると説明していますが、この折れ線が対称の軸となります。
(問2)
対角線の交点が対称の中心となります。「(2)垂直と平行と四角形」にて、平行四辺形の対角線は、「それぞれの真ん中の点で交わる」という性質があると説明しましたが、これは「回転の中心となる点(対称の中心)はある点とその180°反対側に対応する点をつないだ線の中央にある」こととおなじことになります。そのため対角線の交わる点は対称の中心となります。
(2)拡大図と縮図
ものすごく大きいものの長さを測りたいとします。
例えばある県からある県への距離を測りたいときに、現在の私たちは地図を使って測定します。
この地図とは実際の大きさを何分の1と小さくしたもので、ここで長さを測定し、倍率をかけることである県からある県への距離を測ることができます。
他にもスマホの画面の上に2本指を置き、間隔を広げるように指を動かす操作(ピンチアウト)をすると画像を大きくしたり小さくすることができます。
この操作は図形の形を変えずに大きさだけ変化させています。
図形の形を変えずに大きさを大きくしたものを拡大図、図形の形を変えずに大きさだけ小さくしたものを縮図といいます。図形の形は変えていないので、角度の大きさは変わりません。
図形を拡大・縮小する方法について説明します。
<拡大>
① 三角形ABCの各頂点と星マークをむすんで、それを伸ばします。
(直線であることが重要です。)
② 星マークからAまでの長さの2倍の場所に点Dを取ります。
星マークからBまでの長さの2倍の場所に点Eを取ります。
星マークからCまでの長さの2倍の場所に点Fを取ります。
➂ このようしてできた三角形DEFは三角形ABCの2倍の大きさの図形となります。
<縮小(逆方向に作っていますが、同じ方向でも構いません。)>
① 三角形ABCの各頂点と星マークをむすんで、それを伸ばします。
(直線であることが重要です。)
② 星マークからAまでの長さの0.8倍の場所に点Gを取ります。
星マークからBまでの長さの0.8倍の場所に点Hを取ります。
星マークからCまでの長さの0.8倍の場所に点Iを取ります。
➂ このようしてできた三角形GHIは三角形ABCの0.8倍の大きさの図形となります。
[算数の問題]
(問1)
図形Bは図形Aを縮小したものです。?は何cmでしょうか。
(問2)
図形Aと図形Bの?はそれぞれ何cmでしょうか。
(答え)
(問1)
対応する辺の長さを比べると、図形Aは4cm、図形Bは3cmのため、
図形Bは図形Aを$${\frac{3}{4}}$$倍したものとなります。
(3=$${\frac{3}{4}}$$×4 のため)
したがって?=7.2×$${\frac{3}{4}}$$=5.4 5.4cmが答えです。
(問2)
図形A:ABが3cm、ADが4cmのため、AD=$${\frac{4}{3}}$$×AB となります。
またACが4.5cm、AEが6cmのため、AE=$${\frac{4}{3}}$$×AC となります。
点Aから点Bまでの長さの$${\frac{4}{3}}$$倍の長さに点Dがあり、点Aから点Cまでの長さの$${\frac{4}{3}}$$倍の長さに点Eがあるので、
辺BCの$${\frac{4}{3}}$$倍が辺DEとなります。
よってDE=$${\frac{4}{3}}$$×6=8 ?は8cmとなります。
図形B:点Cから点Aまでの長さの2倍の長さに点Dがあり、点Cから点Bまでの長さの2倍の長さに点Eがあるので、辺ABの2倍が辺DEとなります。
DE=2×3=6 ?は6cmとなります。
(3)円の面積
〇 円の面積を四角でとらえる
円の面積は簡単には求められません。そこで円をかなり細かく分割します。(図よりもっと細かいと思ってください。)
上半分と下半分をくっつけると図のような平行四辺形とみることができます。ちなみに実際はカーブしているから線とみれないと思うと思いますが、非常に細かくしているので、線のように見えるとイメージしてください。
すると円周の半分の長さの底辺と半径の長さの高さをもつことになります。
そのため円の面積=(半径)×(円周率)×(半径)となります。
覚えやすくするために円の面積は、「半径×半径×円周率」と覚えてください。
[算数の問題]
(問)
以下の図形A,B,C,D,Eの面積を求めてください。全て半径は12cmで円周率は3.1で計算してください。また黒い印の角度はBが180°、Cが90°、Dが120°、Eが270°です。
(答え)
半径×半径×円周率で円を求めた後、面積が何分の何になっているか確認して、かけ算をします。
図形A: 12×12×3.1=446.4 答え. 446.4$${cm^2}$$
図形B: $${\frac{180}{360}}$$=$${\frac{1}{2}}$$ 図形Aの$${\frac{1}{2}}$$倍になっています。したがって446.4×$${\frac{1}{2}}$$=223.2
答え. 223.2$${cm^2}$$
図形C: $${\frac{90}{360}}$$=$${\frac{1}{4}}$$ 図形Aの$${\frac{1}{4}}$$倍になっています。したがって446.4×$${\frac{1}{4}}$$=111.6
答え. 111.6 $${cm^2}$$
図形D: $${\frac{120}{360}}$$=$${\frac{1}{3}}$$ 図形Aの$${\frac{1}{3}}$$倍になっています。したがって446.4×$${\frac{1}{3}}$$=148.8
答え. 148.8 $${cm^2}$$
図形E: $${\frac{270}{360}}$$=$${\frac{3}{4}}$$ 図形Aの$${\frac{3}{4}}$$倍になっています。したがって446.4×$${\frac{3}{4}}$$=334.8
答え. 334.8 $${cm^2}$$
(4)角柱と円柱の体積、身の回りの形を見積もる
〇 角柱と円柱の体積
角柱の体積は(底面の面積)×(高さ)となります。具体例で確認していきます。
下の図の底面は三角形で面積は、3×4÷2=6 $${cm^2}$$と計算できます。
これは1cm×1cmのマスが6個あることになります。
これの高さが1の時、1cm×1cm×1cmのブロックが6個あることになります。
これが高さ分積みあがると考えることができるので、
6 $${cm^2}$$×5cm=30$${cm^3}$$ と計算できます。
(底面の面積)×(高さ)で角柱の体積が計算できています。
この考え方は円柱でも同じです。円の面積を計算し、高さをかければ円柱の体積が計算できます。
ちなみに立方体や直方体の体積もある面を底面とみると、(底面の面積)×(高さ)で計算できます。
〇 おおよその面積や体積
世の中にある形の中で特に自然にできたものの多くは、きれいな形に分類することはできません。そこである形状を計算しやすい形状に見立てて体積や面積を計算することが実際はよくあります。
[算数の問題]
(問)
以下の立体A、Bの表面積と体積を求めてください。黒い印は90°です。円周率は3.1で計算してください。
(答え)
立体Aの表面積
(3×4の三角形)×2+(3×6の長方形)+(4×6の長方形)+(5×6の長方形)
=12+18+24+30=84 答え.84$${cm^2}$$
立体Aの体積
(3×4の三角形)×高さ=3×4÷2×6=36 答え.36$${cm^3}$$
立体Bの表面積
Жここが分からない場合、「〇 角柱と円柱の展開図」を復習してください
(半径3の円)×2+(円周×高さの長方形)
=3×3×3.1×2+6×3.1×5=148.8 答え.148.8$${cm^2}$$
立体Bの体積
(半径3の円)×高さ=3×3×3.1×5=139.5 答え.139.5$${cm^3}$$
[社会実践問題]
(問)
ある池の掃除をするために池の大体の面積を見積もることとしました。以下のような図形の池なので、半径12m、中心の角度を270°の円として面積を計算することとしました。面積を求めてください。
(答え)
まず360°で考えると、 円の面積は12×12×3.1=446.4 となります。
$${\frac{270}{360}}$$=$${\frac{3}{4}}$$ 完全な円の$${\frac{3}{4}}$$倍になっています。したがって446.4×$${\frac{3}{4}}$$=334.8
答え. 334.8 $${m^2}$$
(5)比
〇 比と割合
まず割合について再確認します。
「砂糖の量は塩の量の2倍必要です。」といわれた場合、
(砂糖の量)=2×(塩の量) となります。
これを新しい考え方である比を使って表現します。
「砂糖の量と塩の量の2:1です」
これだけ見ると比を新しく導入する意味がわかりません。そこで別の例をみてみます。
例えば「塩2gに対して砂糖3gが必要」だとします。
比で表すと「(塩の量):(砂糖の量)=2:3」と表せます。
これを割合で表すと「砂糖の量は塩の量の1.5($${\frac{3}{2}}$$)倍」となり、整数だけで表せた比に対して割合で表現すると複雑になっていることが分かります。
これが比を使うと便利な1つ目の理由です。
ちなみに比の2:3を割合で表すと$${\frac{3}{2}}$$と表すことができることが分かります。
比⇒割合: a:b=$${\frac{a}{b}}$$
割合が「元の量」と「比べる量」の2つの関係に注目しているのに対して、比では3つ以上の関係を表すことができます。
これが比を使うと便利な2つ目の理由です。
例えば100gの味噌汁を作る際に、(水の量):(味噌の量):(塩の量)=70:20:10 のように3つの関係性を一気に表現することができます。
割合で表現する場合は「水の量に対する味噌の量」と「水の量に対する塩の量」のようにそれぞれ書く必要があります。
〇 比の特徴
① 比は同じ数をかけたり、割ったりしても一定
例えば100gの味噌汁を作る際に、(水の量):(味噌の量):(塩の量)=70:20:10 といった関係があるとします。同じ味(バランス)のまま、50g作りたいときは、(水の量):(味噌の量):(塩の量)=35:10:5 で作ることができます。
すべての数字を2で割っている(×$${\frac{1}{2}}$$倍)していることが分かります。同じ味(バランス)のまま、200g作りたいときは
(水の量):(味噌の量):(塩の量)=140:40:20 で作ることができます。すべての数字に2をかけていることがわかります。
一番簡単な整数の比にすると(水の量):(味噌の量):(塩の量)=7:2:1となり、この数字をベースに何倍かして、必要な量を計算することができます。
② a:b=c:d の場合、a×d=b×d となる。
c:d というのはa:bを何倍かした数となるのでc=a×(何倍)、d=b×(何倍)となります。
a×d=a×b×(何倍)、b×d=a×b×(何倍) となるので、a×d=b×dとなります。
比は割合を含む広い概念です。そのため日常的には百分率(%)のような元のデータと比べるデータの2つの関係性で表現されるものが割合で、それ以外は比で表されることが多いです。
[算数の問題]
(問1)
26:52:65 をもっとも簡単な整数の比で表してください。
(問2)
「(2)拡大図と縮図」の(問1)を比で解いてください。
(問3)
① 12Lの赤の絵具と5Lの白でピンクを作ります。
白が25Lあるとき、同じピンクを作りたいとすると赤は何L必要ですか。
② 4ボトルで100円支払う商品を3ボトル買うときはいくらになるでしょうか。
(答え)
(問1)
26:52:65=2×13 : 4×13 : 5×13 となるので、13で割ると最も簡単な整数の比となります。したがって26:52:65=2:4:5 となります。
(問2)
図形A:図形B=4:3 となります。 4:3=7.2:? となるので3×7.2=4×? となります。
4×?=21.6 となるので?=21.6÷4=5.4 となり、答えは5.4cmとなります。
(問3)
① 赤:白=12:5 となります。12:5=?:25 で5から25となっているので5倍すればよいことが分かります。12×5=60 赤は60L必要となります。
② ボトル:価格=4:100=3:? となります。
4×?=3×100=300 と計算できるので、?=300÷4=75 となるので、答えは75円となります。
[社会実践問題]
(問)
クレジットカードのサイズは縦:横が、美しい比率とされる黄金比(5:8)となっています。縦54mmとして横のサイズを求めてください。(これらはおおよその値です。)
(答え)
縦:横=5:8=54:? という関係があります。5×?=54×8=432 となるので
?=432÷5=86.4 となります。そのため横のサイズは86.4mmと計算できます。
(6)比例と反比例
2つの量について一方が2倍、3倍となるともう一方も2倍、3倍となる比例関係についてすでに説明しました。
ここでは「一方が2倍、3倍となるともう一方は$${\frac{1}{2}}$$倍、$${\frac{1}{3}}$$倍となる」関係についてみていきます。
このような関係を反比例といい、式で表すと、(一方)×(もう一方)=(一定の値)
または(一方)=$${\frac{一定の値}{もう一方}}$$となります。
反比例について例を挙げて確認したいと思います。
100個のクッキーを均等に配りたいとします。配る人数をx、1人当たりに配る個数をyとします。
5人に配るとき(x=5)、1人当たりに配る個数は20個(y=20)となります。
配る人数を倍の10人にしたとき(x=10)、1人当たりに配る個数は
$${\frac{1}{2}}$$倍の10個(y=10)となり、反比例の関係になっています。
式としてはx×y=100、又はy=$${\frac{100}{x}}$$となります。
ちなみに自然界にも反比例するものが存在し、万有引力という力は距離の2乗に反比例します。
[算数の問題]
(問)
面積が15$${cm^2}$$の三角形について、底辺の長さ(x cm)と高さ(y cm) に関する表を作成しています。表の黄色の欄の数字を答えてください。
またxとyの関係式を2通り作成してください。
(答え)
底辺の長さ(x cm)×高さ(y cm)÷2=15 なので、
底辺の長さ(x cm)×高さ(y cm)=30 という関係があります。
そのため黄色の欄は左から、10、6、3 となります。
また関係式はx×y=30、y=$${\frac{100}{x}}$$となります。
(7)データの代表値、度数分布
〇 平均値以外のデータを代表する値
平均値以外のデータを代表する値として以下の2つを説明します。
① 中央値:データを小さい順に並べたときの中央の値のこと
データ数が奇数個の場合は中央の値、偶数個の場合は中央の両隣の値の和を2で割ったものが中央値となります。
② 最頻値:最も頻繁にあらわれる値のこと
データ「1,2,3,3,3,4,5」であれば、最頻値は3となります。
[算数の問題]
(問)
以下のドットプロットはある人が8日間歩いた距離(km)を記録したものです。最頻値と中央値を答えてください。
(答え)
最頻値は最も高さの高い「6」となります。
データを小さい順に並べると「5,6,6,6,8,8,9,9」となります。(中央を太字)
中央値は(6+8)÷2=7 「7」となります。
〇 度数分布表とヒストグラム
あなたが商品開発部で働いていて、「20代に人気の商品」を調査したいとします。この場合、21歳に売れたか、24歳に売れたかはどうでもよく、20代という範囲の中でどれだけ売れたかが大事になります。
このようにある範囲で該当するデータ数がいくつあるか知りたいときに、度数分布表は便利です。
度数分布表とはデータを複数の区間に分け、それぞれの区間にデータが何個存在するかを調べた表のことです。
よく使われる言葉についてまず整理したいと思います。
・階級:データを分けたグループのこと
・階級値:各階級の中央の値のこと
・度数:各階級に含まれるデータの個数のこと
そして階級と度数を表した図がヒストグラムです。
では実際の例を見ていきます。
読書のため6冊の本を買い、それぞれのページ数を調査しました。ページ数は「584,201,255,44,312,334」でした。このデータを度数分布表にし、ヒストグラムで表します。
ちなみに「以上」とはその数字を含むそれより大きい数のことで、
「A≧100」と表します(A=100 , 100.5 , 200等が該当)。
逆は「以下」と表現されます(A≦100)。
「超える」とはその数字を含まないそれより大きい数のことで、
「A>100」と表します(A=100.1 , 200等が該当)。
逆は「未満」と表現されます(A<100)。
[算数の問題]
(問)
上記の例の度数分布表の黄色の欄にあてはまる数字を答えてください。
(答え)
データから、「300以上400未満」は「312,334」の「2」が答えとなります。
またヒストグラムの高さから「2」と回答してもよいです。
(8)ならべ方と組み合わせ
〇 ならべ方(順列)
A,B,Cの3人でリレーに出ることになり、第一走者、第二走者、第三走者を決めたいとします。こういった時に適当に決めるという方法もありますが、全てのパターンを考えてから、比較して決めるという方法もあります。
そこで全てのパターンを数える方法についてみていきたいと思います。
全てのパターンを数えるうえで大切なことは、「モレなくダブりなく」数えることです。
そのためには見やすく整理して考える必要があり、有効な方法として樹形図を書くという方法があります。
これで「モレなくダブりなく」数え、6パターンあることが分かりました。あとはこの6パターンでいろいろ比較して決めていくこととなります。
いくつかのものを順序をつけて列に並べる並べ方の総数を順列といいます。今回の場合は順列を求めると6通りということとなります。
これを計算で求めようとすると、第一走者3パターン、第二走者2パターンで6通りと計算することもできます。
ただ最初から計算で求めようとすると勘違いをしてしまうケースが多く存在します。そこでまずは樹形図を書こうと考えて、その中で規則性を見つけたら計算するという考え方がよいと思います。
〇 組み合わせ
A,B,Cの3チームで総当たり戦をする場合、何試合行われるか考えてみます。樹形図を書くと、以下のようになります。
全部で6パターンありますが、A-BとB-Aのように逆パターンは同じ試合を意味しています。そこで逆パターンをカッコで囲み、引いていくと3パターン(試合)が答えとなります。
このようにいくつかの要素の集まりからいくつかの要素を選び出すときの、組み合わせの種類の総数のことを組み合わせといいます。これは順列とは異なり、順番は気にしないものとなっています。
ちなみに組み合わせを考えるときの樹形図は、以下のように考えることができます。
① Aについてのパターンを考えます。
② Bについてのパターンを考える際に、Aが出るパターンはすでに①で数え終わっているのでAを除外して考えることができます。
➂ Cについてのパターンを考える際に、A,Bを除外するので数える必要がなくなります。
[算数の問題]
(問1)
A駅からB駅、B駅からC駅に行くのに以下のような交通手段があります。A駅からC駅へ行く交通手段のパターンは何通りありますか。
(問2)
5本くじがあり、5本中2本が当たりくじです。A,B,C,D,Eの5人でくじを引くとき、当たる2人の組み合わせは何通りでしょうか。
(答え)
(問1)
(縦の線をつないでいないですが)樹形図を書くと以下の6通りあることが分かります。ここから時間や値段を考慮して最適なルートを選択することになるでしょう。
(問2)
順番を気にしないので、組み合わせの樹形図の考え方で考えます。
以下の図のようになり、4+3+2+1=10通りとなります。
順列や組み合わせについて、中学・高校と色々な便利な公式を学習します。するとむしろ苦手になっていくことがあります。問題が難しくなることもありますが、どの公式を使うべきか考えるのがメインになってしまうためだと思います。
そのため「基本は樹形図で全て数えてやろう⇒規則性がありそう⇒該当する公式がある」といった思考の流れのほうがよいのではないかと思います。
実務上はコンピューターがあるので、ある程度のパターンを愚直に考えることは無理でもないということも考慮すべき要素だと思います。